41話 『かりたてる』
SPLASSSSH!
泥砂を含んだ濁流噴水が夜空を汚す。
水元素の塊を核として生成された強力な防御膜は、辺りの瓦礫ごと熱と爆発を押し流していった。
漸減を始めた濁流の後方では、消費型転送陣の残滓が瞬き、消えた。
そして、見よ! 夜空に留まる直径二十フィートはあろう不気味な半透明球体を!
ゴボゴボと不快な泡音を立てて脈動するその内部に、古代文字で四を表す意匠が胸部に刻まれた全身タイツ状戦闘服に全身を包み、大きなバックパックを背負った巨漢が浮遊している。
リュミエラは瞳を調整し、それを観察した。
バイザーの奥がわずかに輝いている。怪人の金色の虹彩が発する独特な波長だ。
彼女は追撃の収束熱光線を照射するかどうか一瞬逡巡し、諦めた。
何らかの方法で一度防がれているし、何より偽りの聖女のパワーソースにあまり余裕がない。
殺すには、元素の壁に守られた敵に竜牙剣をどう叩き込むべきかということになる。
だが空気を踏んで滞空しながらの攻撃シミュレートは、後ろからの激憤じみた叫びで中断された。マリエット。
「下の奴を狩れ! 逃がすな、今すぐ殺せ!!」
「え、あ、アイアイサー!」
リュミエラは素早く思考を切り替え、浮遊待機するクロマクに再度騎乗し叫び返した。
確かに、殿らしき大型水球怪人などに構っていられない。
サンカントは既に地上へ落下し、敵を追っている。急がなければならぬ。
主に加速を命じられたクロマクが、飴細工状の実体を歪ませ急降下する。
追跡を止めるべく上空の水球から何かが射出されるが、それはマリエットと共に音波飛翔獣を駆るラザル少将が炸裂ボルトで破壊。BOOM!
流石は長魂族にして上位軍人、恐るべき狙撃の腕。
リュミエラはそのまま地上近くまで降り、しもべと融合したまま滑るように敵を追い始めた。
少し先ではサンカントが仮想質量を調整しながら大地を蹴り加速している。
忌々しい、面倒だ、早く死ね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
クロマクに乗ったリュミエラが、ぼんやりと光りながら下降してゆく。
粘土のドラゴンめいた幽体ドレイクの生成する影状物質に沈みこみ、暗色のマントをはためかせて進むその姿は伝説にある幽鬼の如し。
それは更に速度を上げ、ルクス十四区の古い建物や瓦礫の間を縫い、マリエットやラザルの装着した特殊ゴーグルをもってしても視認できぬ闇へと消えていった。
一方、上空では。
「さて、やっちゃいますかラザー」
「おいおい、随分気楽になったな」
「奴等は気が狂っているが、殺しに関してはエリクと同格だ。
あれでダメなら、私や貴様が大型兵器もなしに手伝ったところで、無駄になるさ」
「ふむ……まあ、お前が言うなら正しいんだろう。で、あのデカい魚をどう攻略する」
愛騎である音波飛翔獣の同乗者で、己と大差ない地位と力を持つ友人マリエットの忠告に軽く同意を示したラザル少将は、兜とゴーグルに半分以上包まれた顔面を大型水球怪人へと向けた。
濃密な水元素に包まれ、どう見ても戦闘準備完了している……しかし何かを待っているように動かない。
明らかに不利な局面にありつつも威風堂々としたその姿に、ラザルは武人を感じた。
実際、隙がない。
「何にしろ水を剥がしてからさ、ところで司令部から何か呼んだか?」
「俺は報告しただけだ、向こうがどう判断するかは知らん。おそらくそう大人数では来ねえと思うが」
「工作部としちゃ余計な邪魔や犠牲者が出ないうちに処理したい」
「そうだろうな」
「しばらく私を守れ」
「ん? お、おい」
カシャン、キシャン。
マリエットはラザルの返事を待たず、騎乗戦闘用に作られた特殊な鞍の調子を確かめ、本日二本目のロケットランチャーを構えた。
即座に簡易的軌道計算し、射出。
ホバリングする音波飛翔獣が反動でグラつき、装甲車や少々の大型魔物程度は一撃で吹き飛ばせる徹甲榴弾が敵の魔力に吸い寄せられるように飛ぶ!
だが敵の防御能力は少々などではない。
元素が渦巻いて脈動する水球が拡大し、粘性を持って弾丸を受け止め、投げ捨てた。
弾丸は無為に空中爆発。KABOOM!
水球怪人が泡立ち、唸るような音を発する。
……いや、音ではない、魔力増幅された切れ切れの声だ!
「無駄ァー……我は……カト……なり……近……からず…………死……」
何かを構えた怪人の吼え声にあわせるかのように水球が脈動し、表面に穴が開く。
覗くのは、遠目にも数インチはあろう何らかの射出口!
慌てたラザルは音波飛翔獣に第二段階空間戦闘指令を下した。
マリエットは空のランチャーを投げ捨て、すぐ後ろのラザルに身体を預け、呟いた。
「…………元素抽出」
彼女は敵を見てすらいない。
ラザルが喚く。
「おい!!」
マリエットは答えない。
代わりにラザルのものよりわずかにスタイリッシュな軍用兜とゴーグルに覆われた顔を一瞬だけ向け、首を縦に振った。
集中を始めたマリエットの魔力と活力が火元素化し、紅色の粘液質じみて掌から滴り渦を巻いた。
怪人が音波飛翔獣に向かって何かを射出する。SPLASH!
「ああ、くそ、なるほど、畜生!」
常時反響定位により世界を認識する音波飛翔獣は、ラザルの指令を聞くまでもなくアクロバット急上昇した。
ラザルは風を操作して自身とマリエットの体勢を制御しながら、特殊連装クロスボウから炸裂ボルトを発射!
怪人の機械成形元素弾とラザルの炸裂ボルトが衝突し、爆発。
破片と熱が飛び散り全員の感覚をかき乱す。
もちろん戦いは止まらない。爆発が連続する。BOOM! BOOM! KABOOOM!
怪人は機械じみて無反応なまま次々と発砲するが、音波飛翔獣の回避とラザルの迎撃はその上をゆく。命中弾なし!
さしもの精鋭ベルトラン怪人も、飛行と防御結界を制御しながらでは闇の中で立体的に動く敵を捕捉するのは難しいのだ。
安心して全ての戦闘行動をラザルに任せたマリエットは、濃縮火元素を絞り出し続ける…………
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「かわすなつってんだ、てめ」
鏡のように煌めく饑の攻性防御膜で拳を覆ったサンカントが、不機嫌そうに叫びながら廃墟の壁を蹴り、彼同様の身軽さで跳び回る敵に肉薄する。
奇妙な流動性を持つ金属鎧に身を包んだ女怪人は、豊かな胸部を揺らしながら曲芸の如き挙動で破壊の一撃を回避した。
先行してもう一人を処理しに行ったサンカントだが、いまひとつ調子が芳しくない。
改造された瞳による疑似暗視と反響定位による空間把握があるといえども、ここまで光源が少なく障害物が多いと、どうしても見落としが出る。
せめて星が出ていればいいのだが、夜空は雲に覆われはじめていた。
先代勇者の魂の欠片による怪人感知も、追うことには役に立つものの精密動作が必要な戦闘には向かないのだ。
さらに厄介な事に、“ディジエム”というらしい今回の怪人は、サンカントの特性をいくらか知っていた。
「おんどれ050オオオぉ!」
身長ほどの金属製戦闘棒をバネのようにしならせ、反動を作ったディジエムの強烈な飛び蹴りがカウンターで突き刺さる。
WHACCCCCK!
通常ならダウンするどころか身体が千切れ飛ぶ衝撃。
しかし高密度で強靭な肉体と、自身の仮想質量を操作する力を持つサンカントは強引に耐えた。
敵を捕らえ、打ち砕き、食らうべく浅黒い腕が伸びる。
だが。
「あ、ああ!? まて、あ」
「ヒィーヒィーーヒィーーー!」
そう、ディジエムは高い剛性と靭性を持つ戦闘中のサンカントの肉をスプリング踏切板代わりに使ったのだ!
甲高い笑いが遅れて聞こえ、凄まじい加速で離れてゆく!
サンカントは慌てて踏み込み、追い縋ろうとした。
「やべぇ」
走る、行く先は魂でわかる、しかし、離される。
走る。
だが奇妙な鎧と金属棒を操るディジエムは、減速するたびにすぐ反動を得、距離は縮まらない。
それでもサンカントは走る。
すぐに二人はルクス十四区を抜け、荒野へと。
サンカントは焦った。栄養が足りない。
彼は強力な力のわずかばかりの代償として、燃費が悪いのだ。
それは直接戦闘で勝てないと認識している怪人ディジエムの策略のうちであった。
彼女は心の中でほくそ笑んだ。
転移の儀式こそ不意の襲撃でうまくいかなかったが、まだ充分に逃走可能だ。そもそも必要な資料は転移に成功した仲間が持っている。
感知範囲を逃れて通信を行えば、近く迎えが来るであろう。
ただし、それは敵がサンカント一人ならばの話だ。
ディジエムの金と黒の瞳が、半マイルほど離れた別方向から滑るように出現した発光物体を捉えた。
「何だ、一体、ギィアア!?」
ZAP!
発光物体から薄緑の閃光が迸る。熱光線、つまり光速!
流体金属鎧と怪人の肉が抵抗するが、それでも馬鹿にならぬ損傷だ。
転倒したディジエムは苦痛に呻きながら痛みを遮断する作業を行い、地を叩いて跳ね起きた。
止まっている余裕はない。止まれば死ぬ。
刻んだ先代勇者の魂を植えつけられ、全身を改造された“怪人”がいくら“博士”に絶対服従の凶悪戦士とはいっても個性はある。
ディジエムは比較的我が強く、己の命を大切にする方なのだ。
増援にも事情があるようで、二発目の光線は来ない。
だが、戦闘勘に優れるディジエムはそのまま進まず、転がるように横へ跳ねてから駆け出した。
遅れて陰鬱な煙の塊が通過、間一髪だ!
一瞬前まで彼女が居た地面は周囲数百フィートに渡って浅く抉れ、風化して砂塵が舞い散った。
強烈な地獄の吐息。
「おんどりゃ、ッざけやがって……あー……死にたくねぇ…………なあ……しゃーねえ……ェ……ェェ……EEEEEMM」
怒れるディジエムは呻き声を発し、塵を浴びながら立ち止まって振り向いた。
ここにきて飛ぶ増援では、流石に逃げ切りは厳しいだろう。
ならば、殺さなければならぬ。仕事だ。
強化魔力ぶくろから放出されたエネルギーでベルトラン製流体金属鎧が蠢き、周囲の地面から力を吸い上げた。
岩と金属が混ざり合ったトゲが伸び広がり、全身に巻き付いて樹が育つように巨大化してゆく。
不協和音じみた歪な叫びがこだまする!
「MMM……MYU……MYUOOOOOOOOOON!!」
排熱と、少しばかり疲弊したサンカントの回収を終えたリュミエラが少し高度を上げ、警戒しながら地上を睨む。
金属さながらの質感を持つ六十フィートはありそうな樹木女が三白眼を上に向けていた。
攻撃的で歪な太い腕、触手のように広がった長髪、無闇と芸術的なプロポーション。
全身から、充実した魔力と膂力を感じさせるオーラが発散されている。
それは勇者試験体十番、ディジエムに植え付けられた固有形質とベルトランの狂った技術が合わさって誕生した大型怪人だ!
だが、一方通行の巨大化は所詮背水の陣、追い詰められた鼠にすぎぬ。
……まあ、楽勝とまではいかないだろうが。
「はあ、まーたこんな…………直接の恨みはないけど、街もあたし達も危ないし、処理しないと。
サンカント、どんな奴かわかる?」
「棒と、バネみたいな身体が武器で、確かディジエムとか言ってた。
でもアレ全然面影ねえぞ!」
「そっか、んじゃ栄養はどう」
「まだやれる」
「よろしい、行け!」
サンカントを後ろに乗せ、竜牙剣を翳したリュミエラは獰猛に笑った。
暗い影状防御物質をごぼごぼ泡立たせたクロマクが、同意するかのように夜空に吼える。
直後、ディジエムが身を屈め、溜めこんだ。
エネルギーの高まりを感じたリュミエラが叫ぶ!
リュミエラは気力を取り戻したサンカントを投下したのち、空を抑えるべくクロマクと共に上昇した。
しかし、怪人ディジエムの動きが予想より少し速い!
「うえぇ!」
ドウン!
ディジエムの巨体が地を蹴る。強烈な音と圧力!
サンカントが落下しながら細い小さな棒の力を放つ。
粘着糸じみた捕食の魔力が投射される……だが、だめだ。金属質の巨体は網を引き裂き溶解液を無力化した。
リュミエラは身体の固定を解き、しもべの背から空中へと飛び出す!
だが吐息の準備動作に入っていたクロマクは攻撃をかわしきれない。
ディジエムの巨大な金色の瞳と、木の洞めいた口が嘲笑するかのように歪む。
直後、工作機械状の巨大金属爪が影に包まれた重量飛行塊を捕らえる!
飛行塊、つまりクロマクも相当な大きさを持つが、後戻りできぬ怪物化を行った怪人ディジエムはさらに上をゆく。
実際のところクロマクがシャドウ・ドラゴンだったころと比較しても一回り以上高質量であろう。
クロマクは飴のような身体を捻り、暴れようとしたが、そのままでの脱出はかなわない。
半実体半幽体の肉は、膂力という点で劣る。
「WEEEYUOOOO!」
のたくるクロマクを蜥蜴を狩る猛禽じみて抑えたディジエムの爪が赤く輝き、幹のような前腕部がさらに脈動。
ああ、なんということだ! 破壊した!
影状の防御物質が剥がされ、透き通った飴状の何かがぐにゃりと歪み、千切れる。
ディジエムは異様な生き物の残骸を叩き付けるように投げ捨てた。SPLAT!
更に、輝く金属爪をそのまま空中で振り抜く。
衝撃波を伴う恐るべき粉砕攻撃が、空気を踏んで背後に跳ねたリュミエラを襲う!
当たれば当然、血煙と化すだろう強烈なパワー。
「GYO?」
外れてはいない、だが異常に軽い手応えを覚えたディジエムは、どうにも間の抜けた音を発しながら着地した。
質量で地響きがおこり、砂塵を舞い上げるが、巨大怪人の目までは届かない。支障なし。
しかし不可解なことに、先ほど引き裂いた獣の残骸が無い。
ディジエムはとりあえず手近な敵を殺し直そうと振り返り、次の瞬間、緊急回避的に飛び下がった。
強力なドラゴンのオーラ紋が込められた薄紅色の刃が、喉があった空間を通過!
振り抜いた腕と空気を足場にしたリュミエラの、死角からの一撃だ。
「チィーッ、案外できる!」
首を狩るつもりだったリュミエラが悔しそうに叫び、滑空するように高度を落とし始める。
魔法が苦手な彼女は、よほどエネルギーを溜め込んでない限り、強力な風元素増幅装置である竜牙剣を持ってしても自在に空を舞うとはいかない。
だが今の彼女にはしもべが付いている!
グチャグチャ不快な音をさせながら、さきほど引き裂かれたはずのクロマクが砂塵の中から飛び出した。
周囲に灯りとなるものはリュミエラ自身しかいないが、十分見える。
もちろん、強化改造された金色の瞳を持つものにも。
剥げた影状物質の修復が完了しておらず、斑めいて恰好のよくない姿だが無事だ。
厳密な意味で生きてないその不定形の肉は、力任せの攻撃ではさしたるダメージを受けない!
リュミエラはクロマクの上に着地した。
不快そうに唸ったディジエムは乗り物に霊的損傷を与えるべく、腕に魔力を集中させた。
しかし、一対一の戦いではない。
「砕けろおおお!!」
SMAAAAAAAAASH!!!
全身を輝く攻性防御膜で包み、かるく数十フィートは跳ねた襲撃者の輝く槍さながらの一撃が力強い叫びとともにディジエムに突き刺さる!
元々高い膂力と高密度な肉を持つサンカントの、あらゆる固有形質と技術を総動員した必殺の一撃。
完璧なタイミングで不意を討ったそれは、大型徹甲弾のごとき貫通力で、身長にして十倍以上はある怪物化怪人ディジエムの身体を致命的なまでに損傷せしめた。
グラマラスな胸部装甲を叩き割り、金属質の肉を裂き、背まで貫通。
サンカントは金屑と仮想体液にまみれて着地した。
背後からは高低入り混じり、喚きじみたディジエムの呻き声。
「GYUA……AA……ARGHHHH……Aa……」
青い血と、身体を構成していた仮想物質を撒き散らしながら巨大怪人が崩れ落ちた。
大きさの割に倒れた音は極めて軽い。
巨体を維持管理する外部核が失われたのだ。
もっとも、このダメージでは仮に重要部位が残っていても厳しかっただろう。
ようやく体勢を整えて振り返り、荒い息をつきながら攻撃の成功を確信したサンカントが、怪人の怪人たる所以を喰らうために歩み寄る。
魂の欠片であるそれは、サンカントの起源を見つけるため必要な各怪人の記憶の一部であり、引き裂かれた先代勇者の取り戻すべきものでもあるのだ。
「ふぅ、じゃあな、十番の人……俺も取り戻さなきゃ、いけないから」
完全にダウンしたディジエムは、ひゅうひゅうと呼吸するような音を立てて様々な構成物を霧散させている。
ディジエムの頭部に触れたサンカントはゆっくりと。
「サンカントおおお跳べええ!!!」
「へ、あ゛?」
その時、上空のリュミエラがしもべから飛び降りながら叫んだ!
尋常ではない慌てぶり。
何か、わずかな赤い光が。
サンカントは色々と困惑しながらも、本能に任せてその場から飛びのいた。
「うぐ、アアア!? っは、何、だよ!」
左肩と右脚から鮮血が迸った。だが致命傷ではない。
瞬き一回分でも行動が遅ければ危なかったであろう!
直後、空気がぶれるような動きを追加で感知したサンカントは鏡の防御膜を張ったが、エネルギー不足で煌きが力弱い。
仕方なく逃げを考えようとしたサンカントと“何か”の間に、リュミエラが飛び込んできた。
全身が白く輝き、空気が燃える!
「どきなさい!」
「リュミエラ、さん? え、俺は大丈……」
魔力による止血を行いつつ後ずさるサンカントを、リュミエラが突き飛ばした。
ザリザリザリ、空間と視界にノイズが走る。
BLAM! 突然の発砲。
しかし、怒れるリュミエラはそれに反応してみせた。
竜牙剣で至近弾を弾き飛ばした彼女は、“何か”に艶やかな深紅の鱗に覆われた左腕で掴みかかった。
ザリザリザリザリザリ…………




