発見
それを始めに見つけたのはイリスだった。
一見すると他と変わらないが、よく見れば草や木が刈り取られており道ができていた。
おそらく動物が踏み固めてできた獣道ではないだろう。
知性を持った何者かが切り拓いたものだと思う。
しかし、よく気づいたものだ。言われないとわからないレベルだぞ、これは。
そういえば、昨日の寝床を見つけたり、熊の最期の一撃などに気付いたのはイリスだったな。
勘が鋭いのかもしれないな。
「進もうよ!」
道の入口に立ち、イリスはオレを呼んでいる。
オレも道に入ろうとしたとき、足が止まった。
たしかにこの道を進めば誰かに会えるだろう。
しかし、友好的な人物とは限らない、言葉も通じないだろうし。
昔、テレビで見た森で暮らす部族を思い出した。
弓とか槍とか持ってた気がする。
テレビだったら、笑って見れたが、実際に会うとなると怖い。
どうしよう……
「イツキー、早くー」
オレが悩んでいる間にイリスは先に進んでいた。
もう数十メートルは先に行っていた。
行動が早い、オレとは大違いだ。
一つ一つの行動をじっくりと考えて決めるオレとは正反対だと思う。
ファミレスでもメニューを決めるのに時間がかかってしまう。
行くときはいつも家で食べるメニューをネットで調べてから行くことにするぐらいだ。
それを考えれば、学校からの飛び降りや熊との追いかけっこの時の決断力はオレではないみたいだ。
死を意識したからだろうか。
ここで悩んでもしょうがないな。
いろいろ不安があるが、ここは進むしかない。
ここを逃したら、次に人に会える確率があるところが見つからない可能性がある。
問題があったら全速力で逃げればいいか。
オレ一人だったら、たぶん10分は悩んでいただろう。
こういう時、即決できる人間がいるのはありがたいな。
オレはイリスに追いつくように早歩きで歩き出した。
道を周囲を警戒しながら、進んでいく。
やはり、この道は整備されている。
道を拓くために切り取られている枝の切断面はなめらかだった。
するどい刃物を作ることができる文明レべルを持っているみたいだ。
槍で刺されるんじゃなくて、剣で切りつけられるのかもな。
どっちにしても痛いのは確実だな。
先に進むほどに道幅が広くなってきている。
近いな。
「近くになにかある、油断するな」
「わかってるよ」
イリスも周囲を見回しながら警戒している。
オレも警戒しながら、道を前進する。
いつでも、全速力で逃げれるよう心の準備も忘れない。
広くなってきていた道幅は急激に拓けた。
そこには小さな村があった。




