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切り札

『イツキ!しっかりして!』

 意識が闇から引き戻された。

あれはなんだったんだろうか?

「すまない、心配かけた」

白の悲鳴は止まっており、亀裂から出ていた黒い霧も消えていた。

「どれぐらい時間が経ったんだ?」

『一分も経ってないよ』

あの光景は幻だったのだろうか?



『チャンスだよ、行かないの?』

 今の白は隙だらけだ。

だが、攻撃する気が起きなかった。

すすり泣く姿を見てしまったからだ。

駄目だ、切り替えないと。



 オレは構えを取り直すと、白も構えを取った。

体が少し軽い、何故だ?

オレは理由にすぐ気付いた。

周囲に溢れていた威圧感と恐怖が薄れていたのだ。

やはり、少なからず影響を受けていたみたいだ。

 しかし、殺気と圧倒的な存在感は健在だ。

ただ、殺気の質が変わった。

存在を否定しようとする暗い殺気ではなく、存在を肯定する殺気に。

白はオレの存在は認めてくれた、オレはそう感じた。


 オレと白は同時に駆け出した。


 もはや、小技などを使ってこなかった。

全てが一撃必殺の攻撃だ。

さらに速度も上がっていた。

オレとイリスは今までで最高の集中力を発揮している。

攻撃の隙を伺うが、そのあまりの激しさに回避で精一杯だ。


 始めに動いたのは白だった。

近くにあった干し草の束を持ち上げると投げつけてきた。

そんな攻撃は当たらない。

避けて、攻撃に移ろうとした。

突如、束が爆発した。

おそらく、拳圧で吹き飛ばしたのだろう。

干し草が宙に舞い、オレの視界を遮った。

『跳んで!』

 悲鳴のようなイリスの指示と同時にオレはガードを固めて、全力でバックステップした。

干し草の壁を突き破り、一本の白い槍が飛んできた。


 オレの体が吹き飛ばされる。

進路上にあった家の壁をぶち破り、それでも止まらず、向かい側の壁も突き破った。

そこから止まるまでさらに数メートルかかった。

凄まじい威力だ。

右腕に激痛が走った確実に折れているな。

もし跳んでいなければ、ガードを突き破って死んでいたな。


 白の足音が近づいてきた

三日前と同じように拳を振り下ろそうとする。

今度は避けられないように腹部を狙っているようだ。

当たれば臓物のぶちまけることになるだろう。

だが、これは罠だ。

「やれ!イリス!」


 オレの中からイリスが飛び出し、白の右肩に噛みついた。

名付けて、パージアタックだ。

あのガチガチと歯を鳴らしていたのはこの練習だったのだ。

さらにこの三日間で自らの牙に【破壊】の力を添加できるようになっていた。

ただ二人でやるより燃費が悪く、二倍消耗してしまう。

そのため、確実に当てるためにこの作戦を考えたのだ。


 実はこの作戦を使うのは迷っていた

至高の拳技を持つ白を敬意を持っていたからだ。

 だが、干し草を使った目眩ましを使われた時にそれはなくなった。

己の持つすべてをぶつけるのになぜ躊躇するのか?。

言外にそう伝えようとしてくれた気がしたからだ。

だからオレ達もそれに答えた。


 イリスを引きはがそうともがいている。

その間に、オレは動作のチェックをする。

使うのは、さっきオレが受けた技だ。

もしかしたら奥義なのかもしれない。

骨の髄まで染み込んだ恐怖は鮮明なイメージ呼び起させる。

「喰らえ」

 そして、オレは一本の槍と化した。

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