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奮い立たせろ

 白がいた場所の地面は爆発したかのように弾けた。

10メートル以上あった距離は一瞬で潰され、オレの頭部目掛けて拳が迫ってくる。

あと少しで直撃するというところで、左足が思いっきり前方に引っ張られた。

体が後方に引きずり倒される。

拳はオレの鼻先、数センチを通過するのが見えた。

 その風切り音は鼓膜が破れてしまいそうなほどの爆音だ。

拳圧は射線上にあった、干し草の山を弾き飛ばすほどだった。

当たっていたら、首の先が消滅していただろう。



 オレは自分の足を見た。

引きずり倒してくれたのは、やはりイリスだった。

そのイリスも恐怖で動けなくなっているようだ。

どうやら、最後の力を振り絞ってオレを救ってくれたみたいだった。



 だが、白の追撃は終わらなかった。

倒れこんでいるオレの頭部目掛けて、拳が振り下ろされる。

地面を転がるようにして躱した。

地に叩き付けられた拳の威力は地面に小さなクレーターを作り出すほどだ。

その衝撃はオレとイリスは吹き飛ばしてしまうほどだった。



 そのおかげでかなりの距離を開けることができた。

オレはイリスを抱き上げ、全力で駆け出した。

今もなお、オレに恐怖が襲い掛かっている。

足を止めてしまいそうだった。

だが、オレは足を止めない。

イリスは諦めずにオレの命を助けてくれたんだ。

その命を誰にも奪わせてたまるものか。



 村の外に出るために、白の逆方向に向かう。

体が重い……イリスを抱えているからではない。

恐怖という鎖がオレの体を縛り付けているのだ。

それでも、オレは今できる最速で走る。

普段の半分も力はでない。

それでも、精一杯体を動かす。


 あと数歩で村の外に出るというところで、オレは壁にぶつかった。

頭から突っ込んだのでゴンッと鈍い音が頭に響く。

それは透明の壁だった。

パントマイムではなく、実際に透明の壁がオレの退路を塞いだ。

その透明だった壁は徐々に色がついてきた。



 純白……今オレ達に迫ってきている脅威と同じ色だった。

光は通すみたいだ、暗くない。

外の状況は分からなくなった。

もはや、逃げ出すことも助けを呼ぶこともできなくなった。



 後方から白が近づいてくるのを感じる。

なんの心得もないオレが視覚に頼らずに位置を認識できてしまうほど、その存在感は圧倒的だった。

急いでその場から離れる。

余裕なのだろう、白は走らずにゆっくりと動いているのを感じる。

こんな小さな村では逃げ続けることは難しい。

どこか隠れる場所を探さなくては。

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