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20話「かるたなんて二度としない」

「第一回!かるた大会を始めます!!!」

「うおおーーーー!!!」


 拳を突き上げると、歓声の声が上がった。

 自分に向けられているみたいで、少しいい気分だ。


「パメラー、かるたってなんだよ?」


 7歳児のやんちゃっ子、ジョンから不振な声が上がる。


「なにって?……お勉強の道具だよ♡」


 にこりと笑ってカルタを掲げると、至る所から「ゲッ」という声が聞こえる。

 しまいにはブーイングが起こり始めた。


「冗談だよ。勉強は勉強でも遊べる勉強道具だよ」

「それでもべんきょうじゃん」


 からかったのがよくなかったかもしれない。

 みんなから嫌そうな目を向けられている。


「はいはい、みんな文句言わないで。やってから決めてねー。ユアン」


 助手のユアンを呼んで、真ん中を開けてみんなを輪にして座らせて貰う。

 ぶーぶー言いながらも、ユアンに指示を出されたみんなは従い出した。


 (…………なんか、ちょっとムカつく)


 これが私だったら絶対みんな動かないだろう。

 ユアンとの核の違いを見せつけられてる。


「パム、準備できたよ」


 ジト目でユアンを見る。


「えっと……パム?」

「……よく出来ましたユアンくん」


 戸惑っているユアンの頭を撫でる。


(危ない危ない、拗ねるとこだったよ)


 気を逸らす為に黙ってかるたを並べることに集中する。


 (うん、こんなもんでいいかな)


 バラバラに散らばせたかるたを見て、みんな不思議そうな顔をしている。


 今回はおじいちゃんに試作品の試供をお願いされてこのカルタ大会を開催した。

 文も絵も全部任せたから、私も中は見ていないんだけど――


 (…………なんでこの絵柄にしたの?)


 目の前に広がる古風な絵柄のカルタを見てもう不安になってきた。


 可愛い絵柄の方が絶対いいだろう。

 現にみんなから歓声も何もない。

 むしろなんだこれ?って顔をしてる。


 これは改善点としておじいちゃんに伝えておいた方がいいだろう。


「さて、じゃあ始める前にルール説明するね。

 私が読み上げるから、これだ!て思ったかるたを取ってね。絵柄でわかるようになってるから」


 試しに1枚読んでみると、みんなわかったのかうんうんと頷いた。


「最後に取り札が1番多い人の勝ち。

 お手つき……間違えたらそのターンはおやすみ、は今回なしにするから、怪我、奪い合いはしないようにみんなで遊んでね」


 少し興味が出たのだろうか。

 腕まくりをする子まで出てきた。


(うん、いい感じ。……今のところ)


「あ、私が読む前は膝に手を置いて待機でお願い。


 じゃあみんな準備はできたかーい!」

「「おー!!!!!」」


(うんうん、みんなノリがよくて助かるよ)


「じゃあいきまーす。

 せ、聖女様はみんなを直すのがお仕事だ」


 文章は普通みたいでホッとする。


 それにしても、「せ」を聖女にするとは、さすが院長のファン。抜け目がない。


「あ!あった!!!!見てユアン!!」


 第一の獲得者、ヒルダは嬉しそうにユアンに見せている。

「すごいね」と頭を撫でられて嬉しそうだ。


「取れたカルタはヒルダみたいに手に掲げて見せてねー。合ってるか確認するから。はいじゃあ次行きまーす」


 ーーーーー

 ーーー

 ーー


「ユ、ユアンくんは誠実でいい子じゃ……」


 中盤に差し掛かった頃だろうか。

 はじめの頃の文章とは違いおかしな文章のものが出始めた。


 (これっておじいちゃんが考えたの?なんかすごい嫌な予感する…………)


「あ!あったぞ!!!!」


 嫌な予感をしつつも、みんなが待ってるので次の読み札を読み上げる。


「そ、…………ソフィア院長は、美人で優しくてプリティで偉大で可愛くて…………」


 明らかに忖度された読み札に耐えきれなくなって握りつぶす。

 なんとか読もうと思ったけど無理だ。


 読み札に小さい字でびっしりと書き綴られている。


 (なんで可愛いが二つあるの!ていうかこんな長いもの採用するな!!!!!)


「パ、パム?どうしたの?」


 異変を感じ取ったユアンが近づいてくる。

 握りつぶした読み札をユアンに見せると、言葉が失ったように表情が消えた。


「あ…あはは…………」


 乾いた笑い声がユアンから漏れる。

 ユアンでもフォローの言葉が出なかったみたいだ。もうやめたくなってきた。


「やった!!!!見つけた!!」


 でもみんなには好評みたいだ。


 どんどん盛り上がってきているからやめたくてもやめれない。

 ていうか、パがくるのが怖い。


「次、次!!!」とみんなに急かされて読み札をめくる。


 嫌な予感……いや、恐れてたのもが来てしまい口を閉じた。


 書いてるものを読みたくない。

 隠蔽してやろうと口を開いた瞬間、ヒルダに札を奪われた。


「もう!遅いの!!ヒルダが読んであげる!!」

「ちょ、ヒルダ!!!」


 走りながら読み上げ始めるヒルダを追いかける。


「パ、パメちゃんはずーずーしくて小賢しい!

 でも可愛いと思うのう。スリーサイズは………………」

「なんで知ってるんだよ!あのクソジジイ!!!!!!」


 追いついたヒルダの口を慌てて塞ぐ。


「あ、危なかった……」


 危うくみんなにバラされるところだった。

 まぁ、バレても何もないんだけどさ………一応……ねぇ?


 ていうかこんなの書くな!!!絶対苦情入れてやる。

 11歳の思春期の子供になんてもの書いてんだ。中身は大人だけどセクハラで訴えるぞ!


 あれ……セクハラ?

 あれ?そういえば私、看病の時にユアンえ〇本持ってるかな?とか邪な想像してなかった…………?

 あれ!?私もあのくそじじいと一緒なの!?

 10歳の子にセクハラしちゃったの!?

 う、嘘でしょ!!!お縄になる!!!!!!!


「パム」


 ユアンの声が後ろから聞こえて体がビクッと跳ねる。

 今1番聞きたくない声が聞こえてきた。


「そろそろヒルダ離してあげてくれ」


 ジタバタしているヒルダを忘れていた。

 パッと手を離して両手をあげる。


 (だ、ダメかも。ちょっと今ユアン見れない)


 罪悪感でいっぱいだ。こんな純粋っ子にそんな想像したの?

 過去の私をぶん殴りたい。


「パム??どうしたんだ??なんか様子が変じゃないか?」


 肩に手を置かれた瞬間――

 私は土下座をした。


 上から「えっ」という声が聞こえてくる。


「ユアンごめんねぇ!!!!!邪な想像して!!!!!」

「……へ!?パム!?なんの話!?」


 驚いて後退りしたユアンの足元にしがみつく。


「違うんだよあれは!!!あの時はちょっとおかしくて!!!!」


 目尻にちょっと涙が出てきた。


「ちょ、ちょっと落ち着いて!!!」

「はっ!!!これもセクハラになるかな!?ごめんね!!!」


 今、自分が子供だったということをすっかり忘れて泣きじゃくった私は、ユアンのおかげでなんとか丸く収まった。


 結果的にめちゃくちゃ迷惑をかけることになってしまって、私の心はズタズタだ。


 それにユアンにもみんなにも全部バレてしまった。


「カルタなんてもう二度としない……」


 

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