伝承 受け継がれる至高の武
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地面は弾け、土が周囲に舞い上がった。
二つの槍は同時に放たれる。
土埃を切り裂きながら進んでいく。
一本は白い槍、歴戦の神槍。
もう一本は黒い槍、黒い光を纏う二股の魔槍。
そして二つは交差する。
その衝突の衝撃波は土埃を消し飛ばした。
視界が開かれた。
立っていたのは白い槍だった。
◆
その差はわずか数センチだった。
オレのいや、オレ達の拳が先に命中したのだ。
拳は白の胸部に突き刺さった。
一瞬の抵抗を感じたが、それも【破壊】によって容易く突き破られた。
そして、オレ達の拳は白の肉体を貫通した。
オレは拳を一気に引き抜いた。
地面にへたり込む。
立っているのはもう限界だ。
イリスが出てきた。
「大丈夫!?」
「大丈夫だ、そっちはどうだ?」
「僕も大丈夫だよ」
嘘だな、三回分の【破壊】の消耗は大きいはずだ。
オレも嘘をついているからお互い様だな。
白は肉体を貫かれても、倒れることはなかった。
しかし、もう戦意は感じられない。
負けてくれた。
オレはそう思った。
白ほどの達人なら同時に打てば腕が長いほうが先に命中することはわかりきっていたはずだ。
オレのほうが身長が高いのは遅くとも肩で押し合ったときに気付いてたはずだろう。
わざわざオレの技の間違いを指摘しなければ、負けていたのはオレだった。
白は動き出した。
殺意も戦意も感じられない。
それは演武だった。
ゆっくりと、しかしとても力強い。
一個一個の動作を丁寧に分かりやすく、オレに見せてくれた。
動けば動くほど体に入っているヒビは大きくなっていく。
それでもやめることはなく、その魂の演武はとても美しかった。
オレは最後の力を振り絞り、立ち上がった。
白の最期に残そうとしているものを受け取るために。
白の後に続くようにその動きを真似していく。
足さばき、拳の形、その全てを観察していく。
残された時間は少ない。
言葉はない、響くのは拳が起こす風切音だけだった。
イリスも黙って見守っている。
ついに両腕が崩れ落ちた。
それでも、足さばきを教えようとしてくれている。
なぜだかわからないがオレは涙があふれてきた。
ついに足も砕け、白は立つことさえも出来なくなった。
ありがとう……忘れないでね
たしかにそう聞こえた。
忘れるわけがない。
白の存在はその技と共に魂に刻み込んだのだから。
「ありがとうございました!!!」
オレは深く一礼をした。
最大級の敬意と感謝を込めて。
顔を上げた時にはすでに白の体は粉々に砕け、小さな破片になっていた。
学生さん宿題終わった?




