決着
残像を残しながら横に動く白虎に目線を合わせるのでは無く、空間を把握する方を優先させる為に視覚を遮断する。
(こんな相手には視覚は邪魔だね。白虎には空間転移も余り意味が無い。それに、徐々にスピードが上がっている気がする)
色々と試行錯誤を戦闘中でもやっていく。
白虎も奏の動きを観察しながら戦闘を繰り返していた。
爪と剣がぶつかり合い轟音と火花を散らし、衝撃で地面は浮かぶ。
「縮地」
『なっ』
縮地は空間を小さくして瞬時に移動できる空間転移の下位互換だ。
縮地の最大射程は10メートルと短いが空間転移よりも早い速度で使えるのだ。
さらに、縮地は空間転移と違って空間を縮めて移動しているので縮地で動いたところに斬撃等も残る。
それを奏は利用して不規則な剣の速激で白虎に攻撃したが、それを少しかする程度で躱す白虎。
『魔法の応用か、【氷之伊吹】』
「重力操作」
白虎の氷のブレスを空間の重力を重くして捻じ曲げようとしたが、関係なく真っ直ぐ飛んでくる。
「面倒臭いな」
空間転移を使用して氷之伊吹を回避する。
地面に降り立ちながらどうして重力操作で重力を重くしたのに氷之伊吹が飛んで来たのかを考える。
「そうか!氷で重力に課せた魔力を凍らせたのか!」
『あの一瞬で見破るとは、なかなかやるようだな。しかし、余りお主に力を使う訳にはいかないのでな、早めに終わらせるぞ』
「へえ〜殺れるモノなら殺ってみなよ」
『白爪』
「圧縮剣」
爪が白く輝き切り裂こうとする白虎に正面から空間を圧縮して向かい打とうとする奏。
空間を圧縮した事により一撃がより重くなり、距離が短くなったので結果的に攻撃速度も上がる。
白虎の爪と奏の剣が火花を散らしながら衝突し、地面のアスファルトが禿げていく。
近くにあった誰かの自動車も色んなところに飛んで行き、電柱は折れ、配線もちぎれていく。
白虎と奏が戦闘している範囲直径60メートル内は既に滅茶苦茶になっていた。
白虎と奏は同時に後退する。
「グッフ」
『やはりお主では我には勝てんぞ。玄武や朱雀はやられたらしいが、お主では無理だろうな』
「はぁ?私が、お前に、⋯⋯お前らに負けるだと?ふざけるな!私はお前を倒し楓を助ける。それだけだ!」
『それが素なのか?残念美人とゆうのかな?』
「ごちゃごちゃうっせー」
奏の剣を握っていた右腕の骨が骨折したが、すぐさまアイテムボックスからポーションを取り出して空間を圧縮して割り、液体を腕に掛けて修復していく。
奏は腕が修復された瞬間に地を蹴って白虎に接近する。
上から振り下ろす剣を白虎は高速で後ろに下がり躱すが、
「縮地」
縮地を利用して下から上へと、さらに少し進むようにありきだしながら剣を振る。
『2度目は当たらんぞ』
1度見た技なので白虎は余裕で躱す。
白虎は反撃とゆう意味で氷之伊吹を吐き出すが、視覚を遮断して感覚のみに集中して空間に意識を向けていた奏もジャンプで躱す。
「おっと」
着地した時にバランスを崩して転けるとゆう失態を犯し、その最大の隙を見逃す白虎では無く高速で奏に近づいたが、奏は縮地が後ろに動いて躱す。
「畜生!細かい所まで把握出来なかった」
相手の攻撃や動きを意識しており足場のでこぼこが分からず、足を躓かせたのだ。
「やっぱり視覚はあった方が良いかな」
目を開けてその青眼を白虎に向けながら剣を構える。
(結構滅茶苦茶な地形になっていたな)
ここまで町が壊れる事なんて日本初の迷宮崩壊の時以来だ。
つまり、それだけ白虎が強く、戦闘が過激化していた事になる。
「楓がいたらもっと楽になっていただろうに」
『そろそろ終わらせるぞ!』
「来い!」
白虎は爪を地面にめり込ませ青白い輝きを放つ。
対して奏は白銀の剣に斬撃方向に重力を乗せ、縮地の準備をする。
『白虎風魔走』
「来いやああぁああ!」
白虎の青白い光がさらに輝き、少し収まった時に白虎は青白いオーラを纏い、そのオーラと虎の形をしていた。
オーラの虎型の顔が白虎の顔に被さるように出来おり、新たに大きな虎が出来たような感覚に陥る。
『ハァ!』
白虎の気迫と共に駆け出した速度は奏の空間把握能力を突発し、奏の思考速度では認知出来ない速度で繰り出せれた純粋な『強化突進』で奏は何も出来ずに吹き飛ばさせる。
ビルを3個程貫通し、ビルの壁に当たって止まる。
瓦礫が崩れ落ちるが運が良く自分の所には落ちて来なかった。
「はぁ⋯⋯⋯⋯あ?⋯⋯ああ?」
既に頭からも血が出て意識が朦朧とする中ではっきりと分かる、見える存在が居た。
『流石は高レベル。ギリギリで耐えていたか。しかし、もう終わりだろう?楽に逝かせてやる』
白虎は再び『白虎風魔走』の準備に取り掛かる。
(こんなところで負けて良いのか?⋯⋯大切な⋯⋯友を、守れないで⋯⋯助けれなくて、⋯⋯⋯⋯⋯⋯何も、無かった、⋯⋯私に、友情をくれた楓に恩返しも出来ずに?⋯⋯ふざ⋯⋯けんな⋯⋯⋯⋯⋯⋯どうして、立てない?どうして、抗わない?どうしてどうして私は後悔しかしてないんだ!昔の私は虚無だ!それがどうした!今が、未来が良ければそれでいいだろ!その今も、未来も、それを壊す魔王が許せない!殺す壊す!)
《ザザーザザザーーーーザーザザー》
ノイズのような音が奏の頭の中に響く。
(空間魔法を使ってあいつを倒す殺す壊す!どすれば勝てる?どうすれば殺せる!どうすれば壊せる!どうすれば楓を救える!どうすれば?どうすれば!力が足りないなら一撃の重さに掛けるしかないだろ!どう⋯⋯ば───)
そこで奏の意識は途絶える。
『これで、終わりだ!』
未だに準備中なのに勝った宣言をする白虎。
しかし、準備中に奏は独りでに、操り人形のように立ち上がる。
既に意識が無いのが分かっていた白虎は驚愕する。
剣を杖にして立ち上がる奏はその虚ろで虚無感に満ちた目をしていた。
その青眼は白虎すら見ていないように、空を眺めていた。
『何がしたいか分からんが、もうすぐ終わる』
「あ、ああ、ああああああああ」
乾いた叫びをあげる奏。
その奏の脳内に響き渡る。
《限界突破を確認。肉体の再構築を開始します。以後、種族『──』に進化が行われます》
《エラー新種の出現。システムの再構築に移ります。ステータスの確認がしばし出来なくなります》
《オーダー確認。特定条件クリア》
《インストールを開始────完了しました》
『剣が?なるほど、それがお主の本気か、いいだろ来い!お主の全力か我の全力!どっちが上か見せてやる!』
なんの反応も見せない奏はやはり空を眺めていた。
しかし、その異質な言葉はハキハキと出ていた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」
それは、人の言葉とは到底思えない言葉をしていた。
『さあ!行くぞ!白虎風魔走』
「───虚無───」
白銀のオーラを纏った奏の剣と、青白いオーラを纏った白虎がぶつかり合う。
オーラとオーラがぶつかり本体同士は離れていた。
『なっ!』
白虎のオーラが徐々に消えていく。
奏の白銀のオーラに触れている個所から。
『消滅だと!ま、まずい!この技は急には止まれない!』
白虎は危険を察していたが止まる事が出来ずに剣に切り裂かれる。
しかし、切り裂かれるよりも、斬撃の通った空間が消失したとゆう方が近いかもしれない。
『魂は無事か』
胴体が文字通り消し飛んだ白虎は黒い霧となって消失した。
その後、奏は倒れる。その目を閉じて。ぐっすりとぐったりと眠る。
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