日向の決意と覚悟
私はどうしたらいいのだろうか?
戦えば、誰かを助けられるのか?泣き叫べば、誰かが助けてくれるのか?
己の力は借り物の力だ。
リヴァイアサンの言い分は分かるし分かっていた。
魔物の気配?なるものも何となくだが分かっていた。
でも、戦うのが怖い。血を見るのが怖い。
翔さんが普通に戦える方がおかしいと私は思っていた。
私の体は今、リヴァイアサンが操って戦っている。
テレビを見る感覚で映像が見えるのだ。
蛇のような龍が空を飛んで、火を吐いてそれを躱しているのだろう。画面が切り替わる。
リヴァイアサンは私の体だと分かって気を使っているのだろう。
契約前でも相当強いリヴァイアサンが契約して肉体を得たと言っていた。
なら、私の体では無く本当のリヴァイアサンの体でリヴァイアサンが戦えば勝てるのでは無いか?
「うぷ」
吐き気は無いのだが、気分的な問題で吐き気がする。
咄嗟に口を抑える。
リヴァイアサンは意識していなそうだが、画面の端に血が映っているのだ。
それだけでは無い、人の体と思われる、てかそれにしか見えない物がそこら中にある。
気持ち悪い。怖い、見たくないのに、目を瞑っても見えてしまう。
これが、精神的な何かの世界と言う事なのだろうか。
『地龍!地形操作で我を飛ばせ!』
『あい分かった!』
数秒後に画面が龍に向かって拡大していく。
急速に近づいて居るのだろう。
右手が画面に映る。
右手から水が出て来てその水が自由に動いて龍に向かって進む。
しかし、龍は体を纏めたかと思ったら口に火を溜めて吐き出し、火の玉で水を相殺する。
水蒸気が辺りに広がり画面が見にくくなるが、龍のシルエットの影は見える。
それは、リヴァイアサンも同じようで足から水を噴射して後退しているのか、画面から龍が小さくなっていく。
「勝って⋯⋯」
そう願う。願うしかない。願う事しか出来ない。
翔さんは守ってくれると言ってくれた。⋯⋯なら、私は守られるだけの存在ではなく、翔さんの隣に立てる翔さんを守れる存在になりたい。
「力⋯⋯ない。私にできる事?」
私に、できる事⋯⋯
◆◆
「くっそ!空飛んでないで降りてこいや!」
『どうする女子よ?』
「⋯⋯⋯⋯」
リヴァイアサンは思う。
自分の本来の体を出すにはまだ力が回復仕切ってない。
日向が召喚として呼び出すのなら数分だが体を出せるが。
無い者強請りは良くない。
『聞こえる?』
(⋯⋯ッ!日向?どうした?あまり意識をこちらに向けると心をさらに悲しめる事になるぞ?)
『分かってる。今は人達が画面に映ってないからそこそこ大丈夫』
(画面?)
『それは置いて置いて、私に出来る事をしたくて』
(何をする?)
『⋯⋯私は戦えない。リヴァイアサンは自由に体を操れない』
(ああ、それがどうした?)
『だから、私が体を動かして、リヴァイアサンが戦う、それで良い!』
(それが簡単に出来ると思ってるのか?)
『簡単に出来ないだろうね。だから、感覚を1つにする。貴方なら出来るんじゃない。2つを1つに固め、圧縮して1つにする』
(戻れなくなるかもしれないぞ?)
『それでも、構わない!いや、本当は嫌だけど。私は私が出来る事をすると決めた。だから、最善を尽くす!それだけ』
(分かった。少し時間が掛かるな)
リヴァイアサンは大声で叫ぶ。
「地龍!少しの間頼む!時間を稼いでくれ!」
『そんなに持たないぞ!』
「分かった!頼む!」
リヴァイアサンは戦闘から離脱し、なるべく離れて岩陰に隠れる。
正確には瓦礫の山だが。
「さて、あの方ならともかく我に魂を細かく操れるのかな?まあ、やるしかないか」
リヴァイアサンは魂に意識を向ける。
『初めてきちんと顔を合わせたね』
『そうだな。日向、まずは役割を決めないといけんぞ。日向が体を動かすなら攻撃のパターンが難しいんだ』
『確かにね〜。私に戦い方が分かれば良いんだが』
『記憶を操作するのは無理だしな〜記憶は魂じゃなく脳だから。下手しなくても脳が壊れそうだ』
『ヒッ!それは怖い』
『やらんやらん。まあ、我々は楽観的な性格出し、なんとかなるかもしれんな。そもそも契約は魂で繋がるのだし』
『あ〜難しそうだな。契約が魂で繋がっているなら契約内容でそこら辺が出来たら良いのに』
『はは、勝手に決めつけるなって』
『はは』
『あはは』
『やってよ』
『あい』
リヴァイアサンは契約を書き換えて再度契約をしてくれるようにお願いする。
『契約内容は我との同化。日向は体を、我は力を、契約』
『その契約に従う。契約』
1人と1体の魂は『契約』とゆう依代を使って混じり合い、1つに形を作っていく。
龍人と龍の魂が合わさる事によって新たな魂の進化を遂げる。
『『契約を持って我が魂の半分を授け、貰い受ける。我々に新たな進化を示せ』』
1人と1体は無意識にその呟きを交わす。
魂の半分を削り、渡し、半分を貰い、自分の魂に結びつけ修正。
ここに、世界の理から外れた『例外』がまた、1つ増えた。
本来、魂は1つの肉体に1つ。神も例外では無い。
しかし、ここに、甘百合日向の体に2つの魂が生成される。
《エ■■、システムの■構築を■■します》
所々文字化けして聞き取りにくいノイズのような声が日向とリヴァイアサンに聞こえる。
「さて、出来たかな」
近くに死体が見えるが動じる様子のない日向?が自分の体を確かめるように数回のジャンプや拳を握っては離す。
「これって、本物の龍人ではないだろうか」
特に羽、尻尾は無いのだが体の一部が蒼色の鱗になっているのだ。
「ステータス確認した方が良いかな?⋯⋯ステータスオープン」
『何も起こらんな』
「そうね」
『普通に話した事に驚かないの?』
「いや〜何となくだけど私以外の何かの気配?感覚?があるからね」
『そうかい』
「まあ、スキルとか見えなくても何となく分かるし良いや。龍装!」
靴が弾け龍の如き足になり、服が蒼色の鎧、では無く服が出来る。
その服は鱗で出来ているようで防御力は高そうだ。
露出度はなるべく抑え目にしてある。
手などの甲には鱗があるが爪が伸びた訳では無い。
それに、手のひらは人間の手だ。
「力が増した感覚は分からないけど、体が軽いし強くはなったのかな?この体でも覇水龍を呼び出す事は可能?」
『分からん』
「まあ、今は良いかな?後々分かるかもだし」




