NEXT STAGE -最終話ー
《さて、死んでしまったわけだが…今思うと普通の人間があそこまで頑張ったんだから当たり前だな。
ってことは、次にコイツらの言う生け贄による召喚術を止めるには人間でない方が良さそうだ。》
ねー、ねー。
考えてるとこ何なんだけど、部下知らない?
忙しいのに姿見ないんだけど。
《有休取って俺の頼み事叶えに行ったぞ。》
はい?
有休ズルい!私知らなかったんだけど!ってか、私に何も相談しないとか本当に君たち酷いね!
まったく!何をお願いしたの?
《兄ちゃん達が、俺を探すのに時間を割いてるから悪いなーって。だから、死んだこと言ってきてよーって》
え?
バカなの?そんなの新しい体を早く決めて転生して会いに行けばいいじゃん!!
《こちとら一生の問題なんだぞ!早くなんて決められるか!!!》
…あのさ、私が前に話したこと忘れてるよね。
前に、仮死状態になった時どうなったっけ?
《ん?仮死状態になったとき?お前が使えないって話をしたことは覚えてる。》
なんてこというかね!…大事なこと忘れてるよ。君が、仮死状態になっただけでも兄弟は魔に落ちそうだったのに…完全に死んだ上、体無くなった灰になってお空に消えましたってなったら速攻魔に落ちちゃうでしょ!!
《……ぎゃふん!》
古いリアクションに私がギャフンだよ!見事な忘れっぷりだね。
…もー…私の部下は優秀だから仕事も早いし、引き際も早いみたいだね。
〈ただいま戻りましたー。いやー…参りましたねー。〉
言葉軽いのに表情も状態も酷いね。
《大丈夫っすか?》
〈いや、あんまり…君の兄弟に言いに行ったらさ…私を見た時点で魔に落ちちゃったよ。〉
だろうね!だって、エルの姿も痕跡も見当たらないし、頭の片隅に死んでるっての分かってたからね。
それで、神の使いが目の前に登場したら…そうなるよねー。しか考えらんないよねー。
《顔見えないけど絶対ムカつく顔してるんだろうな…分かったよ!兄ちゃんとアジュが魔に落ちたんだったら俺も落ちてやろうじゃないか!転生先決めたぞ!魔人になる!》
おお!やっと決められたね!早く解決して楽しい余生を過ごしてよ。
それじゃ、転生先は…うっわー…ちょっとこれ…
〈ちょっ!こんなに沢山のリスト目が痛くなりますね。〉
だから、他の管理者みたいに電子化しようって言ったんだよー。
〈する前に事件発生しちゃってこの状態なんじゃないですか!〉
《普段からしっかり管理してれば電子化なんてとっくにしてたんじゃないのか?》
鋭いね…でもさ、こんなことになるなんて私でも想像つかなかったんだもん。
《だもん言うな!ムカつく!そんなことより、早く決めろよ!あっ、それといきなり赤子スタートなんだから記憶は成長してから戻るように設定してくれよな。》
確かに、童貞で死んじゃった君が、女性の乳房になんて…とんでもないことになっちゃうよね。
《………童貞…うがぁあああああ!!ファーストキスもまだだったのに!》
え?ポールとキッスしたじゃないか。
《してないよ!!!!あれは救命行為だからノーカウントですぅぅ!!!》
なんならそのシーンを見せてあげようか?
《忙しいんだろ!余計なことしてないで早くしろよ!》
んー…じゃぁ、地域で決めちゃお!魔国の北らへんで…
〈なんで北なんですか?〉
ここら辺、食べ物美味しいらしいから。
〈しばらく休みとれませんよ?〉
落ち着いたら行けるじゃん。泊まり先はエルの家でさ。
《お前!!!バカンス先と俺の転生先リンクさせてんじゃねーよ!来たら塩撒いてやる!!》
んっとー…ここにきっまりー!
〈おや、いいですね。私も行きます。〉
―カチリ―
《おい!チート付け忘れるなよ!!それと、容姿はどうなんだよ!?どんな魔人になるんだ!?》
あー、ごめん。仕事マジでヤバいから適当にチート付けとくわ。
それに、容姿なんて何でもいいでしょー。エルなら何でも可愛い、可愛い。
《兄ちゃんのモノマネやめろ!微妙に似てるから余計腹立つわ!》
あ、そうそう!大事なもの渡すの忘れてた。生まれた時に、君に僕と通信できる宝石を握らせておくから大事にするんだよ?
困ったときに、話しかけてきてくれれば、ちゃんと助けてあげるから。
これが一番のチートじゃない?
《お前じゃ助けになるかわからないだろ…忙しくて俺を見てない位なんだから》
え?そんな可愛いこと言うとずっと監視するよ?
《可愛いことなんて言ってない!本当にどこまでもポジティブだな。》
ポジティブはいいことじゃないか。
それじゃ、今度はここに来ないように…私達から会いに行くから…
世界の禁忌を止めて来てね。
《禁忌は止めてやるよ…俺が出来る範囲でな。》
NEXT STAGE -領主さんちの次男坊です。―




