↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村長さんちの次男坊です。  作者: 小さい飲兵衛
第1章 総ての始まり
40/82

カンバーは立派

とてもじゃないが、廃墟と化した集落で過ごす気にはなれず、疲れた体に鞭を打ちながら歩くことにした。

当然、火葬した亡骸を地面に埋める手伝いもしたよ。

子供一人がやるには重労働すぎるからね。

主にポールにやってもらったが、とても手馴れていた。

サラの話だと、戦場で勝った場合は死んだ兵士を丁重に弔うのだそうだ。

ポールが手馴れているのは、それだけの修羅場をくぐってきた証拠だという。

ああ、モブでも騎士だったんですね。すんごい忘れがちだけど。


歩いているうちに日が傾きだし、丁度開けた場所で一晩明かすことにした。

ほら、今日も交代で休むかと思うじゃない?

緑人族って凄いね!あっという間に植物から棘が生えて、俺たちを守るように囲ったのだ。


「便利だな。」

「これくらい、アタシ達には朝飯前よ。」


この緑人族の子供の名は、カンバー。エルフと緑人のハーフだから肌の色が中途半端なのだという。

緑人狩りに遭わなかったのは、危険を察知した母親が、カンバーを無理やりでっかい建造物の隙間に押し込んで隠した。

その隙間を塞ぐために岩を置いたが、変に嵌って出るのに時間がかかったそうだ。

母親についてはわかったが、父親はどうしたのかと思って聞いてみた。

父親であるエルフは、一つの土地に腰を据えることのない種族で、緑人族の村にも一年ほどしか居なかったが、その間にちゃっかり緑人族であるカンバーの母に手を出したのだ。

今回の緑人族狩りでは、カンバーの母親も当然捕まった。

カンバーは、仲間を救ってほしいが、やっぱり母親を一番に助けてほしいと懇願してきた。

助けるのは当然だが、一応母親の容姿が分かった方がいいと思い、特徴を聞いて俺は自分の想像力の限界を知ることになった。

身長が2mくらいの大柄で真緑の肌。髪は短くてモヒカン。後ろ髪だけが長くて細い三つ編みをしている。

それと、肩から胸にかけて親である証のタトゥーがあるそうだ。

腕っぷしも強くて、大きな野獣も素手で一撃なんだとか。

何度想像しても怪物しか出てこないんだが…人の親を悪くいう趣味はないので口を閉じて頷くだけだった。

この世界には沢山の種族がいるから、美的感覚とかも様々だけど…カンバーの父ちゃんスゲーな。


カンバーに色々話を聞きながら、鞄から食料を出して皆で手早く食事を済ませた。

食事は、乾燥させた獣の肉と俺特性の乾パン。

余力があるときは、その場で狩りをして食事を作るが、色々ありすぎて疲れたりすると大概この食事になる。

疲労困憊してるのに食事も質素だとテンションが下がる一方だ。


《える、おれ、おいしいのとってこようか?》

「なんだ、この犬は話せる犬なのか…変わってる奴には変わってるペットが寄ってくるんだな。」

「俺が変わってる奴ならお前もだ。

ブルーノ、お前も疲れてるだろうから無理しないでいいよ。こっちにおいで。」


ブルーノが、くぅっと可愛く鼻を鳴らしながら俺にすり寄ってきた。

いつも寝るときはブルーノが側にいないと落ち着かないんだよな…よくできたいい子ちゃんです!

さて、皆思い思い寝る体制に入ってるから、俺も目を閉じながら明日のことでも考えるかな。

ブルーノとカンバーの話だと順調にいけば、明日は国境近くの村に着けるそうだ。

そうなるとまた変装しなくてはならない。

今回は、目立つメンバーが増えたから考えないと…やっぱワンピースを着せてみるか。

俺は…どうするかな…マントの巻き方を変えて頭巾でもするとしよう。

うん…何とかなりそう…おやすみなさい。




おはようございます。朝日がクソ眩しいです。

おかしいですね。俺とブルーノの視界には綺麗な緑が下に広がり、周りは青白い空。

なんだろうなー…木の上に寝たつもりはなかったんだが。

おかげで虫に喰われなかったけどさ!重力魔法なかったら降りられないよ!


「エル―!なんでそんなとこにいるんだー!?バカなのか―?寝相悪すぎるだろ!」

「バカはお前だ!!寝相悪い範疇越えてるだろうが!ってかここにいる理由を俺が聞きたいわい!!」

「エル―!!森がお前を守ったって言ってる!」


俺は何から守られたんだよ…寝てる間にそんな危機が迫ってたか?

意味が分からず首を傾げているとブルーノが頬を舐めてきた。


《える、このもりにも、すかれてる》

「俺は大自然と添い遂げる気はないぞ!…うわっ!!!!」


一本の大きい木だと思っていたが、いきなり木が裂けるように二本に分かれていき、強制的に地上へと降ろされた。

木を見ると少し枝や葉が萎れている。

おいおい、俺と添い遂げたかったのか!?大自然、別の意味で怖い!!


「森が悲しんでる…エル、何言ったんだよ。」

「大自然を振ってやったんだよ。」

「森と恋愛とかエルは規模が違うな。結婚してやれよ。」

「ポール、お前がしろよ。」

「エル、森から〈ポールは御免なさい〉って言ってる。」

『ぶっ!あはははははははは!!』

「お前、モテないなー!!」

「お前は人以外からもモテるなー」

「はいはい、二人ともやめて支度するよ。」


兄ちゃん、俺たちを止めておきながら笑いが漏れてますよ。

確かにポールがフラれるとか面白すぎる。

当のポールは、眉間に皺が寄ったまま険しい顔で支度をし始めた。


「カンバー、村に向かう前にこれを着てくれ。それと、手と足に包帯を巻いてくれ。」

「このヒラヒラの布切れ一枚だけか?アタシ、着たことないんだけど。」

「サフラン、手伝ってやってくれ。」

「了解しましたわ!ばっちり可愛く仕上げますよ!」


サフラン…侍女の仕事が楽しくて仕方がないって旅路で言ってたけど、本当に板についてきたな。

俺もマントを端々縫って簡易的なフードマントに改造した。

スキルって凄いね!あっという間だよ!


「きゃぁあああああ!!」

「なんだ?なんだ?」

「エル!この子のおまたに…私たちにはないものが!!エルのと一緒のが!」

「その表現やめろ!!」


赤面しながら人の股間を思い出すんじゃない!ってか、俺のときはそんな反応しなかっただろうが!!

騒ぐサフランを押しのけて、キョトンッとしているカンバーを見た。

うん!ノーパンだね!俺よりも小さいのに、俺よりも立派なもんがブラブラしてるね!


「お前、女じゃなかったのか!?」

「へ?何言ってんだよ…女とか男とかよくわかんないこと言うな。」

「緑人族は、男女の区別があまりつかないのか?」

「男とか女とかない。アタシたちは、皆子供を産めるし、子供を作れる。」

「両性かよ!!!スゲーな!……お前の母親…想像が間違いでなかったことをホッとすると共に、お前の父親の感性に感服する。」

「カンバー…そんな凶悪なもんぶら下げてんだから、一人称アタシは変じゃない?」


荷物から下着を取り出して、くるくる回しながらアジュが割って入ってきた。

やっぱそうだよな。カンバーの股間のものは、”カンバーちゃん”じゃなくて”カンバーさん”だよな。


「そうなのか?ママが、アタシって言うようにしろって言うから…それじゃぁ、僕?」

「「それがいいです!!」」


女性陣は今日も元気なようです。

鼻息が荒く、獰猛な獣のようですよ、お嬢さんたち。

アジュが、汚いものを見るような眼で二人を見て、無言でカンバーに下着を渡した。


「早く履いてワンピース着なよ。じゃないとこの変態女共に喰われちゃうよ?」

「そんなことしません!」

「そうですよ!カンバーは、大事に大事に接します!」


言ってることと表情があってない。

埒が明かない状態で居たら兄ちゃんがとっととカンバーの支度を整えた。

さて、カンバーはどう変身するかな…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。