14,久しぶりにお茶会です1ー1
結果的に言えば、アルタイル王国は惨敗だった。初めは幾つもの村を落とし、何の関係もない民間人を傷つけていた軍は王都まで攻め込み攻撃魔法を打ち込んだ。
が、シールドを張られほとんどが王都の中心部には到達できなかった。或いは到達に時間がかかっていた。
王都を進み、王宮に辿り着いた敵兵もパトリック様やイヴァン様率いる騎士団によって足止めされ誰一人として中には入れなかった。その中にはレイ様もいたそうだ。殺さずに動きを封じることに関して言えば恐らく最強。
そうして四苦八苦している間に精霊王と竜王によって鉄槌が下されたのだ。
今回の事件、きっかけを作ったのはグランドル王国の現国王だがもう一つ。首謀者はアルタイル王国の現国王とグランドル王国の東の辺境伯だった。アクア様曰く。因みにガーナメント辺境伯は南だ。
アルタイル王国の現国王の祖先は過去、グランドル王国からの迫害を受けていた。そのせいもあってこの国に敵意を持っていた。
その息子である王太子はこちらに対し、敵意は持っていなく、寧ろ共存の道を望んでいた。
この一件で失敗したアルタイル王国の現国王は責任を取るということで退位し、今は軟禁状態らしい。その代わりにフレイクス・アルタイル王太子殿下が即位。私の10歳上。
20歳という若さだった。救いだったのは彼には味方になってくれる貴族が多く、国民からの支持も熱かったという点だろう。
グランドル王国も同じ。国王王妃は今回のきっかけを作ったということで責任を取って退位。今はシルス様の手によって遠い離島に隔離されているらしい。
エルシーに害を為そうとした使用人、平民を蔑視するような発言をした使用人は問答無用で解雇、新たに紹介状すら書いてもらえなかった使用人達は今後職に困るだろう。
シルス様もアルタイル王国王太子と同じく20歳で、立太直後に緊急即位した。それに伴いアンナ様も王妃になった。今は事後処理で皆バタバタしている。
前国王が辺境伯を貶めるような発言をしたことを公表すると辺境伯の価値がわかっている貴族はシルス様についた。そして問題を起こした東の辺境伯は爵位を剥奪され、どの辺を見たのかはわからないが今回大きな功績を上げたとされたレイ様が辺境伯となった。
とはいえまだ学生の身。卒業するまではパトリック様が辺境伯を務めることになっている。パトリック様を正式な辺境伯にしないのはイヴァン様のことが好きだと知っているから。どう頑張っても直系の子を成せないと知っているから。
事後処理の影響で学園の夏休みが伸びたので今は久しぶりに皆でお茶をしている。
その少し前は夏祭りの時に誘拐されそうになっていた貴族の子供、ゴッドソン侯爵家の嫡男であるハリス様が両親と一緒にお礼を言いに来てくれた。
細かいことは父さま達に丸投げし、私は遅れていた次期領主教育を再開した。今日はそんな領主教育が休みの日だ。
「ん〜!久々のエリーゼちゃんのパフェだぁ」
1ヶ月以上私の料理を食べていなかった面々は凄い勢いで皿を空にし、シルス様とレイ様は更にお代わりまでした。
「ごちそうさま。あと、遅くなったけどありがとう。今回の事件解決に一番貢献したのは間違いなくエリーゼちゃんだよ。僕のためにありがとう」
「本当にありがとうございます」
「俺からも例を言う。ありがとう」
そうして全員から頭を下げられてしまった。慌てて顔を上げてもらったが。流石に上位貴族と王族総勢8人から一斉に頭下げられたら慌てる。
〈私のためでもあるので頭上げてください。それにシルス様はもう国王ですしそんな簡単に頭下げるものでもないですよ〉
光の文字でそう伝える。
「…わかった。でも、エリーゼちゃんは臣下だけど僕の数少ない友達でもあるんだから。これからも他人行儀にはならないでほしい。
僕だって馬鹿みたいな話をして声を上げて笑いたい時くらいあるんだからね」
〈はい、わかってますよ。またお弁当も再開するので楽しみにしておいてくださいね〉
「うん」
前世だったら絶対なかった。王族と友達になるなんて。それも10歳も上の。
私の声が出なくなったと知ったときは全員痛々しい表情をしていた。それこそ誰か大事な人を失ったかのような。
でも私が大して気にしていないと知るとまた前のように接してくれた。エルシーとエイ兄さまを除いて一番最初に馴染んだのはやっぱりシルス様。いつものおちゃらけキャラで。その空気感があって皆が馴染めたようなものだ。
今回の登場人物
・エリーゼ・ガーナメント(10歳)
・エリオット・ガーナメント(13歳)
・エルシー・ウォルフラン(13歳)
・レイ・ウォルフラン(13歳)
・アクア・ウォルフラン(17歳)
・パトリック・ウォルフラン(18歳)
・シルス・ウォルフラン(20歳)
・アンナ・ガイアス(20歳)
・マリー・エバネン(13歳)




