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6,兄と王子達は体育祭で活躍したようです(午前の部)1ー2


 この世界にはスマホもカメラもない。前世で使ったことがあるわけでもないが、とにかく画像保存ができない。しっかりと目に焼き付けておかなければ。

 「ドライアイになる前に瞬きはしろよ…って聞いてないか」


 遠くで誰かが何かを喋っていたが私の耳には入って来なかった。

 1種目目は剣技。魔法は使わずに純粋な剣の技能だけを競う。騎士団にスカウトされる人もごく稀にいるそうだ。そう、4年前に宣言し、騎士としてその名を轟かせたパトリック様のように。

 今回ぶつかるのはエイ兄さまと上位貴族のプライド高しお坊ちゃま。おかっぱ頭で身長は中の上と言ったところだろうか。エイ兄さまを見て汚い笑みを浮かべている。辺境出身だと馬鹿にしているような目だ。

 「やっちゃえ」

 ボソッと言った言葉はしっかり届いていたようで、こちらを見て小さくピースしてくれた。まじファンサ。今日もエイ兄さまはカッコいい。エイ兄さまは未婚既婚関係なくお嬢様方に人気だ。顔が。黄色い歓声が鳴り止まないが本人は煩わしそうだ。エイ兄さまは音があると集中できないから。


 そうしているうちに、開始のゴングが鳴った。

 「ひっ…!ぎゃあぁぁぁぁ!」


 開始5秒、情けない声をあげたのは相手だった。あまりにも歓声が止まらないのでイライラしたエイ兄さまが相手のおかっぱ頭を剣で刈り上げたのだ。左右対称に揃えられた髪は右側が全剃り。左右非対称になってしまった。プライドが高いおかっぱもどきはショックで膝から崩れ落ちた。そしてカウント10で敗北。


 勝者、エイ兄さま。

 ざ・ま・あw


 私がニヤニヤしていると、パトリック様がブルッと震えて自分の腕を摩った。

 「髪全剃りは勘弁してほしいんだけど」

 「?どういうことですか?」


 パトリック様の髪を剃るほどエイ兄さまは命知らずじゃないと思うけど。

 「一回戦目で優勝した奴と二回戦目で優勝した奴、アンコールで俺と戦うことになってる。このままだと俺はレイとエリが勝負相手だ」


 剣技に出るチームは8チーム。4チームに絞って、2チームに絞って、決勝。を、2回行う。チームの中で2人選んで1人づつ出る。

 そして優勝者がアンコールで騎士団にスカウトされたパトリック様と勝負をする。イライラしたエイ兄さまに髪を剃られることを危惧しているようで実に面白い。


 「エイ兄さまは歓声が嫌いですからねぇ。挑んできた奴全員の髪全剃りしそう。髪が惜しい棄権者が出るかもしれませんね」

 「しれませんね、じゃなくて。何とかできないのか」

 「観客に威圧でもします?」


 竜の威圧とかは戦意を喪失させるくらい怖いからな。この国では守護竜として敬われている存在だけど。私が危ない魔物要らないって願ってから魔物は出てきてない。それより前は普通にいたらしいが竜が吹き飛ばしていたそうだ。今も何種類かはいるらしいが何故かいきなり家畜化に成功したという。


 「エリーゼちゃんの威圧は怖いから無理」

 あ、私の威圧も怖いそうです。

 「パトリック様の髪が危険ですけど」

 「騎士だから大丈夫でしょ。なんとかなる」

 シルス様がウィンクして親指を立てる。

 「勝ってほしいが負けてほしい」

 複雑そうだな。


 「パトリック様の好きな物たくさん作りますね」

 「絶対勝つ」


 王子は、食欲に弱い。これぞ正に背水の陣。

 ちなみに、パトリック様の一番のお気に入りはピザだ。ピザつくるか。お米ピザってのが私の転生チートレシピに入ってる。


 アクア様のお気に入りはアップルパイ。

 シルス様はフルーツ盛り盛りの甘いパフェ。

 そしてレイ様のお気に入りはフルーツゼリー、エイ兄さまのお気に入りは生ハムのサラダ、エルシーはおにぎりだ。おにぎりならお米ピザも食べられるだろう。朝もおにぎり、昼もおにぎりだったら結構辛いからたまには。


 「うぉぉぉぉ!」という歓声が聞こえた。一回戦目の決勝だ。ガタイのいい男の人が決勝まで残ったエイ兄さまを見下ろしている。表情に嘲笑が表われてる。

 「感じ悪」

 「エリに仇なす輩も消しそう」

 「消します。物理的に」

 「エリが返り討ちにすることを切に願う」

 パトリック様はもうエイ兄さまとぶつかる気満々だ。


 キンと刃がぶつかる音がした。自分より大きい相手からの剣を真顔で受け止めるエイ兄さま。まだイライラしてるみたい。歓声、うるさいもんね。


 「はっ!避けることしかできないのかこの臆病者が!」

 「はあ?」

 エイ兄さまを侮辱するなんて、命が惜しくないのかしら。

 「殺気をしまえ殺気を」

 おっと失礼。エイ兄さまよ、殺ってしまえ。

 「殺したら失格だからな」

 そんなことわかってます。心の問題です。

 結論から言おう。


 瞬殺だった。魔法も何も使っていないのに、瞬殺だった。凄い。パトリック様がちょっと怖気付いてる。ほぼ瞬間移動。


 「ふふ、可愛い妹の前で無様は晒せませんから。勝たせていただきましたよ」

 カウント10。エイ兄さまの圧勝だ。

 そして、長くなるので割愛するが、レイ様も余裕の優勝だった。



 「胃がキリキリする…」

 「待ってますね」

 「行ってくる」

 ご飯の話題を出すと帯剣して王族席を去って行った。


 「あいつも餌付けされてんじゃん」

 パトリック様が出ていくと歓声が更に大きくなった。未婚のイケメンで地位も高い。それに加えて騎士団の隊の幹部。モテモテだろう。


 そのことを言ったら「寄ってくる女どもには恋愛対象は男だと言っている。結局それもある意味事実だ」と言われた。女と婚約するのはさぞ辛かっただろう。婚約破棄できて良かったね。


 騎士団に好きな人がいると言われた。猛アタックしてるらしい。応援しとるぞ。付き合ったらお祝い料理作ってあげよう。それを聞いたシルス様は「国王権限で同性婚を許可しようか。父上は許可しなかったからな。弟の幸せは僕の幸せだ」と言っていた。

 やばい。兄としての想いが限界突破しそう。あれだけアクア様推しだったのに。今は国王になる気満々だしアクア様もサポート側になる気満々だし。


 でも、パトリック様が猛アタックか。意外と可愛いな。デートの日はカツ丼を作ってあげよう。験担ぎにね。

 私がまたメニューを考えていると再び試合開始のゴングが鳴った。


今回の登場人物


前回と同じです

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