5話「今世の目標」
「うーん。やっぱりどう考えてもそうだよね……」
あれからしばらく経って、私は自室にいる。
怪我に関しては回復魔法でサクッと治した。
それより今は現状と今後を決めておきたい。
だからメモを取りながら整理しているところだ。
まずは大きく3つにまとめてみた。
この世界のこと、魔法、そして前世のことだ。
1、この世界は剣と魔法の世界だ。
それ以外にも西洋、魔物、冒険者、人族以外の種族など創作物でよくみるものも存在している。
1番問題の言語に関しては、文字は違うけど発音は日本語に似ている。
どちらも授業をしてくれた院長のおかげで、既に習得済みだから問題はない。
一から勉強する羽目にならなくて助かった。
ちなみにこの世界に来る時に神様に会ったことは記憶はない。
2、魔法について
この世界の魔法は、
水・火・風・土・光・無の6つの属性がある。
発動方法は、詠唱と魔力を流すこと。
でも、魔法に関してはわかっていないことが多いし種類も少ないみたいだ。
それに無詠唱で発動出来る人はほとんど居ない。過去に一人や二人居たくらいの珍しさだ。
私は神様にチートを貰ったのか無詠唱で発動しているし、昔から魔法は得意だった。
そこで1つ問題が出てきた。
この世界では貴族とか上の連中ほど、強さこそが正義みたいな脳筋の考え方があることだ。
魔物がいるから重要なのはわかるけど、これがまた厄介だった。
この世界の言葉として、
民を守るのが貴族。
民に癒しを与えるのが教会。
だと言われている。
「嘘つけ」と言いたくなるし、正直この世界の貴族と教会は信用できない。
前王は過去一の愚王と呼ばれているし、教会も汚職で降ろされた。
それに、力の弱い平民をゴミのような扱いをする貴族は多い。
そんな貴族と教会に、無詠唱で攻撃魔法も回復魔法も使えます。
なんて知られたらどうなるか。
……ボロ雑巾のように使われるのが落ちだ。
だから人前では詠唱することに決めた。
まぁ……前世で見た魔法を思い出せない、っていう問題は残ってはいるけど、今はどうでもいい話だ。
3、前世のこと
これに関しては特に語ることはない。
20代の高卒の普通の会社員。ただそれだけだ。
まぁブラック企業だったけど……睡眠削って死んじゃったけど。
前世と今世で変わったことといえば、容姿と若返り、そして地球より遅れてる文明の多少の不便さぐらいだ。
でもこれはお金儲けチャンスでもある。
前世知識を利用して一攫千金を狙えるだろう。
ただ……私はあまり商売をする気はない。
とにかく前世ブラックで死んだから、今世は楽に自由に生活がしたいというのが願望だ。
でもこれも性格的に無理な気がしている。
前世、我慢しすぎたせいか以前に増して楽しい事がしたくてたまらないのだ。
いい大人だからもちろん自制は効く。
でも……自制して死んだ前世を思うと、我慢なんてする必要があるのか?と思ってしまった。
だから程よく自制して、好きにすることにした。
これらを踏まえて決めた。
雇われるのも嫌だ。使われるのも嫌だ。
そしたらなるべきものは自由な冒険者だ。
依頼も自由、稼げばサボれるし、魔法だって使える。
ここまで考えて、さっきピンときた。
「あれ?これって神様から好きにしろって言われてる?」って。
前世とあまり変わらない性格と知識、魔法。
神様が完全に取り上げようと思えばできたはずだ。
前世の時は、前世を思い出す。なんてこともなかったんだから。
それなのに、記憶を消さずに魔法まで与えた。
これは前世を活かして人生を謳歌しろっていう神様からのお告げに違いない。
万が一違ったとしても、そうすることにした。神様の不手際が悪い。
「今世の目標は『楽して自由に楽しく』これしかない!」
だから早速、思い出せた新しい魔法を使おうと思ったら、コケコッコーと鶏のような鳴き声が聞こえた。
慌てて窓を開けると、外は明るくなっていた。




