表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/61

11話「落し物と人助け2」

「ユアンそっちはあった?」

「いや、こっちも見つからなかったよ」


 早速、ライラさんが通った場所を手分けして探した。

 でも、聞いていた水色の財布はどこにもなかった。


 ユアンの方にもなかったとすると、悔しいが誰かが取ったあとの可能性が高い。


(こういう時の魔法ってなんかあったっけ……?あった気がするんだけどなぁ……)


 魔法に頼ろうと考えてみるが、肝心の魔法を思い出せない。

 如何せん、異世界ものを読んでいたのなんて10年以上前だ。


 それにしたって、物忘れみたいなこの現象はどうにかならないものか。

 ほかの異世界ものでは、みんな普通にチート能力を使ってるのにどうしてこうなった。


 変にリアルにしなくていいんだよ。体は若いのに物忘れは激しいみたいな変な要素残しやがって。


 と神様につい文句を垂れたくなる。


「すみません、おじさん!落としましたよ!!」


 心の中で神に向かって文句を言っていたら、隣にいたはずのユアンの声が下から聞こえる。

 不思議に思って視線を向けると、座り込んで誰もいない空間に向かって手を差し出していた。


 手には財布を持っているから、どうやら落とし主が気づかずに行ってしまったみたいだ。


 人混みが多い市場で落とし主を見つけることは難しいだろう。

 それは騎士にでも預けるしかない、そう思いユアンに声をかけようと思ったが……


「ユアン……それ水色の財布だよ。ライラさんのものじゃない?」


 聞いていた特徴とそっくりの財布が、ユアンの手にあった。

 ユアンは運までいいみたいだ。


「……本当だ。でもおかしいな。さっき落とした人は男性だった」

「中身ある?」


 開けた財布を覗き込むと、一銭も入っていなかった――


 二人で走り出して犯人を追う。今度は置いて行かれなかった。


「ユアン、どんな特徴だった?」

「上は長袖で青。下は黒。髪は短髪の茶髪だった。後ろ姿しか見てないから顔はわからない」

「……ユアンに任せた」


 特徴がなさすぎて見つかる気がしない。服なんて脱がれたら終わりだ。


 ここはユアンに任せるしかなさそうだ。

 本人は「任せて」と自信ありげな返事をしているから。


「見つかると思う?」

「わからない。でも……俺『かくれんぼ』は得意なんだ。」

「わっ!!!」


「ついてきて!」と突然手を引っ張られる。


 着いてくのはいいんだよ。いいんだけど!!!!――


 力強いし早いって!!


 少し手が痛くて、思わずユアンを見るが本人は真剣そのものだった。

 その姿を見て、振り払うのは諦めた。


 代わりに強化魔法を使う。

 これで難なく着いていけるようになったし、強い力も痛くなくなった。


 強化魔法は身体向上だけでなく、防御のような役割も担っているみたいだ。

 以前は深く考えずに使っていたけど、今は使えば使うほど便利で、魔法が手放せない。


(楽する為にもっと習得しなきゃ)


 そういえば、ユアンは昔から力は強かった気がする。

 それにかくれんぼで思い出した。


 小さい頃、孤児院のみんなでかくれんぼをして遊んだ。


 私は、変な場所に隠れたり、魔法で隠れたりして兄たちでは見つけられなかった。

 それを、速攻見つけたのがユアンだ。


 あの時は悔しくて何度も挑戦を挑んだが――結局全敗した。


 なんか思い出したらムカついてきた。

 また戦いを挑むことにする。

 今度こそは勝ってみせる――けど今は……


 (一体どこに向かってるんだろ……)


 市場から抜けて、ユアンはどこかに向かっている。この方角的に、住宅街だとは思うけど……。


(もういいや…ユアンに連れて行ってもらおう)


 走るのに飽きてきた私は、両手でユアンの手を握って力を抜いて身を任せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ