72話「リンジーさん登場」
「パメラ、ユアン、アンゼリカ久しぶりだな」
ギルマスの部屋の扉を開けると、見知った女性が笑顔で受け入れてくれて、顔が綻ぶ。
「リンジーさん!!!!!」
リンジーさんを認識した途端、飛び出して、抱きついた。
「はははっ!お前は、いつも元気だな」
「リンジーさんと会えて嬉しいからね!!!」
リンジーさんは、ディランのお母さんだ。
私の中でリンジーさんは、かっこいい女性ナンバーワンに君臨している。
いくつか理由があるけど、まずは容姿。
切れ長の目に、筋肉質で引き締まった体。
笑い方もかっこいい。ふっと目を細めて笑う。
こうして見れば、ディランの顔はリンジーさん似だと思う。
容姿以外には、性格だ。
正義感があって姉御肌だ。
なのに乙女気質なところもあって、ギャップが可愛い。
あと、武器だって女性なのに盾役をしていた。力持ちでかっこいい。
今は、騎士団で斧を振り回しているみたいだ。
今、私がこうして飛びついても、簡単に抱きとめてくれて本当にかっこいい。
同性だけどキュンとする。
宝塚を見ている感覚ってこういうことだろうか?前世は見たことがなかったから分からない。
「お久しぶりです。あんた本当にリンジーさん好きね」
「私、リンジーさん推しだから」
「あんた推し何人いるのよ……」
今のところ二人だ。
お色気のヘレナ姉さんと、かっこいいリンジーさん。
院長のことも尊敬してるけど、推しというより母親だから、ノーカウント。
「リンジーさんお久しぶりです。ディランは元気ですか?」
「あいつは連絡も寄越してないのか?愚息が心配かけて悪いな。今は、依頼が終わり、炎の街に立ち寄っているらしいぞ」
(へぇ……Cランクになったらしいし、貴族の護衛でもしてたのかな?)
寒い時期になると、炎の街に避難する貴族が多い。
炎の街は暑すぎるけど、その隣町は避寒地だ。冬でもちょうどいい気温になる。
冬になると寒い場所が多いこの国では、人気のスポットだ。
(貴族の相手かぁ……)
ディランに同情する。
きっとディランも貴族だし、貴族からの依頼は多い。
それもCランクだと位の低い貴族ばかりが依頼するだろう。
下級貴族は冬のバザールに来たアイツみたいな貴族だ。
ディランは今頃、苦労してそう。
(まぁ、領主の息子だからまだマシだろうけど……)
「いつまでやってんだおめーら。早く本題に入れ」
ああ、ギルマスの部屋なのに、師匠の存在を忘れてた。だって珍しく喋らないんだもん。
「なんだビルズ。お前は、パメラに懐かれないからと嫉妬してるのか?」
「ああ!??んなわけねえだろ!!!」
「その割りには、追いかけ回して弟子にしたと聞いたぞ」
「いつの話してんだよ!!!」
二人は元々パーティーを組んでた仲間だから、仲が良さそうだ。
(なんだ。疎外感を感じて黙って不機嫌だったんだ……)
ユアンとアンちゃんの手を持って、一緒に師匠に近づく。
「なんだお前ら」
「そんなに寂しがってたなんて知らなかったよ。ごめんね師匠」
ユアンと、アンちゃんを師匠に抱きつかせる。
「すみません、師匠。そうとは知りませんでした」
ニコニコと抱きつくユアン。
「ちょっとあたしは関係ないでしょ」
嫌がるアンちゃんには耳打ちをする。
「媚売ってたら、また高級料理奢ってくれるかもしれないよ」
「なら仕方ないわね」
そういうと、アンちゃんも師匠に素直に抱きついた。
「お前ら、全部聞こえてんだよ」
呆れた表情をしているけど振りほどかない。
(あ〜照れてるんだ)
珍しい師匠にニヤニヤとしていると、後ろからリンジーさんの笑い声が聞こえる。
「あははは!そうくるとは思わなかったな。パメラは相変わらず愉快な女子だな。そこがまた面白い」
「そこがまた私の魅力だから。リンジーさんは笑顔が可愛い。いつもはかっこいいのに、一気に花が咲いたみたいに可愛くなる」
今は本当に楽しいのか、笑い方がいつもと違う。
幼い感じが出てる。ギャップがすごい。
「褒めても何も出ないぞ。だがそうだな……
お前たちがこの仕事を無事に終わらせたら、食べたい高級料理でも奢ってやろう」
「お前たち?仕事??そういえば、なんでリンジーさんがここに?」
洞窟の一件以来、依頼の受付とかを師匠がやってくれている。
私のやらかしに信用がなくなったから。
今回は何か嫌な訓練でもさせようと呼び出したのかと思ったけど……もしかして仕事で呼び出された?
「やっと気付いたか。本題に入るのに時間がかかんな」
呆れた師匠に少し反省する。
リンジーさんがいたから、ついはしゃいじゃった。
「リンジー、依頼内容話せ」
「ああ、お前たちに依頼したい。私たちの騎士団を鍛えてやってくれ」
更新遅くなりましたー!
またぼちぼち更新していきます!




