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弟子入り

 奥の部屋から生々しい打撃音が聞こえてくる。

それに合わせて時折、男性の悲鳴が家に響いている。

どんな目にあっているんだ・・・

オレとイリスは身を寄せ合い、恐怖に震えていた。



しばらくしたら、打撃音と悲鳴が消え、プラータさんが戻ってきた。

その拳と顔には赤い飛沫がついていた、おそらく返り血だろう。

プラータさんは何事もなかったかのようにポケットからハンカチを取り出し血を拭っている。

プラータさんの過激さは昨日と今日だけで何度も目撃しているが、何度見ても心臓に悪い。

今のところ被害者はオールさんだけだが、オレに飛び火したら、生きて帰れる自信がない。

怒らせないように本当に気を付けよう。



 プラータさんは血をすべて拭い終わると、オレの願いの答えを出してくれた。

『結論から言えばYESよ。』

『私たちがあなたを鍛え上げるわ。』

『ありがとうございます!。』

 オレは安堵した、それと同時に不安にもなった。

あの過激さを訓練で出されたら、死んでしまわないかと。

杞憂だろう、レベルがないオレ達にはもう少し手加減してくれると思う。

とりあえず五体満足で死ななければ問題がない、その加減は二人を信じよう。



『あなたたちはどのくらい滞在できるの?。』

『一ヶ月ぐらいが限界です。』

 プラータさんは絶句している。

そりゃそうだろう、短すぎる。

日本で小学生から換算してかなりの年月英語の勉強をしているが、まったく身についてはいない。



 一ヶ月という短い時間では言語だけでも身につけるのは難しいだろう。

ほかにも覚えなければならないことが多いのだ。

無茶というのはわかっているが、それ以上時間を掛けると取り返しがつかないことになる。

異世界人の匂いが消えるという一ヶ月が限界だった。



 プラータさんは目を閉じなにかを考え込んでいるようだった。

一呼吸おき、静かに目を開けて結論を出した。

『任せなさい、一ヶ月もあれば立派な戦士が作れるわ。』

『私の見習い期間は三ヶ月だったもの、二ヶ月の短縮なんて余裕よ。』

余裕か・・・・その自信はオレにはありがたい。

たった一ヶ月でこの世界で生きていくために必要な力を詰め込むのが不可能じゃない気がしてきた。



 ただ気になったのは戦士という単語だ。

無性にいやな予感がした。

後にこのいやな予感が正しかったと知る。

後悔はしていないのだが、もう少し慎重になるべきだった。

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