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魔王の記憶【後編】

 魔王が抑えられない魔物達の暴走により、人間は数を大幅に減らして行った。

 そんなある時、世界は変わった。

 勇者と呼ばれる絶大な力を持った人間が産まれるようになったのだ。

 この時には色々と複雑な世界になり、混沌として人間以外の種族も産まれるようになっていた。


 が、勇者はあくまで個人であり1人なのだ。

 たったの1人では大多数相手には、ましては化け物揃いの敵に対して勇者個人の力はさほど脅威にはならなかった。

 魔族は安堵、人間達は絶望していた。

 そんな中、神と名乗る物質が世界に降りてきた。

 神は魔族の大半を減らした後に人間達全てに力を与えた。

 神は最後に一言、抗えと、そう言った。


 人間達は神を崇め、力を高め、魔族との戦争を打って出た。

 この頃には戦争で使った道具の生産は止まっており、剣などの武器が多くなった。

 魔法を使う者も現れだした。


 魔王は神を恨んだ。終わらぬ戦争は止めなかったのに魔族は滅ぼそうとしているのだ。

 皆、全てが自分の子供である魔王に取っては怒り心頭だったが、人間を殺し過ぎたのもいけないと考え直した。

 自分は人間同士の戦争を止めるだけ考えて行動してきた。と考えて怒りを止めた。

 もう問題ないと判断した魔王は信頼する魔族達と隠居した。

 魔王が消えた魔族、そして魔王が最も信頼を寄せていた魔族以外の魔族達では人間の激震は止めれなかった。


 魔王は信頼する魔族、家族と共に平和に暮らし人間の平和を見守る予定でいた。

 が、魔族が消え、魔物が脅威で無くなると再び人間同士の戦争、それだけではなく亜人と呼ばれる魔族でも人間でも無い種族も戦争に参戦した。


 魔王は考えを色々と建て直し、新たなる決断と覚悟を持って、そして自分の目的の為に、再び魔王となった。

 魔王は魔族の生産を速めた。速く、人間達に絶対の敵対者の力を付ける為に。


 魔王の元に勇者が現れた。

 勇者は56代目だと言っていた。

 勇者は魔王を倒すために特訓をして、そして魔王と退治した。

 結果は魔王の圧勝であった。


 何年も何回も勇者は現れ、魔王に敵対し、殺られていく。

 魔王は神に関する事を調べていた。

 神にも見抜けぬようにこっそりと、神を殺せるような力を研究して行った。


 ある日、再び神と名乗る物質が現れた。

 そして、神器と呼ばれる絶対的な武器を人間に与えた。

 勇者が神器を握り、魔族を大量に屠っていく。

 魔王は最も信頼する魔族を安全な所に逃がし、研究を進めさせ、魔王は神器を手に入れるべく勇者と敵対した。

 勇者を倒したら神器は次の勇者の元へと向かっていく。


 何回も何回も神器を持った勇者と退治し、神器の解析を進めた。

 そして、魔王は神器に匹敵するような魔剣を創り出した。

 神をも殺せる武器を⋯⋯創ったと思った。

 だが、例え硬質な鉱石が切れようも、大量の人間を一撃で切れようとも、これでは神を殺すどころか攻撃も出来ない。


 魔王は研究をしながら勇者を倒した。


 既に勇者は527代目だと言う。

 時が経つのは速い。たが、自分の成長は遅い。

 何かが違うと感じ始めた魔王は目に見えない研究を進めた。

 そこで、見つけ出したのは魂と言う誰しもが持っている物質であった。

 魂を壊せば神でも殺せる。そう感じた魔王は魂の研究を始めた。

 研究して研究して試行錯誤を繰り返し、ぶつかった。

 絶対的な壁に。

 自分は転生をした事がなく、魂はあるがそれを操れない。

 1度、魂だけの存在にならなくてはこれ以上は進めないと感じた魔王は転生をしようと考えて転生の研究をし始めた。

 たが、いくら研究しようともそのような現実的ではない魔法は創れなかった。


 そんなある日、価値観が全くの逆であり、魔王に近い価値観を持った勇者が現れた。


 それが、777代目勇者、過去の勇者よりも圧倒的に強く、優しく、厳しい。

 魔王が最も信頼する魔族の1、2を争う実力者よりも強い。

 自分よりかは弱い。


 勇者と魔王は会話をした。

 価値観の合った2人の会話は大いに盛り上がり、そして分かった。

 決して魔族と人間が仲良くなってはいけないと。

 そうなると今度は人間と魔族が力を合わせ、同じ様な人間と魔族と同士戦争が始まるからだ。

 この世は戦争を起こすように出来ている。

 神が創り、神の為の神による遊び場のこの世界に希望はないのだろう。


 魔王は最も信頼する魔族の1人に時期魔王を任せた。

 魔王はこの世を救う。完全に救うと誓い、勇者と共に魂となり新たな生を受ける。

 転生をする予定だ。

 そのような魔法はない。ないが、魂を自覚し、ある程度分かった今なら輪廻転生を意識を持ったまま出来るのではないかと、考えた魔王。

 魔王の考えに共感し、外図らは争っている魔王と勇者は一緒に魂となった。


『神を殺し世界を救う』それだけを目的とし。


 だが、手違いがあった。

 神が直接手を出さなかったのはしなかったのでは無い。出来なかったのだ。

 そして、魂となり世界の理から1度離れた2人の魂に攻撃をしてきたのだ。

 2人の魂は世界を渡り逃げ切った。

 だが、既にボロボロ今のまま輪廻の輪に行ったら消えてしまう。

 2人の魂は回復を待った。

 何年、何十年、何百年、何千年、或いは何万年。

 一体どこまで待っていたのか、全く分からない。

 魂は一切合切回復しておらず、寧ろ綻びが広がるようにボロボロと崩れていく。


 2人は悟った。神には自分に出来ぬ事も出来、神には出来ぬ事はないのだと。

 産まれ、育った星を、世界を、救う事が出来ないと悟った2人は絶望した。


 が、そんな時、何かに引っ張られ魂が何かに宿った。

 その瞬間、2人の魂は1つの魂を経由して繋がり、魂は徐々に再生して行った。

 どうして再生したのか?

 すぐに分かる答えがあった。


 この魂には神の力の破片があり、そしてその力によって本来持っていた力を強化してくれたのだ。

 2人は魂の中で急速な成長を遂げ、意思を持ち、魂を持ち、完全に復活した。1つの肉体の元に。


 2人は自分達の全知全能を持って更なる力を求めた。

 神を殺せ、全てを救える力。


 そして、2人はその力を手に入れた。


 ◆


「なあ、どうして神の存在がそんなはっきりと分かったんだ?」

『記憶があるでしょ?』

「いや、そんな何千年とした記憶なんて全て見えねぇよ。いや、この状況も本当は狂う筈なんだがな」

『はは、そうね。世の中には私達の世界のクソ神のような者が入れば、貴方の世界の神のように良い神が居るって所ね。神を憎み神をも殺す。それが、私達の望みであり目的であり、通過点よ』

『だから翔、私達に力を貸して欲しい。私達も全知全能を持って翔をサポートするわ』

「⋯⋯質問がある」

『『⋯⋯』』

「⋯⋯君達を受け入れたら楓は助けられるか?」

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