死闘は続く
4話目
オレ達がここまで攻撃避け続けることが出来るのは主に二つの理由があった。
今日まで一緒に過ごして、イリスは直感に優れているのは気付いていた。
さらに、動体視力や反射神経などの能力もオレよりはるかに優れている。
これが先ほどから避け続けていられるのも要因の一つだ。
そしてもう一つは指示方法にある。
イリスはオレと一つになっている時、念話のような形で話しかけることができる。
三日間、地下の食料庫で過ごしたときに多くのことを検証したのだが、念話の伝達速度はかなり速く、指示を聞いてから動いてもロスなく動くことが出来るのだ。
回避に必要なことは今のところ全てイリスに任し、その指示に従っている今のオレはイリスの操り人形だ。
それは悪いことではない、オレはその間に作戦その二の準備を進めることができるのだから。
たとえイリスの能力が優れていても、連綿と続く攻撃の中には完全に避けきれないものが出てきた。
直撃はしていないが、掠ってもダメージが負う。
しかし、その頻度は時間が経てば経つほど少なくなってきた。
始めは三割程度掠っていたが、それが二割となり、今では一割程度しか掠っていない。
おそらく、慣れてきたのだろう。
この調子でいけば、すべての攻撃を避けれるようになるだろう。
しかし、油断できない、今は単調なパンチしかしてこない。
これに蹴りが加わるとまた逆戻りだ。
それに単調なパンチでも白の攻撃は一撃一撃に必殺の意思が籠っている。
それを避け続けるのは精神的に来るものがあった。
オレは歯を食いしばり、気合を入れた。
『左からくるよ!』
これで連続で16回、回避に成功している。
完璧に回避できるようになったので、オレは観察に集中できた。
攻撃に使われる腕はもちろん、足の動きもくまなく観察する。
白がする全ての動きを見逃さないように、瞬き一つせずにじっと見続けた。
『まだ駄目なの?』
避け続けているいまの状況にいい加減、イリスも焦れてきたみたいだ。
「駄目だ、今のまま実行してもすぐに潰される。」
口ではそう言うが、実は準備は終わっていないわけではない、ただ実行することが出来なかった。
なぜなら、白の様子がおかしいからだ。
ここまで自分の攻撃を避けられているのにまったく動揺を見せていない。
こいつはオレが自分の目の前に来るのを待ったり、ドアを開ける行為をしていた。
間違いなく、こいつには意思が存在する。
それなのに焦りをまったく見せないこいつはとてつもなく不気味だった。




