可愛くない兎
『修業の方法は簡単じゃ、力を一気に入れて、一気に力を抜くだけじゃよ。』
『指一本から始め、それを徐々に手、腕、上半身というように広げていくのじゃ』
簡単だ、それで本当に身に付くのか。
ここは信じて始めよう。
『それでは始めよ!。』
まずは人差し指から力を入れ、すぐに力を抜く。
それを繰り返す、次は中指も加える。
指を増やしていき、ついに手を全体で行う。
とんでもなく地味だ、傍から見てるとただ突っ立ているだけに見えるだろうな。
『儂は今から実戦の相手を探してくる、サボるんじゃないぞ』
実戦もやると言ってたな。
何と戦うんだろうか?。
「しかし・・・・プラータ・・・古臭い・・・なぜじゃ?。」
オールさんは森の中へ消えた。
その時、オールさんは獣人語でなにか呟いたが一部しか意味がわからない。
この修業の最大の問題点はとにかく退屈なことだ。
追いかけっこや石避けは緊迫感があったが、これは安全すぎて逆に嫌になる。
強くなるためにはサボるわけにはいかない。
オレは頭の中で言語の復習をしながら、オールさんの帰りを待つことにした。
しばらくして、オールさんは手になにかを掴んで戻ってきた。
暗くてよく見えないが、もぞもぞと動いているので生き物だろう。
『お主の相手はこのホーンラビットじゃ。』
それは地球にいる兎より二回りほど大きく鋭い角を持っていた。
その目つきは絶望的に可愛くなかった。
オールさんがホーンラビットを解放するとすぐにオレに攻撃を加えてきた。
角を活かした体当たりだ。
オレはそれを身をよじることにより回避した。
昨日の特訓がなければ当たっていたかもしれない。
ホーンラビットは攻撃を外したことにより大きな隙が生まれていた。
すぐさま攻撃しようとしたが、それより早く体勢を立て直され再び体当たりを繰り出してくる。
腕を狙ったであろう一撃は少し動かすだけで避けることが出来た。
こいつの攻撃は体当たりだけみたいだ、しかも予測しやすい、一直線に飛んでくるためどこを狙っているのか丸わかりだ。
外せば隙ができるのだが、距離が空くので追撃がしにくい。
カウンターで倒すしかないな。
戦闘を長引かせるの得策じゃない、切り札とか持っていたら厄介だ。
次の体当たりで決める!。
ホーンラビットの体当たりがオレに襲い掛かる。
軌道から頭を狙っていることがわかった。
オレは体を半身の構えを取ることによりその一撃は躱すことができた。
そして、目の前を通過するホーンラビットに拳を振り下ろし、地面に叩き落とす。
「死ね。」
まだピクピク動いているホーンラビットに対してとどめとして足で踏みつける。
ゴキッと骨が折れる音がし、ホーンラビットは命が終わった。




