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歩み

 体操を終えたオレ達は、川に向かい歩き始める。

もう少し、のんびりしておきたかったが、時間を無駄にしたくなかった。

もはや定位置になっているのだろうか、イリスはオレの肩に乗っている。

歩きながら、昨日の残りの携帯栄養食を分け合った。

イリスはオレの肩の上で食べているので、食べかすがオレの制服に零れ落ちている。

名残惜しいのだろう、その食べかすも舌で舐めとっている。


「意地汚いから、舐めるのはやめろ」

 服も少し湿ってきている。

「でも、もったいないよ?」

「今度、もっとおいしいものを用意するからそれまで我慢してくれ」

「本当?」

「ああ、約束するよ」

「じゃあ、我慢するよ」



イリスは食べかすを食べるのをやめてくれた。

素直で本当にいい奴だ、頭をやさしく撫でる。

気持ちよさそうに撫でられており、撫で甲斐がある奴だ。

この状況じゃ、いつに用意できるかわからないが必ず用意しよう。

この世界に美味しいものがあるかわからないが、精一杯努力してみよう。

オレも食べたいしな。



 喋っている間に川が見えてきた。

肩のイリスが川に飛び込もうと、肩から飛び出した。

慌てて、オレはイリスの尻尾を掴んだ。

空中で急制動をかけた。

かなり勢いがついていたので尻尾が思い切り引っ張られて痛そうにしている。

「今日は水遊びはだめだ」

「はーい……」


 イリスはしょんぼりしている。

相当、昨日の水遊びが楽しかったのだろう。

後ろにガーンという文字が見えそうなぐらいだ。

少し心苦しいが、今日は人を探さなくてはならない。

体力を温存しなければだめだ。

「また、今度な」

イリスの頭を軽くポンポンと叩く。

「約束だよ」

「ああ、約束だ」

少し元気が出たみたいだ、次は丸一日付き合ってやろう。

まだ一年あるし、出来高で増えるらしいから、それぐらいの猶予はあると思う。

どっちにしても今日はお預けだ。


 昨日決めた通り川を下っていった。

こんな森の中で無言になるのは嫌だったので、イリスと会話しながら歩いている。

オレの知識の一部しか読み取ってないみたいなので、時々言葉の意味を教えたりしながら進んでいく。

幸い、昨日みたいに熊のような猛獣には遭遇していない。

人にも遭遇していない、この森には人がいないのかもしれないな。

どっちにしろ川を下っていけば海に出られるはずだ。

 漁村が見つかるかもしれない。

よく考えれば、おそらく言葉は通じないな。

不安はあるが見つけなければ始まらない。

先に進もう。

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