名づけ
本日の修業も終わり、完全にオレの部屋と化した元倉庫に戻る。
いつもなら疲れ果ててベッドに飛び込むのだがその欲求を抑え付ける。
今日はやることがあるのだ、まだ寝るわけにはいけない。
「イツキ、どうしたの?。」
ベッドの上で寝転がっているイリスが声を掛けてきた。
「白の技に名前を付けないといけないかと考えているんだ。」
空手に柔道、合気道、ボクシング、獣転拳、格闘技には名前がついている。
白の技を継ぐ者としてなにかいい名前を考えてあげないと。
「イツキが考えるのはやめた方がいいと思うな。」
「オレのネーミングセンスってそんなに駄目か?。」
「うん!。」
即答されるとなかなかショックが大きい。
家族からもオレが名前を付けるのを禁止されている。
リキの名前もオレが考えたのはザ・パワーだったのだが、呼ぶのが恥ずかしいからと強制的にリキに変えられてしまった。
あの時、オレは妥協するということを覚えたのだ。
「ちなみにどんなの考えてたの?。」
とっておきのやつがある、白といえばこれだろう。
「名付けてミルク拳とかどうだろう?。」
イリスから深いため息が漏れる、骨太な感じが最高だと思うんだけどな。
「ひどすぎるわね。」
いつの間にプラータさんが部屋の中にいて、クスクスと笑っている。
「イツキ君にこんな欠点があったなんてね。」
「そうでしょ、僕の名前を考えるときもひどかったんだから。」
「イリスって名前はイツキが考えたんだけど、奇跡の産物だよ。」
奇跡なんてひどい言いぐさだ、頑張ってひねり出したのに。
それから名前を決める会議が始まったのだが、オレは完全に蚊帳の外だ。
最初はオレも参加していたのだが、途中からオレに意見を求められなくなった。
二人に任せてオレは部屋の隅でおとなしく体育座りで待つ。
幾つかの候補が出たが、最終的に白の技の総称は白極に決まった。
やっぱりミルク拳の方が・・・。
そう思っても口には出さない、せっかく二人が一生懸命考えてくれたんだ。
白極、いい名前だな。
そこから一つ一つ技の名前を細かく決められた。
もちろん俺の意見なんて全く通らないのだがそれはすでに諦めている。
これから名前を付けるときは他人にすべてを委ねよう。




