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立ち上がろう、今度は二人で

本日16時か0時まで2時間ごとに1話ずつ投稿します


あと第4話を少しだけ変えました。

 どれだけ時間が経ったのだろうか。

村の中心部の方から感じる存在感はいっこうに移動しない。

オレが出てくるのを待ち構えている。

震えはまったく止まらない、奴がいる限りこれは収まらないのかもしれない。



 昨夜はどうやって止めたんだっけ?

そうだ、イリスが止めてくれたんだ。

しかし、今回は頼みのイリスは腕の中でオレと同じように震えている。

そんな状態のイリスは期待できそうにない。

そもそも他人頼りな自分が嫌になる。

そう思っても自分で立ち上がるどころか、震えを止めることは出来なかった。

オレと腕の中のイリスの震えは合わさることによってさらに強く激しくなっている。

これじゃいけないと思い、イリスを隣に降ろした。



 オレは上を見上げた。

全身が震えているために視界も激しく揺れている。

オレにはどうにもできない。

食料庫といっても限界がある、無くなればその時が終わりだ。

このまま餓死するのを待つだけかもしれない。



 横で体を丸めて震えているイリスを見た。

そういえば、零歳児って言ってたな。

オレの方が圧倒的に年上だ。

なのに、昨日からずっと助けられてばかりだ。

本当に情けない。



 そんなことを考えているとイリスと交わした約束を思い出した。

美味しいものを用意するという約束、一緒に川で遊ぶ約束だ。

このままじゃ果たせそうにないな。

約束した時のイリスの表情を思い出した。

本気で楽しみにしていたな。

叶えてやりたい。



 オレは壁に頭を叩き付けて、気合を入れた。

……やりすぎた。頭がガンガンする。

手加減するべきだった。

だが、気合は入った!

壁を支えにして少しずつ、本当に少しずつ立ち上がろうとする。

だが、立ち上がれない。

そこまで状態は最悪だった。



 オレは諦めなかった。

何度失敗しても立ち上がろうとする。

10回以上挑戦して、やっと立ち上がることが出来た。

産まれたての小鹿のように足が震えている。

「イリス、そのままでいい、聞いてくれ」

「オレ達が生きてここから出るにはあいつをどうにかしないといけない」

オレは一言一言、魂を籠めて話しかけた。

「だけど、オレ一人では見ての通り立ち上がるのが限界だ」

「だから、オレの震えを止めてくれ」

「その代り、お前の震えはオレが止める」



 そう言い、オレはイリスに向かい、手を差し伸ばした。

イリスは震えた手でオレの手を掴んだ。

オレはガッチリと握る。

震えを止めるように。

イリスも同じように強く握ってきた。


 もう怖くない、オレ達は立ち上がった、生きるために。

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