表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/236

躊躇

 イリスが敵を拘束してくれれば戦略の幅が広がる。

まだ戦闘に使えるレベルに達していない技も使うことが出来るだろう。

オレは頭の中で作戦を練り直す。

スキル発動の隙をちまちま狙う作戦から拘束による一撃必殺を狙う作戦にシフトチェンジする。



 オレは一応、日本語でイリスに作戦を伝えた。

狂っているとはいえ獣人語だと聞かれる可能性があるからだ。

イリスはオレから離れ、ある場所に待機した。

ダメージを回復するため、オレから距離を取ってる虎に向かって駆け出す。

それを見た虎はオレから逃げ出した。


逃がすか!


 オレは逃げる虎を追いすがる。

ダメージが残っている体では全速力で走ることができないだろう、実際に徐々に距離を詰めることが出来た。

虎は爪を振り回し、オレを振り払おうとするが、そんな破れかぶれの攻撃、躱すことなんて容易い。

それにオレと虎の追走劇はすぐに終わりを迎えるだろう。



 なぜなら、虎が逃げ出した方向にはイリスが待ち構えているのだ。

それに気づいた虎は急いで方向を変えようとするがもう遅い。

イリスが投げた針に通されている糸によって虎の体を拘束された。

まるでクモの巣にかかった蝶のようにもがくが、そう簡単には抜け出せないようだ。



 白極の奥義で決める。

全身の力を拳に籠めるこの一撃は虎を確実に死に追いやることが出来るだろう。

溜めや動作の確認に10秒は掛かるので普通では使えないが、イリスが拘束してくれているおかげで使うことが出来る。



「これで終わりだ」

 全身の力を拳に籠め、オレは地面を蹴った。

たった一歩だが、この一歩で虎との距離が一気に縮まる。

オレは腹部目掛けて、拳を突き出した。



 拳が命中するまでのほんのわずかな時間、オレはあることに気付いた。

こいつは狂った獣人、人だということに。

現代で生まれ育ったオレは当然のように人殺しを忌避するよう教育を受けている。

狂ったとはいえ人だ、友達や家族もいるだろう。

それに気づいたとき、オレは拳を一瞬止めてしまった。



 本来、この技は途中で動きを止めることはできない。

だが、獣転拳を教授されたオレにはそれが一瞬とはいえ出来てしまった。

獣転拳の爆発的な力の発揮は停止という分野でも力を発揮するのだ。

硬直はほんのわずか、だがそれは戦闘においてあまりにも致命的なものになる。

「イツキ!」



そのわずかな時間で腕だけ拘束を抜け出した虎の爪がオレに襲い掛かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ