表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/61

14話「落し物と人助け5」

「ラナは、呪いにかかってしまったんだ」


 真相を話し始めた、アイラさん夫婦の第一声はこうだった。


「呪い!?ど、どうして!?」

「なんだと……」

「そんな……ラナちゃんは大丈夫なんですか?」


(呪いの方か……)


 怪我、呪い、誘拐の3つで迷っていた。

 本当はわかってなかったんだけど、ハッタリが効いたみたいだ。


「とりあえずは大丈夫だ。でも……このまま行くと死んでしまうと教会に言われたよ。」

「なんでそうなってしまったの?」

「今日、ドミニクとラナがイーストの森に行ったのよ……」


 イーストの森は名前のとおり、この街の東にある森の名前だ。

 ここは冒険者にとって初級と呼ばれる森で、あまり強いモンスターは出てこないと言われている。


 私はこれを少し前の井戸端会議の時に聞いた。

 だからラナちゃんの身に何かあったんだろうと推測した。


「イーストの森?……まさかっ」


 そんな森で時々出る厄介な魔物――


「ああ、カラスジュが出た。街には昨日の件で噂にはなっていないけどな」


 カラスジュとは、真っ黒な羽を持ったカラスの魔物だ。


 日本でも見たことない人はいないだろう。

 あの、カーカーとなくカラスだ。

 ちなみに、カラスジュの由来は、カラス+呪いからきている。


「大丈夫ということは解呪できた……のよね?」

「いいや……とてもじゃないが出せなかった…、魔力の消費が多いから高いんだとよ……」

「そんな……」


 嫌な予感がする。というか予想とおりと言った方がいいんだろうか。


「いくらだったんだ?」

「白金貨一枚だってさ……」


(くそ教会め、だから嫌いなんだよ)


 この世界は鉄貸、銅貨、銀貨、金貨、白銀貸、白金貨の五つがある。


 その中でも、白金貨は平民では絶対にお目にかかれないレアな通貨だ。

 前世で言うと千万くらいだろうか。


 そんな大金、まだ若い彼等がポンと払うことは到底不可能だ。


「そんなっ、じゃあラナちゃんは……」

「ええ……ごめんなさいっ、アタシ認めたくなくてっ……ううっ」

「悪いのは全部俺だっっ!!俺が森につれて行ったばかりにあの子があんな目にっ!!!」

「なにか……なにか考えよう。俺たちも手伝う、きっと助かるはずだ……きっと……」


 ままならない状況に拳を握り潰す。


 今回は助けてあげられるだろう。

 でも……この世のお金持ちじゃない人は、悔しい思いをした人も要るはずだ。


 だって日頃、貴族の小さい傷には回復魔法を使い、いざという時にこの対応?

 そんな無駄な魔力を消費するくらいなら呪いを治せ。

 それとも無駄なことをするのが好きなわけ?

 傷なんてポーションでも振っとけよ。


 前世でもそういう面はあるにはあったけど……でも……


「腹立つ……」

「俺もだよ」


 小声でも隣にいたユアンに聞こえていたみたいだ。

 握り締めていた手の上から握られた。



 とりあえず話しはまとまったので、椅子から立ち上がる。


「ごめんね、パメラちゃん、ユアンくん。こんな暗い話しちゃって」

「大丈夫だよ、むしろ無理矢理聞き出してごめん」

「俺も気にしてません。アイラさんなにか出来ることがあったらいつでも言ってください。すぐに駆けつけます」

「いいのよ。2人ともありがとう」


 結局、許すことにしたライラさんたちと、アイラさんたちで、これから話し合うことにしたようだ。


 私たちはもう遅いので急いで帰ろうと思う。院長が心配しちゃうから。


 でもその前に――


「ライラさん、最後にラナちゃんの様子ちょっとだけ見てっていい?あ、起こさないよ」

「?ええ、いいわよ」


 案内された部屋に、ユアンを連れて入る。

 アイラさんには、話し合いの場に戻ってもらった。


「パム、どうするんだ?」

「教会はさ、たぶん払えないってわかってるんだよ。

 でもお金は欲しいから、解呪も出来ない回復魔法を使って、進行を遅らせたんだろうけど――

 腹立つから顧客を減らしてやろうと思って」


 ニヤリと笑って、苦しそうなラナちゃんに向かって治癒魔法キュアを発動した。


 ◇◇◇


「パム、アイラさんたちに何も言わなくて良かったのか?」

「いいよ。別に感謝されたくてしてるわけじゃないし」

「素直じゃないねパム」


 ふふっとユアンは笑った。


「素直じゃないっていうか……解呪したってあんまり広められたくないって言うのもあるよ?」


 黙っていなくなったんだ。

 もし気づいたとしてもきっと察してくれるだろう。

 それに友達だからこそわかる。恩人を売ったりする人たちじゃない。


「きっとパムのことだから、ほかに理由があるんだろう?」

「1番の理由は、家族を亡くすのは辛いから。

 それに……親しい人がああいう理由で悲しんでるのは楽しくない」

「パム……」


 それはもう孤児院の子供たちで散々見てきた。

 出来ればもう見たくない。もう十分だ。


「あ、そうだユアン。ユアンもなにかあったら言ってね。私が助けてあげる」

「え?」

「幼馴染だし安くしとくよ?」

「…………」


 あれ?反応がない。

 もしかして迷惑がられた!?


「パム、俺お願いしたいことがあるんだ」


 お願いしたいこと?一体なんだろう。

 真剣な顔しているしなにか良くないことかもしれない。


 え、もしかして、だらしないよ!とか怒られる!?朝ちゃんと起きろとか!?


「12歳になったら冒険者になれるだろう?その時、俺と一緒に冒険者のパーティーを組んで欲しい」

「え?私?他にも誘われてるんじゃないの?」


 この世界では、12歳になると冒険者登録ができる。

 正直、私としてはこのお願いは、願ったり叶ったりだ。

 モテモテユアンを特等席で見学できるから。


 でも、引く手数多なのに、わざわざこの私を選ぶとはもの好きというか、なんというか。


「そうだけど、パムがいいんだ」

「お目が高いね〜」


 ユアンの腕をツンツンと指でつつく。


「そうだろう?ふふっ、俺パムみたいになりたいんだ」

「は?」

「パムってすごいことしているのに、なんでもない顔をするんだ。自分の損も考えないで、困ってる人に手を差し伸べる。昔からね」


(だいぶ美化されてない?)


「ふふっ、そんなパムに俺は昔から憧れていたんだよ。パムは気づいてないけど兄さんたちは知っていたよ」

「は?」


 冷や汗が出てきた。何を言い出すんだ。


「ふふっ、パムさっきから「は?」しか言ってないよ」

「いや、言いたくもなるよ!!!さっきから美化しすぎなんだよ!!目覚ましなさい!!!」


 ユアンの肩をガクガク揺さぶる。


 私、力もあるし助けられるのに、使われるのが嫌だとか言って教会にも入んないんだから!宝の持ち腐れしてるんだよ!


「はははは!そういう所も好きだ。でも、自覚してくれ。パムは変人じゃないしずっとかっこいいよ」

「っっ」


 これはもしかして、昨日落ち込んでたのを掘り返されてる?


「わざわざ慰めてくれなくてもいいのに」

「本心だよ。あの時は言えなくてごめんね」


 ユアンは私に手を差し出した。


「ねぇパム、だから俺とパーティーを組んで欲しい。

 憧れたパムと組むのが俺の夢だったんだ」


 この光景を見た人たちは、ユアンをまるで王子様みたいだと言うだろう。

 こんな王子様に願われたら、返事をしないのはもったいないと。


 でも私は――


「憧れるのやめて!!荷が重い!!!」


 全力で拒否させてもらう。

 それに私に憧れて擦れたらどうするつもりだ。

 純粋、誠実、鈍感これが揃ってるのも面白いポイントなのに。 


 そう思って断ったが、

 意外としつこいユアンに何度も勧誘されることとなった。



 

「パム!一緒に冒険者になろう」

「せめて1日1回にしてくれない?」

「ふふっ、1回ならいいんだ?わかったよ」

「……あー、うん。いいよ(ん?あ、あれ?私、いつの間にか勧誘許可してない!?)」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
『楽に自由に生きる』  過労死した前世の反動からそんな決意をした主人公パメラの奮闘がコミカルに描かれており、とても楽しく読ませていただきました。  規格外のチート魔法を持ちながらも、権力者に搾取され…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ