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頂は遠く

 時刻にしたら、七時ぐらいだろうか。

太陽の位置も大分上に移動していた。

演武は九周目が終え、十周目もあと半分ぐらいだ。。

体中の水分が出るかのように汗は滝のごとく流れている。

その汗は地面を濡らし、小さな泥濘(ぬかるみ)を作り出した。

あと少しだ、オレは残りの力を振り絞る。



 残りは一つでこれで終わりだ。

この技は白の奥義。

白との戦いで打ち合ったのは記憶に新しい。

大きく深呼吸し、技の動きを再確認する。

地面を強く蹴り、拳を打ち出す。

拳の風を切る音が周囲に小さく響く。

やっと終わった……。



 オレは地面に膝をついた。

寝ころびたいがここは我慢する。

こんな汗まみれな体で寝ころぶと砂まみれになってしまう。

オレは今日の演武を思い起こす。

白の技はこの程度じゃなかった。

もっと修練を重ねなければ、あの高みには近づけない。

頂は遠く、まだまだ見えそうになかった。

もう一周ぐらいしとこうか。



 その考えは実行することができなかった。

オレの顔の横から手が差し出されたのだ。

その手には木のコップが握られており、中には水がなみなみと注がれている。

オレはその人物が誰か確認するために振り向いた。

プラータさんだ。

太陽の位置からして起きていても不思議じゃないよな。



 この水は飲んでいいのだろうか?

考えているとプラータさんに思いっきり首を掴まれ、無理やり飲まされた。

気管に入りそうだったが、なぜか入らずに食道を通る。

水はオレの中に浸透していき、カラカラになった体を潤していく。

プラータさんは飲まし終わったら、椅子に近寄る。

椅子の上のイリスは熟睡しているようだ。

途中まで起きていたのだが、飽きて寝てしまったのだ。

部屋で寝ていたらよかったのに。



 プラータさんは椅子の上のパーティーブレスを手に取った。

投げ渡せばいいのに、わざわざプラータさんはオレに手渡ししてくれた。

考えてなかったが、これってかなり高価なものなのだろうか?。

オレはパーティーブレスを嵌めた。

汗でぬめって少し気持ち悪い。

『おはようございます、プラータさん』

『おはよう、イツキ君』



 イツキ君か……少しこそばゆい感じがした。

下の名前を君付けで呼ばれるとなんか照れる。

それが美人だとなおさらだ。

『さて、言いたいことがあります』

目が笑ってない……オレは何かしただろうか?

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