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13,聖女

ストック最後の話です。これ以降はなるべく頑張って書いて投稿していきます。


 夏休み終了直後に一年生は属性判定検査を受ける。私は精霊のお陰で自分の属性を知っていたが、魔法科の生徒含め大多数の人は入学まで自分の属性を知らない。


 属性を使わない訓練を1学期中に行い、属性判定後にそれぞれの授業を行うといったスケジュールだ。


 私も検査は初めてだったので少し楽しみだった。そこで聖女が誕生したのだ。私の1つ後ろにいた子爵家の一人娘、シエル・マローが聖属性だと判明し、国王であるシルス様の前で聖女と認められた。

 私はその時呼び出されていて自分の目で見ていたわけではなかったが一応歓声は聞こえてきたからわかる。



 因みに私が呼び出された理由は、水晶が一瞬しか光らなかったから。水晶が光る時間が短ければ短いほど魔力は強くなると言われている。

 魔術師団で一番魔力が強い人でもせいぜい1、2秒の水晶がパチッと一瞬光っただけだったので聖女誕生と同じくらい騒がれた。


 ただ、聖女に比べたらしょうもないことなので公にはされなかった。既に竜と精霊の愛し子と言われているくらいだから今更何言っても大して変わらないでしょ。ということもある。

 あと公になれば魔術師団にスカウトされる可能性があるので。



 でも聖女が現れたってことは私の顔のアザみたいなやつも消えるはずだからそれは純粋に嬉しい。やっと両目が解禁されるんだから。ああ、長い片目生活だった…。



 「そういえばそうだったね。やっぱりピアノ弾くなら両目あった方が良いもんね」

 〈いや、ピアノは片目でも弾ける。エルシーの顔がはっきり見えないのが問題なの〉


 「盛ってるんじゃないかって思うくらいの美少年を描くのに?」

 〈それとこれとは別。エルシーは盛っても盛らなくても可愛いしかっこいいから筆が進むの〉

 「そういうものなのか…」



 でもまあ聖女誕生とはいえ始めから浄化したりできるわけじゃない。血の滲むような努力を毎日毎日、何年も繰り返してやっとそれなりにできるようになるのだ。


 過去に存在した聖女というのも大変だな。彼女は王国に迫ってくる魔物の群れを一瞬で消し飛ばしたらしいから起きて魔法、お昼に魔法、夜に魔法、寝ながら魔法、みたいな生活してたみたい。まあ本当かどうかわかんないけど。



 さてさて、今回の聖女はどんな人だろうか。苦行に耐えかねて逃げ出すか、真面目に努力するか。


 前者でないことを願おう。じゃなきゃ私の顔は一生半分だ。死ぬ時に両目に焼き付けたい人がちゃんと見れないじゃないか。



 〈あーあ。私が聖魔法使えたら楽だったのに〉

 「でも聖女って原則結婚できないよ。それでも良いの?」

 〈絶対だめ〉


 そう、聖女は結婚できないのだ。結婚自体はできるが子供を産むと聖力が弱まってしまう可能性が非常に高いので、原則的に結婚はしないことになっている。


 子供を産んでも聖力が変わらなかったり増えたりする事例があったなら良いけど。



 なんかの間違いで聖女2人になったりしないかね。顔のアザを手っ取り早く治すためには自分が持ってないといけない。じゃなきゃ聖女が覚醒するのを待つことになる。そんなの面倒すぎるので。


 「まあ、新聖女に期待するしかないよ」

 〈腑抜けじゃなきゃ良いけど〉



 聖女になると今までの比じゃないくらい良い待遇を受けられる。それに胡座をかくことがないように聖女となった人には厳しい訓練が課せられる。

 羨ましいと思う暇もないくらい鬼畜な内容らしい。


 やっぱり聖女の身分が低ければ低いほど嫌がらせの対象になりやすい。そんな嫌がらせもする気にならないほど聖女は多忙。血の滲むような努力というのはあながち間違いじゃない。

 実際、血が出ることもある。羨ましいわけない。


 でも私は領地で流血騒ぎとか日常茶飯事だったから慣れてる。聖女にならなくても聖属性欲しかった…。なんで1人しか現れないんだ。シエル・マロー。羨ましい。分けてくれ、その属性を。 



 まあ心の中でどれだけ羨ましがっても貰えないものは貰えないわけで。

 欲望はカップに残ったお茶と共に飲み干した。


今回の登場人物


・エリーゼ・ガーナメント(12歳)

・エルシー・ウォルフラン(15歳)

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