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レールガン

 白はオレに向かい駆け出してきた。

『真ん中!』

その勢いのまま繰り出されてきた拳をイリスの指示に従い躱す。

続けて出されて攻撃を自ら予測して躱した。

頭の中の自分が白の真似をしてパンチをする。

それに連動し、体を動かした。



 効いてくれよ!

拳は白の左ほほに直撃した。

どうだ!?

まったく意に介していないとすぐさま反撃がきた。

それはオレの左ほほに突き刺さり、首がねじ曲がる。

まるで自分の技はこの程度ではないと示しているみたいだ。

意識が遠のいていく。

『イツキ、しっかり!』

その声によって一気に引き戻された。

「すまない!」

一度の失敗でへこたれない、もう一度だ。



 何度、試してもまったく効いていない。

回避がおろそかになり、何発も攻撃を受けている。

 攻撃をやめ、思考に専念する。

何が違うんだ?

身体能力か?

それを言い出したら駄目だ、修正しようがない。

技の完成度を高めるしかない。

今のオレは理解せずに、ただ真似しているだけだ。

それだけでは駄目だ。

動きの意味を一つ一つ考えてみることにした。



 なぜその足の動きをするのか?

肘はどうか、肩はどうか、背中はどうか。

あいまいな部分を残したら駄目だ。

理解できるまで何度も思索する。

そして、一つの結論を導き出した。



 こいつのパンチは上半身だけで打つのではない。

その拳に籠められているのは全身の力だ。

最初に出会ったとき、ミサイルと発射台だと思ったが違う。

正しくはレールガンのようだ。

拳自体には特別な力はない、特別なのはその技術だ。

全身の力を余すことなく使い、拳を打ち出す。

単純にして、至高の拳技。

何度も頭の中で実践することによって、やっと答えが導き出すことができた。



 白は敵だ。

だが、至高の拳技に気付いたとき、敵意は尊敬に代わってしまった。

その技をもっと見てみたい。

オレも使いたい。

子供の時、プロのスポーツ選手に憧れたことを思い出した。

何度も見返して、鏡の前でモノマネをしたものだ。

しかし、実戦で使うと、まったくうまくいかなかったものだ。

なんでうまくいかなかったか、いま理解できた。



 オレは外側だけをただコピーしていただけだった。

一個一個の動作の意味を理解すること、オレにはそれが足りてなかったのだ。

極限状態になってやっと気付けた。

約10年越しのリベンジだ。

あのプロの選手たちとはもちろん別人でこれはスポーツじゃない。

だが、やろうとしていることは同じだ。

今度こそ完璧に真似してみせる!


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