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狂獣1

 この村から旅立つまであと一週間になった。

残り少ない時間を名残惜しむこともできないくらい、修業が激化している。

今までが拷問なら今は処刑だ。

プラータさんの石避けは光らない普通の石になり、時折ナイフが飛んでくるようになった。



 オールさんの実戦は魔物の種類が増え、戦闘中に休みなく数が追加されていく形式に変更されている。

本当によく生きてるな、自画自賛できる。



 語学力も獣人語、人間語どちらもある程度こなせるようになった。

口が裂けてもマスターしたとは言えないが、両方の言語の日常会話はオレもイリスも問題なく話せるようになった。

 読み書きだがイリスは自分の名前を書けるようになったら、早々にやめてしまった。

しかし、オレはそういうわけにはいかない、必死の勉強の成果で獣人語は日本で言えば小学生レベルだが読み書きができるようになった。



 プラータさんの言語指導は少し偏りがあり、違約金とか罰則、賠償などの旅する時の要注意文章を重点的に教わっている。

人間語はもう間に合わないので、旅に出た後でも勉強できるように特製の辞書を作ってもらった。



 ただ作ったのがプラータさんなので、例文が物騒でおかしい。

《人間が死んでいくのは仕方がないことだ》とか《父さんが死んだのはあいつのせいだ》など、一ページで平均3人は死んでいる、あまりにもインパクトが強いのでおもしろいぐらい覚えられる、プラータさんのことだ計算の内だろう。



 今日は珍しくイリスと一緒に修業をするみたいだ。

プラータさんがオレ達を村の外に連れ出す。

シルバーに乗っていくのだが、イリスは乗れないのでオレの中に入る。

そういえば、イリスと一つになるのは久しぶりになる。



 シルバーに騎乗するのはもう慣れたものだ、風の音を楽しむ余裕が出てきた。

その時間はあっという間に終わった、目的地に着いたからだ。

到着と同時にイリスがオレの中から飛び出した。

 そこには洞窟があり、入口は鉄格子が閉じられている。

中から獣の唸り声が響いている。

「この中になにがいるんですか?」

「狂った獣よ」



「血と闘いに狂い、魔物と化した獣人がこの中に閉じ込められているの」

「あなたたちにはこれからそいつと戦ってもらうわ」

 プラータさんが鉄格子についている扉を開け、イリスが一足先に中に入った。

オレも後に続くがこの後の展開は読める。

洞窟の中へ入った瞬間、後ろからガチャンと音がした。

やっぱり閉じ込められてしまったようだ。

「戦いが終わるまでここは開けないわ」

「でしょうね」



 オレたちは覚悟を決めて洞窟の奥へと足を進めたのだった。

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