膝枕
ここで暮らすようになってもう半月が経った。
相変わらず拷問のような修業が続いているが、人間の適応力とはすごいもので慣れてきた。
慣れたといっても精神的なもので肉体的には毎日疲れ果てて死んだように眠るのだけど。
今日の担当はプラータさんだ。
オレは思考タイプなので、プラータさんが担当することが多い。
準備運動を終えて、いつもの石避けが始まる。
石避けとシルバーとの実戦が交互に行われる。
これを大体夕方まで行うのだが、今日は違うみたいだ。
「今日は村の外に行くわよ。」
「外にですか?。」
プラータさんの修業は村の中で行われるので珍しい。
プラータさんは膝を屈伸せずに跳びあがり、シルバーに跨った。
オレもそれに倣いジャンプするがわずかに届かない。
重力に従い、落ちるところでプラータさんはオレの手を掴み、シルバーの上に引き上げた。
「しっかり掴まりなさい。」
オレの返答を待たず、シルバーは走り出した。
シルバーの加速はとてつもなく振り落とされそうになる。
オレはシルバーの毛をしっかり掴み、そのGに耐える。
抗議したいが口を開くことさえままならない。
チラッと見えたプラータさんは涼しい顔をしていた。
彼女は慣れているんだろうがオレにはかなりきつかった。
10分ほどで目的地に着いたようだが、酔いがひどい。
気持ち悪く、吐きそうだ。
プラータさんがオレの背中をさすってくれている。
「大丈夫?。」
「すいません、少し休めば治るので。」
車では酔ったことはないのだが、レベルが違った。
ゲロが出そうになるが、気合で抑える。
女性がいるのだ、意地でも吐いてたまるか。
少し休んだら、気分が良くなり周囲の状況を確認することが出来るようになった。
そこにあったのは大木だった。
木には無数のエチアの実が実っている。
ここで何をするのだろうか?。
「これを飲みなさい。」
「ありがとうございます。」
プラータさんは水が入った瓶をオレに渡してくれた。
オレはそれをチビチビと飲む。
少し酸っぱい、なにか入っているみたいだ。
その酸味が口の中をスッキリさせてくれる。
「なにが入ってるんですか?。」
「近くに生えていた鎮静作用がある薬草の搾り汁を混ぜたの、スッキリしたでしょ?。」
「ええ、だいぶ楽になりました。」
「少し安静にしましょう、今日は時間があるから大丈夫よ。」
そう言いプラータさんは膝枕をしてくれた。
膝枕なんて高校生になって始めてだ。
プラータさんと目が合ってしまった。
オレは恥ずかしさを感じ、目をそらした。




