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14,久しぶりにお茶会です1ー2

幼少期編はこれにて完結とさせていただきます。次回からは学生編となります。更新は少しずつにはなりますがよろしくお願いします。


 「遅れました、イヴァンです」


 お茶会も少し落ち着いてきたくらいのタイミングでイヴァン様がやって来た。パトリック様が呼んだらしい。予め用意しておいたドライフルーツを出した。その場ではなく屋敷の方で作って持ってきたもの。

 「失礼します」



 イヴァン様は音も立てず、器用に椅子に座りドライフルーツを口にした。

 「美味しいですね、エリーゼ様が作ったんですか?」

 〈はい、屋敷で作ってきました。お気に召して良かったです〉

 「エルシー様」

 「?はい、何でしょう」



 イヴァン様が少しニヤっとしてエルシーを見た。

 「強くて優しくて料理上手のお嫁さんで幸せですね」

 「………!はい。凄く、幸せです」


 頬を染め、はにかんでそう答えたエルシーはこの世のものとは思えないほど可愛かった。美少女もびっくりの美少女ぶり。でも美少年。


 当然私は一発KO。本来ならここで呻き声をあげるのだろうが私には声がないので胸の辺りをぎゅっと押さえる。



 「…もう無理。弟夫婦が可愛い…可愛さで人は殺せるのかもしれない」

 シルス様がブツブツと言って自分も萌えを求めてアンナ様に抱きつく。アンナ様も少し困ったようにしつつ、優しくそれに応えた。そしてまだ夫婦ではない。私はまだ成人どころか学園に入学してもいない。


 あ、そういえば

 「リーは、イヴァンと両想いになったそうだな。おめでとう」


 アクア様がパトリック様とイヴァン様を見て思い出したように言った。

 そう、彼ら、先日両想いになったのだ。1日だけの、正に関ヶ原の戦いと言っても差し支えない合戦の前、夏休み直前くらいにカツ丼をパトリック様に渡した辺りからいつ気持ちを伝えるかを決めあぐねていたそう。



 イヴァン様は身分とか性別とかぐるぐる悩んだ末にパトリック様の告白に応じたらしい。お互い子を残せるわけではないから貴族の爵位を継ぐことはできない。少なくとも今の世の中では。


 パトリック様とイヴァン様は貴族の籍を捨て、平民騎士として生きたいと望んだ。

 イヴァン様が男を恋人にしたという理由で実家から勘当されたのも大きいと思う。


 今のような贅沢な生活はできないし世間の目も厳しくなるとシルス様が確認したが2人の意思は固く、あれよあれよと言う間に平民騎士になった。


 ただ、元とはいえ一国の第二王子が護衛も付けずに市井で暮らすというのにはシルス様も抵抗を示し、騎士団幹部の宿舎に住むように指示したそうだ。


 団長や副団長などといった幹部的な役職の人間だけが住む宿舎で一般兵のものより治安が良い。人数が少ないのと、どういうわけか高位貴族の長男が多いというのが主な理由だ。

 イヴァン様のように中位貴族の三男以降の人間が幹部まで上り詰めることの方が珍しいそうだ。それだけの実力を持ち合わせているということ。



 遅くとも今年度中、来年の4月までには同性婚を認められるように頑張るみたい。これには賛否両論あるがそんなものどんな政策でだってある。

 税金とか政治に関わってくるような政策なら慎重に考えないといけないが同性婚の問題は偏見、固定概念、種の繁栄など個人的な考え方の問題だ。



 その程度のことでパトリック様やイヴァン様を始めとした人達が傷つくのは許さないが法改正自体は前向きに検討されているらしい。私的には国王の実弟に関わることなので下手なことを言えば不敬罪で処されかねないという恐怖もあると思う。


 どんなに優秀でもシルス様が “要らない” と判断したら容赦なく潰されるだろうから。

 横暴だと言われようが話の通じない人間など相手にするだけ無駄という判断だろう。下手したら謀反を起こされるようなことだが懇切丁寧に盛ったり盛らなかったりしてクビの理由を良い笑顔で話すと脂汗垂らして首を縦に振るそう。

 まず謀反なんか起こしたら私達臣下が徹底的に潰す。

 改善の余地ありと判断された人達には厳重注意で済んでいる。恐怖政治ではないよ?だって理不尽じゃないもん。前国王の方がクズだったし。


 それにシルス様もアンナ様も王都だけでなく田舎にも目を向けて現在地方で起こっている問題も対処しているため民の支持が熱い。余程の圧政でない限り賛同されるだろう。


 因みにその地方というのは基本的に国境付近の貴族から報告を受けている。嘘偽りなく報告すれば補助金まで出すので基本問題ない。



 後はアルタイル王国。


 現国王のフレイクス様がグランドル王国と友好関係を築きたいと国民に訴えたところ、賛成の声が多かった。というのも前々からグランドル王国とは貿易などをしていて彼らにとって私達は良い顧客となっていた。

 貿易商品にかける関税に関しても3年に一度話し合いをしていたため商人からの評価が高かったのだ。そしてその話し合いに出ていたのは今も王宮で働いている優秀な財政官と元国王ではなく現国王であるシルス様。それも要因の一つだったと思う。


 この2人の評判は今、二国間で鰻上りだ。


 合戦についての賠償請求もしたが死者が出なかったことと建物の損壊が少なかったこともあり、死者多数の戦争より賠償額は少なかった。

 被害を受けた村に出向き、村民が納得できる額と復興の手伝いを全面的に協力する、そして永久に有効な不可侵条約を結ぶことで決着がついた。

 どちらかが天候の変化などで窮地に陥ればどちらかが援助を出すという約束も王国同士で話し合って決めた。



 今回のことで竜王と精霊王は人間の信仰心によって体を保っていること、そして弱りきって消滅寸前だった自分達を救ったのは私だと大々的に発表したためなぜか聖女聖女と崇められることになった。

 私への信仰心を2人に向けたいとせめてもの抵抗で土魔法を使って像を作ったが余計にそれを強めるだけに終わった。何故。

 後から知ったことだがこの2人を像にして良いのは寵愛を受けた人だけだという。納得はいかないが納得した。



 「エリーゼちゃんも人気になったねぇ」

 〈なったねぇ…じゃなくて、何とかできないんですか〉



 3つ目のパフェを頬張りながらシルス様が言った。私をシルス様の隣に並べないでほしい。この人の人気に私が勝てるわけがないのだ。棒グラフがあれば私との差などもっとわかりやすくなるだろう。悲しくなるから止めとくけど。


 「できないね。落ち着くの待たないと」

 「落ち着くかわかんないがな」

 シルス様の言葉にアクア様が追加で爆弾を落とした。これ以上私の精神を追い込まないでほしいものだ。



 むくれる私を他所に、その場は笑いに包まれた。


今回の登場人物


・エリーゼ・ガーナメント(10歳)

・エリオット・ガーナメント(13歳)

・エルシー・ウォルフラン(13歳)

・レイ・ウォルフラン(13歳)

・アクア・ウォルフラン(17歳)

・パトリック・ウォルフラン(18歳)

・シルス・ウォルフラン(20歳)

・アンナ・ガイアス(20歳)

・マリー・エバネン(13歳)

・イヴァン・アルスフィールド(20歳)

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