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6,兄と王子達は体育祭で活躍したようです(午前の部)1ー3


 最初はエイ兄さまとパトリック様だ。

 「昼食のためにも勝たせてもらおう」

 「最善は尽くしますよ。5分は持たせる」

 「では5分以上、耐えてみろ」


 昼食のためって面白すぎる。エイ兄さまはあまり自信がないようだ。

 土煙が上がった。砂嵐と言っても良い。乾いた音が響きわたるのでどうなっているかはわかるが戦況はわからない。



 5分経った。

 まだ勝敗は決まっていない。刃がぶつかり合う音がしていて待機中のレイ様がドン引きしてる。


 勝敗が決まったのは更に20分後。エイ兄さまの剣が吹っ飛ばされた。こちらに向かってくる。新手のファンサか?思わず手を伸ばして剣を取る。


 「……………あぁぁぁぁ〜〜〜さいっこ〜〜!」

 柄の部分に頬擦り。エイ兄さまがさっきまで両手で握っていたからまだ少し暖かい。

 「ちょ、あの…リーゼ?それ、あの、か、返して?」

 「怖すぎ」

 「変態だな」


 ひとしきり愛でた後、エイ兄さまに返した。顔を真っ赤にしてフラフラと自陣に戻っていく。大丈夫だろうか。

 「エリーゼちゃんってこっちが想像してたより変態なんだね」

 「お互い溺愛しているとは知っていたが、犯罪臭がするな」


 シルス様とアクア様が好き放題言ってくる。

 なによ。なによ!そんな目で見るな!

 「むぅ!そんなこと言うならみんなの分作ってあげませんよ」

 「それは駄目!ごめんなさい!」

 「…悪かった」


 腕を組んでフグ顔すると即謝罪された。全く、食欲に抗えない人達で良かった。

 2種目目は魔法である。魔法と言っても、攻撃し合うわけではない。



 魔法造形。予め作った魔道具を披露する人や魔力を物体の形にする人もいる。文化祭でも魔法造形はあるが、体育祭は一生残るものでも儚く散っていくものでも良いことになっている。ちょっとだけ自由度はある。これは希望者のみだが選手はほぼ魔法実習棟の生徒。


 体力のないエルシーは魔法の扱いには長けている。剣の扱いに長けているレイ様は魔法を形にする才能が皆無。剣に纏わせる才能は天才的だが。そしてエイ兄さまは剣の扱いも魔法造形も得意だ。小さい頃から私と魔法をバンバン使っていたからだろう。


 再びキャアキャアと黄色い歓声が上がる。エイ兄さまは本当に人気だ。未婚、顔よし、表向きの人当たりはよし、あらゆる才を持つ。

 可哀想に。イライラメーターがまた上がっていってる。


 今回出場するのはエイ兄さま、エルシー、あとは子爵家の子息が1人、平民の青年が1人、アンコールでアクア様。体育祭から騎士団にスカウトされたパトリック様と違い、アクア様は自ら魔術師団の試験を受けて魔術師となった。

 若干14歳。婚約破棄の直後だった。何を見せてくれるのかとの声もちらほらと。


 少し目を離した隙に何かあったのか、周囲から歓声が上がった。エイ兄さまでなかったので安心。エルシーと同じチームになった平民の青年だ。氷の魔法で沢山の鳥を作って私達の頭上を飛ばせた。


 5月とはいえもう初夏。気温はそれなりに高い。そんな中、氷の粒が周囲の気温を数度下げる。

 「可愛い…」


 思わず感嘆の声を上げる。涼しいというより、鳥達が可愛い。

 その後、子爵家子息のも終わり、いよいよ大目玉、エイ兄さまとエルシー。


 エイ兄さまは水と緑、エルシーは緑。

 エイ兄さまは真ん中に立って何かを思いついたのか、エルシーを引っ張って戻ってきた。黄色歓声の中に困惑の色が混ざる。私も困惑している。エルシーも。

 シルス様は面白そうに笑っている。アクア様は1種目目に見せたパトリック様と同じような顔をした。

 ど真ん中でエルシーにコソッと耳打ちしたエイ兄さま。イケのメン。




 「っ………!!」

 天空に現れたのは色鮮やかな珊瑚礁とその中を自由に泳ぐ熱帯魚達。そこまでならまだ良かったかもしれない。突然熱帯魚が一つの塊になって一人の美女を作り出したと思えば更にそれが人魚となって消えたのだ。美女は恐らく、水の精霊ウンディーネ。うちのマリンもウンディーネだ。


 一際大きな歓声が上がった。

 反則なのではと思う人もいるかもしれないが、複数人でやってはいけないというルールはない。

 「アクア様、大丈夫ですか?」

 「…ああ。何とかな」


 強張った顔は前を向いた瞬間にいつものキリッとした表情に戻った。そして小声で「今度アップルパイな」と呟いて席を離れた。今度おやつに作ってあげよう。ちなみにシルス様にだけは聞こえていたらしく、派手に吹き出していた。



 アクア様は名前から連想される通り、水属性の加護持ちだ。でも、魔道具を介し、様々な魔法を使う。

 アクア様が白く細い腕に光る腕輪を外し、空へ高く投げると満天の星空が浮かんだ。この世界にそういったものがあるかどうかはわからないが天の川まである。天の川を挟むようにして男女が立っている。


 凄い…!織姫と彦星が手を取ってその場でワルツを踊りを始めたのだ。そしてそのままゆっくりと消えていった。

 全てが終わり、青空が再び現れると大歓声が上がった。前世の人気アイドルのライブ会場のようだ。かく言う私もその一人だった。シルス様とアンナ様も手を叩き、パトリック様は弟の活躍を、誇らしげに笑った。


 例年にないくらいの盛り上がりを見せ、午前の部は終了した。昼食を挟んだら午後の部が始まる。



今回の登場人物


前回と同じです

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