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魔王の記憶【前編】

 ここは何処だろう?暖かくもあり冷たくもある。

 よく分からない。

 俺は、死んだのか?


『そうよ』


 そうなのか、俺は死んだのか。案外あっさり死んだものだな。


『そうね。あっさりと殺られていたわ』


 はは、手厳しいね。

 俺にもっと力があったら楓を助けれたのだろうか?


『無理ね。魔王の強制支配は魔王が死んでもその使命を果す為に動く魂に刻まれる支配能力だから。いくら力を付けても魂には影響を及ぼせないから意味無いわ。あ、勿論例外はあるけど君は違うよ』


 はは、そうかよ。

 力があっても楓を助けられないのかよ。クソだな。


『これもぜーんぶとある神が仕組んだ事だろうし、クソは神ね。この世界の神は良い方だと思うけどね』


 神、か。

 この世界にダンジョンを生み出したのは神様なのか?


『そうね。君が知っている神では無いと思うけど』


 そうか。


『ねぇねぇ、そろそろそのノリ辞めない?何平然と話しているの?それとも走馬燈的な何かだと思っているの?』

『空気を読めよ』

『ここに空気はないわ!』

『は〜阿呆』

『え』


 なんか増えた。

 てか、本当にここは何処だよ。

 俺は死んだのだから天国だろうか?


『私が居る時点で天界には行けないわよ。そもそもあんなゴミ貯めの場所に行きたい訳?魔界の方が楽しいわよ』


 よく分からない単語をペラペラと並べて何が言いたいんだよ。

 それに、ここは何処だ。


『君の魂の内側と言ったら良いかしら?てか、そろそろ起きなさい!』

「ぐべぇ」


 顎(と思わしき所)を蹴られて俺は意識を覚醒させる。


「え、と君達は?」


 そこには小さな少女なのに言動が大人っぽい人(?)に大人の女性が居た。

 少女は服等が漆黒と赤の色で構築され、禍々しいオーラを纏っている。

 反対に女性は純白と金色こんじきで構築された服に純白な髪、神々しいオーラを纏っていた。

 まさに対の存在が目の前に居る。

 さらに、少女には漆黒の翼が左右に2枚づつ生えており、反対に女性には純白の翼が左右に2枚づつ生えている。


『私は和元魔王、魔族、魔物の頂点であり生み出し者。原初の魔王お呼ばれ魂を研究していた1個人。名は忘れた』

『私はこの魔王を討伐する為に産まれた元人間。777代目勇者。名は忘れた』

「は?魔王?勇者?」

『そうね。どうせ分からないだろうし記憶を共有した方が速いわね。あ、全部見せると君は本当の意味での死を体験しそうだから重要な所を共有するね』


 そう言って少女は俺に右手を翳し、何かを唱える。

 それに合わせて俺の中に沢山の記憶が映像として見えて、それを追体験するかの如く感情まで入り込んでくる。

 悲しみ、憎しみ等の感情が俺の中を掻き乱す。

 脳が焼け切れるような痛みがずっと続く。


 それが、収まり段々と整理が付いた。


 こことは違う世界の1つの惑星。

 そこでは神の遊びかなんらかの狙いで人間同士の争いが続いていた。

 それに嫌気を刺したとある研究者がその惑星の不可視物質を見つけ出した。それが、魔力と呼ばれる力だ。

 その研究者は魔力を研究しまくった。

 研究によって人造人間を作り出し、それに自分の研究を繋げて、何年、何十年、何百年と研究をして、ついに完全人工生命体の製造に成功した。

 それが、原初の魔王だった。


 作られた原初の魔王は自分の存在がなんなのか、自分はどうして産み出されたのかが分からずに混乱し、自分が扱える力を持って暴走した。

 人造人間を破壊し、研究室を粉砕し、全てを塵にした。

 そして、魔王は自分がなんなのか、それを探し求めた。


 魔王は長い年月を生きても成長をしない事を悟った。

 そして、この惑星の人間達と触れ合い、幸せがなんなのかを覚えた。

 しかし、それは長くは持たなかった。

 戦争だ。

 人間同士の私利私欲に満ちた不毛な争いが魔王に与えた幸せを奪った。

 それでも、魔王は人間を憎めなかった。

 幸せをくれたのも、幸せを奪ったのも、人間だからだ。

 魔王は知識を求めた。

 自分の存在理由を探すのでは無い。戦争を終わらせる方法を探る為だ。

 結果としては見つけられなかった。


 魔王は自分が扱える特別な力をもって抗い続けた。

 自分の力が魔力と名ずけ、魔王は自分を作り出した研究者のように研究をし始めた。

 自分の寿命は無いと感じ、自分が望む結果に成るならどうすれば良いのか、考え思考して研究した。


 それから一体何年経っただろうか?

 何十年?何百年?或いは何千年との時間を研究に費やした。

 久しぶりに見た人間の国はなんの進展も無かった。

 いや、少しはあった。

 その全てが戦争とゆう馬鹿げたモノの為だった事に魔王は溜め息を吐いた。


 魔王の研究は人類の及ぶモノを越えていた。

 まさに鬼才だった。

 人間が人造人間を作り、人造人間が研究を続けて魔王を作った。

 そして、魔王は魔物と呼ばれる化け物を作り出した。

 魔力の塊を動物等に植え付けて突然変異させる。

 魔物は新たな魔物を産み、違う場所に順応する為に進化した魔物もいる。

 さらに、魔物は知恵を付けて、新たな進化を繰り返した。

 そして、人のようになった魔物が魔族と呼ばれるようになった。


 この時、魔王は目にした。自分が望む結果に繋がる希望を。


 魔物は世界に脅威をもたらした。

 結果、人間は魔物と戦う力を手に入れる為に協力関係を募った。

 戦争なんてしていたら魔物に滅ぼされると考えたからだ。

 魔物を共通の敵とする事で人間は手を取り合い協力する。

 人間同士の戦争が無くなり少しの平和がもたらされる。

 魔王は思った。


『自分が最悪の敵となれば人間は争わない』


 と。

 自分を孤独にするような考えだが、魔王はなんの躊躇いも無くその考えを実行した。

 心を鬼に、魔王にして1つの国を魔物と魔族の力を使って滅ぼそした。

 そして、人間は魔王を最強の敵と認定し、世界共通認識とされた。

 この時、魔王は本当の意味での魔王となった。


 人間は協力し、魔王を倒す術を探す。

 その結果によって起こる平和は魔王が望む平和から少しズレてはいるが、人間同士の戦争が無くなったのでそれで良かった。


 魔王は新たな魔物を作りだし魔族をと繰り出した。

 違う魔物同士を組み合わせた合成魔物キメラを生産した。

 その合成魔物キメラは自分の能力を自ら決め、合成能力の汎用性を捨て、特化型にした。

 それが、動物から魔物になった魔物とは違う魔物が産み出された結果となった。

 そして、魔物や魔族は魔王の意思では制御しきれなくなり、暴走した。

 色んな国が滅んだ。

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