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スキルオーバー

 白との戦闘と半月の修業を経て、身体認識のレベルは以前よりも上がっている。

それでも獣転拳の習得は困難を極めた

その理由はオレの身体能力にあるのだ。

技の動きやその意味を理解できても、体が思い通りには動いてくれない。

獣転拳は特殊な身体操作が必要な武術だ。

静から動へと一瞬で切り替えることが全ての技に求められる。

半月程度の修行ではそれがまだできなかった。


「今は完璧にできなくていいわ、動きだけでも覚えなさい。」

「わかりました、お願いします。」

 プラータさんの指導は今までで一番丁寧かつ真剣だった。

オレはその指導についていくのに精一杯だ。

一動作ごとに間違いを指摘され、動きを修正していく。

時に自らの体にその技を受けることによって技の理解度を上げていく。

だが静から動、獣転拳の基礎が完璧ではないのでどの技の完成度は1割を下回っている。


「いったん休憩にしましょう、集中力が落ちてるわ。」

「まだいけます。」

 呼吸は少し荒いが毎日のダッシュのおかげか体力にはまだまだ余裕がある。

時間は無駄にしたくない。

「駄目よ、今の状態で教えても身に付かないわ。」

「しかし!。」

「これは師匠命令よ。」

それを言われたらどうしようもない、オレはおとなしく指示に従うことにした。


 休憩中、プラータさんは獣転拳のことについて教えてくれた

「獣転拳はもう私以外に使う人がいないの。」

「こんなにすごい技なのになぜですか?。」

 瞬間移動を思わせる移動術などかなり有用な技なのになぜ廃れるのか理解できない。


「獣転拳はスキルオーバーと呼ばれているものの一つよ。」

「なんですか、それは?。」

「スキルのことについては教えたわよね。」

 たしかスキルは動作をアシストしてくれる便利機能だったな。

オレには使えないので感覚がわからないが。


「スキルは神が生み出した世界中にある技術を誰でも簡単に使えるようにしたものよ。」

「でも、全ての技術をスキルにすることは出来なかったらしいわ。」

「なぜですか?。」

「難しすぎるからよ。獣転拳はただ動きを真似すればいいだけじゃできないわ。」

「動作だけを補助するスキルでは再現できないの。」

「スキルにできないスキル、それを総じてスキルオーバーというのよ。」


「スキルオーバーを体得するには努力をしなければならない。」

「それだったらレベルを上げてスキルを身に付けた方が簡単だわ。」

 人間は楽な方へと進む、誰の言葉だっただろうか。

それは異世界でも変わりないみたいだ。

スキルという楽な道があるのにスキルオーバーという困難な道を進む人は少ないのだろう。

納得できたが、どこか寂しさをオレは感じた。

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