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盗み食い

 オレ達は食器棚から皿を取り出し、スープを飲んだ。

…………うまい

この感動をどう表現しようか。

空腹は最高のスパイスという言葉があるがそれは事実だったようだ。

鍋の中のスープはあっという間に無くなってしまった。


「まずいな」

「えっ、美味しくなかったの」

「そういう意味じゃない、盗みだよなこれって」

 あまりにもお腹が空いていたから、全部食べてしまった。

だが、これは立派な窃盗だ。

もしかしたら、このスープを楽しみして出かけたのかもしれない。

それを考えたら、罪悪感がすごい。

どうにかごまかせないかな?


「帰ってきたら一緒に謝ろう」

「それしかないよな」

 オレのよこしまな考えはイリスの言葉によって思い直すことができた。

言葉は通じないだろうが、誠心誠意、頭を下げよう。

 

 オレはリビングに戻ろうとする。

そのとき、イリスが声をかけてきた。

「この床すこしおかしくないかな?」

イリスが自分の足元も指さしていた。

近づき、しゃがみこんで調べる。

たしかに床の色が微妙に違う。


「どいてくれ」

 普通の床との境目に爪を入れる。

そのまま、床を上に持ち上げると床がパカリと外れた。

そこには穴があり、梯子が立てかけられていた。

落ちないようにしっかりと近くにある食器棚に掴まりながら、穴の中を覗き込んだ。


 中は空洞になっており、青い光が灯っていた。

「僕にも見せてー」

イリスがオレの体を押しのけて、覗こうとする。

「ちょっ、待て!、押すな!」

腕に力を籠め、踏ん張ったが、抵抗むなしくオレ達は穴の中に落ちていった。


「痛たたたぁ、押すなよ」

「ごめんね……」

 オレは受け身を取ることができず、地面に着地してしまった。

幸いあまり高さはなかったので、怪我はない。

イリスは地面に衝突する前に、浮かび上がったおかげで怪我はないようだ。

ずるい……

 

 青い光が壁面につけられているランプらしきものから出ている。

中を覗き込むと石が入っており、それが光を放っているみたいだ。

また地下にあるおかげなのか、外気より比較的涼しかった。

むしろ、少し寒い。


 ここにはいくつもの木箱が置かれていた。

一番近くの木箱を恐る恐る開けてみると、辺りに甘い匂いが広がった。

どうやら果物みたいだ、形は小さな瓢箪みたいだ。

「食べていいかな?」

その匂いに我慢できなかったのだろう、イリスはおねだりしてきた。

一個ぐらいならいいかな。


 オレは箱から一個取り出し、真ん中のくびれから二つに割った。

その大きな方をイリスに渡す。

「半分こだ」

「ありがとう!」

イリスはオレから果物を受け取ると夢中でかじりついた。

 オレも食べてみる。

味はサクランボ、食感はリンゴみたいだ、ほんのわずかだが渋味を感じた。

種はない、これ自体が大きな種なのかそれとも小さすぎて分からなかったのだろう。


 それから、オレとイリスは手分けして木箱の中を確認していく。

中には空箱もあったが、大体は野菜や魚などの食料だった。

どうやらここは食料庫のようだ。

食料以外入っていなかった。

「ここにも誰もいないね」

「そうみたいだな」

結局この中にはだれもいなかった。

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