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不羈奔放なパーティですが、  作者: 西園寺未來
ヴァンパイアの洞窟
7/8

力の石を求めて

「あっなつ……メツナだ」



セインはわざとらしい言い間違いにテヘッと舌を出す。


ブラブラさせている足元には口を塞がれ、体を縄で固定されたヴァンパイアが居た。


暴れ出すとハイヒールの先が容赦なく振り下ろされている。



「全員ヤったわけ?」



「ほとんどフレアがね。子供達は今は寝たら回復する魔術をかけて、そこにいるよ。防御魔術はかけてあるから死角から来られても安心だね」



ニコッと笑う彼の瞳は笑っていない。


青いグラデーションがかった目は僕の脇腹に釘付けである。


…………ちょっと考えないようにしておこう。


双眸がゆらりと違う場所に向いてから息をそっと吐く。


フレアが内容は僕に向けて喋っている癖に体はセインに向いている。



「初仕事はどうだった」



「明日は全身筋肉痛だと思う」



「そうか」



短い一言にはそこそこの情はあるのだろう。


素っ気ないように見えて意外と心配性なやつだ。


ことさらセインのことになると過保護すぎるぐらいだが。


少年姿の彼はマルタの上から勢いよく立ち上がる。



「さてと、これで依頼終了だね。戻ろうか」



そう言うセインを見ながらふと思い出した。



「ちょっと待て」



「ん?なにかあった?」



「誘拐犯はどうした」



空気が一気に氷点下まで下がる。


少し顎に手を当ててから口を開いた。



「塵になったんだよ」



「…………そうか」



不思議と可哀想とか酷いやつとは思わなかった。


なんなら当然だろうなぁとか。


それ以上続けず、彼が居なかった時に起きた出来事について話しながら元来た道へと足を踏み出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「本当に、助かりました」



深々と綺麗なお辞儀の角度である。


マントが肩からだらりと落ちてゆく。



「それではまたのご依頼お待ちしております」



セインが頭を下げると同時に僕らも頭を下げた。


スヴェンと目が合う。


ホッとしたようなどこか迷いが残ったような感じで、察しの悪い僕にはよく分からない。


チラリと横に目を動かす。


2人は気にする素振りを見せず、洞窟から出て行こうとする。


まぁ気にすることじゃないか。


僕が背を向けると同時にグサッと声が刺さった。



「待ってください!あの……えっと!」



言葉が形にならないのだろう。


口を開いてはいるが蛙が潰れたような声しか聞こえない。



「今からパワーストーンを買いに行くところなんですけどあまり詳しくなくてですね、良かったら教えて頂けませんか?」



人の良い笑みで先を紡ぐ。


スヴェンは晴れやかな笑顔で首が取れるんじゃないかと思うぐらい首を振る。


デロイドに見送られながら僕らは洞窟を後にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


様々な形に加工された石が並べられている。


金運にはブルールチルクォーツやレッドファントムクォーツと薄い照明に当てられて優しく輝いていた。


足につけるようのミサンガを手に取って会計を済ませる。


やはり鉱物だからそれ相応の値段はしたがスヴェンの元へ近づく。



「スヴェンは持ってたりするの?」



背後から話しかけたせいだろうか。


肩がビクンと大きく揺れる。


予想以上にびっくりされて、こっちも驚いた。


数秒の石化した後 彼女は服に隠れて見えなかったチョーカーを見せてくれる。



「これだよ!生まれた時からずっと着けてるんだ」



なんの石かは分からないが、他の物より真っ黒である。


2人はまだ選んでいる……まだ時間はかかるだろう。



「そういえば皆チョーカー着けてるよね」



「お守りだから」



ちょいちょいと僕に屈むように手招きをしてくる。


腰を落とす。



「君って〝人間〟でしょ?」



心臓がドクンと跳ね上がる。


気づかれてた。


思わず目を見開いてスヴェンに視線を注ぐ。


クスッと悪戯いたずらっぽく笑う彼女は自分の鼻を指した。



「私達ヴァンパイアは匂いに敏感なの。確かに見た目じゃ分からなかったけど、メツナちゃん……くんかな?はあの時傷を負ったから分かったの。多分あの2人もヴァンパイアじゃないんでしょ?背の高い人は絶対に違うと思う」



「驚いた」



僕はヴァンパイアについての知識は乏しい。


言語と生態と弱点しか知らない。


2人が近づいてきた。



「バレちゃったか。ここじゃ話しにくいから別の場所に行きたいな」



店主にバレないように少年のように高い声から大人びた低い声に落とす。


スヴェンは信じられないものを見たような表情になっていた。


場所を移して森の中に入る。


見たことのない植物に視線を奪われながら辿り着いたそこには、絵本に出てきそうな小さな小屋があった。



「私のおじいちゃんが建てた小屋なの。今は塵になってどこかを旅してるんだけどね」



鍵を使って扉を開ける。


木の香りと血の臭いが混ざりあっており、フレアが眉をピクリと動いた。


コップに注がれた液体は水と赤いサラサラとした血液。


水は僕とフレア、血液はセインに手渡される。



「エルフの血かぁ〜よく分からない客人に出すにしては随分高価だね」



ワインを飲むみたいにクルクルコップを傾けた後、グビっと飲んだ。


まじか。



「貴方はきっと身分が高いんじゃないかと思って」



「なるほどね。まぁあながち間違いじゃないのかな」



首をこてんと傾け、僕に寄りかかってきた。


普段の死んだような冷たさではなく血液が通った暖かさ。



「スヴェンちゃん、ちなみにこの2人さ、なんの種族か分かる?」



「えっ」



真っ先に顔を向けた先はフレアだった。


まぁ僕は知られてるし。


答えを待つ間ちょっと好奇心でセインが飲んでいた血を貰った。


それを飲んだらもうどこかに戻れない気はしたけど今更すぎる問題だと思ってグビっと呑み込んだ。


獣や人間とは違うサラサラしてて果実のように甘い。


食べてるものが違うからなのだろうか?


だが血液なのでやっぱり鉄っぽさが残っている。



「個人的に美味しいのは植物かな。これよりもっと甘い」



「植物に血は通ってないだろ」



至極当たり前なことを言ったつもりが、セインは鼻で笑った。



「知らない?植人しょくじんっていうのがいるんだよ。場合によっては生気を吸われるから気をつけないといけないんだけどね」


「エルフ?」



やっと回答が出たらしい、フレアが音を発するのを待っている。



「お見事。よく分かりましたね」



フレアが手を叩く。



「やった!えっと、口調とか仕草から推測したんです。私はよく 人物が行き交う広場アトラクツィエ・トゥリスティカに行くので覚えたんです」



「あそこかぁ。まぁ勉強には丁度いいよね」



「それでも私に貴方は分からないです。どういう訳かヴァンパイアの匂いしかしませんから」



「ヴァンパイアの匂いがするならそうじゃないのかい?」



首をふるふると振る。


十字の星みたいな瞳が暗く落ちた。



「いや、そもそも生命体なのか怪しい感じはしますけど……って何言ってるんでしょうね」



照れたように笑うスヴェンにセインは何を思ったのだろうか。


表情、声、仕草は茶化されていた。


彼女は何も気づいていない。


ただ2人だけ。


彼の痛みだけが伝わった。

2ヶ月も投稿してないってどういうことですかほんとにごめんなさい。小話をするなら あるアニメを見て創作意欲が湧いたので帰ってきました。これからも沢山帰ってきます。


良ければブクマや高評価、コメントをお願いします( . .)"


[唐突プロフィール]

名前/神楽かぐらフレア

誕生日/9月1日

好きなこと/セイン

嫌いなこと/勝手に期待されること

趣味/セインの世話

種族/エルフ

セインに心酔しすぎている。交渉が得意。

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