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村長さんちの次男坊です。  作者: 小さい飲兵衛
第1章 総ての始まり
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問題はお腹いっぱい

結果から言うと、カンバーの姿は変わらなかった。

中古だからだろうか…試しにサフランにも着せてみたが、変わらなかった。

サフランもカンバーも魔力が無いわけじゃない。

という事は、シルバが言っていた通り古くなっているからかもしれないな。

兎にも角にもカンバーの見た目は目立つので、代わりに俺が改造したマントを渡したが、呪いのアイテムなのか、身につけた途端具合が悪くなって座り込んでしまった。


「ポールさんや…お前このマントが、ちょいと呪いチックなアイテムに変わってるって気付いていたんじゃないのか?」

「ん?」

「聞こえないふりしてトボケんじゃねーよ…」

「マントにもモテて良かったな。」

「よし!ぶん殴る!!」

「ハイハイ、支度し直して作戦を練らないとダメでしょ?二人で話すとすぐにふざけ合うんだから…ほら、ワンピースはエルが着なよ。」


カンバーは、パンツ一丁で手にはすでに脱いでいるワンピースとマントが掛かっていた。

うん、無駄に魔力取られたり、健康脅かされたりするものは速攻遠ざけたいよね。

カンバーの手か受け取ると、また女装かとげんなりしながら身に着けた。

するとみるみる内にエミルへと姿を変えた。


「エル…エルは僕と同じだったのかい?」

「両性じゃない!それに、誤解がないように言っておくが、俺は男で女装の趣味はない。これは、追手を欺くための変装だ。」

「カンバーも目立つから何か考えないと…手と足をエルが言ったみたいに包帯を巻いて、エルフってことにしてみるか。」

「それしかないですわ。ここには変装できるような服もそんなにありませんし。緑人族の服は、とても特徴的ですから集落に戻っても…」


兄ちゃんの意見にサフランが、荷物を漁りながら同意した。

緑人族の服は、ほとんど草木で出来ているから目立つ。前の世界でいう妖精みたい格好だ。

荷物からアジュの分のカーキーグリーンのズボンと生成の上着を取り出して、サフランがせっせとカンバーに着せて仕上げていった。

言葉だけじゃなくて本当にカンバーをしっかり面倒見るようだ。

確かに、初めて会ったときは汚い上、精神ボロボロで顔色も悪かったが、俺たちに会ってあれこれ話したり、簡単だけど食事をとって休んだから今日は本来のカンバーらしい可愛さが出ている気がする。


「エル、カンバーは、あまり外のことが分からないみたいだから声が出ないってことにしないか?」

「そうだな。エルフは、よく歌うものだけど、声が出ないなら歌う必要もないし丁度いいかも。」


兄ちゃんやポールと打ち合わせしている間に、サフランは水を得た魚のように俺の髪やカンバーの髪を結いあげて仕上げていく。

転職するなら侍女しかないんじゃないか?

ってか巫女だったことうっかり忘れてしまいそうだ。

それに比べてサラは、剣術以外全く何もできない。

料理もできないし、細かい作業もできない。

これといった特出してできることは、剣術のみ。スペックがポールよりもかなり低い。

サフランは、独り立ちさせても問題なさそうだけど、サラには不安しかない。

旅の最中に、こいつに合ったものを探してやるのも仕事だな。

なんだか、ダメな生徒を持った高校教師みたいだな。


「エル、私のことをそんな目で見ないでください!何を考えているかわかりませんけど、私に対していい感情がないことくらい読み取れます!」

「いや、手が掛かる奴だなって思っただけだ。いい言い方をすれば。」

「悪い言い方だと?」

「役立たず過ぎて今後どうしたらいいか、見通しが全く立たない。」


無言で涙を流す辺り、豆腐メンタルの成せる技。

年上だし、身長デカいけどダメな妹だな。

やれやれと息を吐きながらサラの背中を軽く叩いて、今日一いい笑顔を向けてやった。


「ほら、行くぞ!白!」

「ふぁい…お嬢様…」


作戦は、前回同様世間知らずな我が儘お嬢様とその一行で、プラスでお嬢様コレクションとしてエルフの子供を従者として加えている設定。

バレないように、カンバーにはスカーフを巻いて口元を隠させた。

何か不測の事態があって、声が漏れてもカンバーだと気付かれないようにする為だ。



村の門から少し離れた位置に出た俺たちは、内心ドキドキしながら言葉少なく歩き、門近くで止まっている商業団の後ろに着いた。


「あの、どうかされたのかしら?」

「おや、可愛いお嬢さん達だね。実は、村に入れないで困っているんだよ…」

「村に入れない?中で事件でも?」

「いや、まったくわからないんだ。ただ、明日以降でないと村には入れられないってそれの一点張りでな。」


村に旅人が入れないなんてどういうことだ?

村の規定でも旅人や冒険者の出入り制限は国の許可が必要だ。

例えば、ダンジョンが出来てとか、龍が出たとかの非常事態でならわかる。

だとしても商業団がそれを知らないのは変だ。

俺達みたいにフリーの旅人なら知らないのもわかるけど、商業や農業等は、団体にも村自体も生活に支障をきたすからお達した出るはずなのだ。

嫌な予感再びです。

行く先々でのんびり過ごせない人生…涙しか出ない。


「門の外で野宿なんて聞いたことないですわ。」

「俺達もだ。でも、こういう時は行動を起こさないで、じっと待っているに限る。」

「どうしてです?」

「俺達や旅人、冒険者を締め出すってのは村でロクでもないことが緊急に起こっている可能性がある。そんなときに首を突っ込んでみろ。命がいくつあっても足りやしねぇ。」

「確かに、そうですわね…問題ごとに関わるくらいなら門の外で野宿した方がマシですわ。」


うん!心底そう思うよ!

本当に村の中だけで解決できて、明日、村に入れたらの話!

とにかく、穏便に済ませるために商業団の隣で、野宿の準備でもしようかな。

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