空気
『他に質問はないの?』
笑顔で聞いてくるが、その笑顔の下には鬼が潜んでいるのだ。
うかつなことは聞けない。
イリスはオレの後ろに隠れていた。
オレもできたら隠れたい……
しかし、聞きたいことはまだまだあるのだ。
鬼を目覚めさせないように注意しないとな。
それからいくつかの質問をした。
奴隷のこととかだ。
奴隷について大体はイメージ通りだった。
異世界人は強くなりやすいので高値で売れる。
無理やり奴隷にするのは違法らしいが抜け道がいくらでもあるらしい。
その抜け道が何なのか教えてもらえなかったが、かなり非道な行為のようだ。
この世界を旅するのだから気を付けないとな。
異世界人の匂いについても聞いたが、かなり独特の匂いらしい。
だが、異世界人の匂いは一か月程度で消えるみたいだ。
なぜ、知っているのか聞いたが、記録があるらしい。
町にあるという図書館のような施設に行けば見れるそうだ。
オールさんが部屋に戻ってきた。
髪の毛は湿っており、服も少し濡れている。
水をかぶったのだろう。
燃えたので髪の毛の一部は焦げて縮れていた。
オールさんはプラータさんを睨み付けている。
そりゃ怒るよな、髪に火をつけられたんだからな。
プラータさんはそれを受けても笑顔をまったく崩していない。
ギラリと一瞬、プラータさんの眼光が強くなった。
オールさんは慌てて目線を逸らす。
『すまんのう、急に所用ができて外に出ておったのじゃ』
こんなにもわかりやすい嘘が今まであったのだろうか。
髪を燃やされたのをなかったことにするようだ。
オレも高校生で大人への扉に手をかけているのだ、空気を読んで、なかったことにしよう。
だが、ここにはオレとオールさんの思惑を粉砕してしまう奴がいたのだ。
『火を消しに行ったんじゃないの?。』
イリスだ。
慌てて口を塞いだが、パーティーリングの力に声は必要ない。
『ねぇ、違うの?』
オレはイリスを小脇に抱え、ベッドの隅に移動した。
「お願いだからここは見なかったふりをしてくれ」
「なんで?」
「後で説明するから、ここは抑えてくれ」
オレ達は元のポジションに戻る。
『すまんのう』
『いえ、こちらこそ』
少し気まずくなった、仕切りなおそう。
『プラータから聞きたいことは一通り聞けたか?』
『ええ、ありがとうございます』
『さて、儂が一番聞きたいことがある』
心なしか空気が重くなった気がする。
何を聞かれるんだろうか?
『白を倒したのはお主らじゃな?』




