12,乙女ゲームの主人公 シエルside
私はシエル・マロー。辺境の貧乏子爵家の一人娘だ。
そして私は何を隠そう、日本からの転生者。名前は忘れちゃったけどここは前世プレイしていた乙女ゲームの世界に似ているのだ。というかほぼ100パーそこ。
私はその中に出てくるヒロインで聖女になる。
ガーナメント辺境伯長男のエリオット、ゴッドソン侯爵家長男のハリス、王太子妃の弟のイナ、アルスフィールド侯爵家の四男のイリア、王太子のシルスの5人が攻略対象。
そして隠し攻略対象はアルタイル王国の王太子のフレイクス。王太子組は今世は10年が離れているけど華のJKライフを歩んでいた私の最推し。王太子組の同人誌も買ってたくらいなんだから。
何か不祥事があったみたいで今は2人とも国王になってるけど関係ないわ。
ゲームのフレイクスが落ちたんだからこっちでも落ちるはずよ。まだ婚約者はおろか、女の影もないんだから私が取っちゃっても良いよね。
あ、でも隠し攻略対象って解放するのに時間かかるのよ。課金アイテムで進められるわけでもないし、地道に攻略するしかないか。
まずは聖女にならないといけないわね。確か教会で属性検査を受けてる時に聖女として認定されるのよね。学園祭の直前で2学期始まってすぐのイベントだからもうそろそろ。
そこで王太子のシルスに興味を持たれるのよ。それで実はシルスはフレイクスと仲が良いみたいな事情でアルタイル王国の国王に謁見したりするの。で、謁見の時にその場にいたフレイクスのルートに入るってわけ。
だからまずはシルスを攻略するんだけどそのルートの悪役は王太子妃のアンナ。嫌がらせとかはしてこないけどまあ良いわ。注意されたりするはずだからちょっとだけ盛っちゃえば断罪されるに決まってる。
他のルートも面倒なのよね。
悪役はエリオットの妹のエリーゼ。辺境伯って家格は別に悪くはないんだけど聖女なんて王家の次に偉いのよ。もっと言えば王太子より偉いの。そんなシエルにエリーゼは嫌がらせを繰り返すのよ。
でも結構シナリオと違うところがあるわね。ゲームのエリーゼは頭も悪くて魔力も弱いから普通科1の方に通ってるんだけど姿が見えないし、遊び相手に聞いたら騎士科にいるらしいし。おまけに精霊を従えてるなんて。
とりあえずまずは悪評を流さなきゃ。ゲーム内のエリーゼの変装をして騎士科の男達をほば全員落とした。残念ながら攻略対象には会えなかったけど良いでしょう。
悪女の噂を流したら休校からのお家取り潰しになったのは予想外だったけど所詮は私が幸せになるための駒。どうなろうと知ったこっちゃない。
私が幸せになるための第一歩はもうすぐよ。そこで格の違いを見せつけてやるわ。
私はそう宣言して前世より遥かに寝心地の良い布団に入った。
当日。
私達一年生は全員、教会に相応しい白い服を来て校舎の前に立っていた。これから大型馬車で各学科ごとに分かれて移動する。攻略対象もいるけど今はまだ接触しない方が良いわね。
遠くから見るだけだけどいずれ推しのためにも私の駒になってもらいましょ。
国の中で一番大きい教会の敷地に入った。見上げるほどの三角屋根を見ると異世界って感じする。学年全員が入ってもスペースが余るくらい大きい。
立会人は王族。シルス、その婚約者の悪役令嬢その一、ああ今は王妃だったかしら。あとはアクア、レイ。
あれ、1人足りないし誰アイツ。パトリックはどこにいったのよ。レイの隣の茶髪男なんてゲームに出てこなかったわよ。まあそのうちわかるだろうし放っておきましょ。
悪役はどうなってるか見てみたけど遠巻きに見られてる。良い気味だわ。でもその周りに攻略対象のイナとハリスがいるってのが気に食わない。
あいつ人望ないくせに何で高位貴族に囲まれてるのよ。せっかく悪評流したのに。
まあ良いわ。すぐに化けの皮剥がしてやる。
神官みたいな人の前で魔力属性を特定する水晶に手を翳す。
1の人達はやっぱり平民が多いから魔力属性も土とか水とかの雑魚属性ばっかり。
2の方も貴族が多いけどやっぱり氷とか雷とかのレア属性はほとんどいないみたい。レア属性の人は皆魔法科にいるからな。
この辺は全然ダメね。遊び相手にもならないわ。
次は魔法科。因みに私は一番最後よ。学園の方で聖属性の可能性が高いと判断されたからね。
主役は最後に登場ってわけ。こっちも知らない人ばっかね。スルーしましょ。
最後に騎士科。お家取り潰しになった人が多いから10人くらいしかいないみたい。留学生のリストも一応イケメンだからスペック高かったら狙いたいけどそもそも魔力がないから来てないのよね。
所詮顔だけの男。興味ないわ。
ハリスは氷。なかなかのレア属性ね。
イナは雷。氷の次に珍しいわ。
一応2人ともキープはしておきたいわね。騎士科の最後は悪役令嬢のエリーゼ。下位貴族の中で悪評塗れのね。
周りの陰口知らんぷりしてほんとムカつく。アイツも絶対転生者じゃん。素知らぬ顔して悪役令嬢そのニが水晶に手を翳すとチカッと一瞬光っただけでそれ以降何も起こらなかった。
神官みたいな人が皆驚いてるからきっとあまりにも弱すぎて驚いたのね。耳打ちされてるし呼び出されるとかかな。
そして主役の私が登場。
私が水晶に手を翳すと聖属性を示す金色に光った。その場から歓声が上がり、私は王族の前で教会から聖女だと認定された。
ふふっ…ゲーム通り。ゲームのシエルは1人で努力してたみたいだけど私に努力なんか要らないわ。持ってるってだけで優遇されるんだから。
全部終わった後私はシルス達王族に会って直前話した。悪役令嬢そのニは教会の奥に連れて行かれたし怒られてる気がする。
上位貴族の端くれなのに魔力を高める訓練をしないとかなんとか言われてるんじゃない?
因みに私はこの機を逃さないようにしっかりアピールしておいたわ。流石主人公。
努力しなくても聖女になったし体のラインも男を落とすのに丁度良いもの。悪役令嬢その一がすっごいガン飛ばしてきたけど好都合でしかないわ。
待っててね、私の未来の旦那様。私はいつか出会うフレイクスに想いを馳せて馬車に乗り込んだ。
帰る時、悪役令嬢そのニはいなかった。
今回の登場人物
・シエル・マロー(12歳)




