表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/236

分け与えられたもの

連続更新終了

次は明日の16時に更新します

 涙が目から零れ落ち、頬を伝うのを感じる。

駄目だとわかっている、泣いてしまったら今日一日張っていた虚勢がなくなってしまうと。

それがなくなってしまうと、正気が保てなくなる。

だが、抑えきれなかった。

袖で何度も涙をぬぐうが、涙を止めることができない。

さらに、嗚咽が出そうになる。


 歯を食いしばり、嗚咽が出るのを押さえつけた。

しかし、今度は食いしばった歯がガチガチと音を立て始める。

止めれない。

まったく体が言うことを聞いてくれなかった。

まるで、自分の体ではないみたいだ。

ついには嗚咽が漏れそうになった。



 そのとき、自分の腕の中に何かが飛び込んできた。

思わず、目を開け、腕の中を見る。

そこには幼竜がいた。

オレの胸に飛び込み、体を摺り寄せてきていた。


「どうした?」

 オレは自分の声が震えていないか心配になった。

出会ったばかりの人?に弱みを見せたくなかったからだ。

「寒そうだったから……」

 幼竜は腕の中でオレを見上げてきた。

その目は心配そうにオレを見つめている。

震えているのは寒いからだと勘違いしているだろうか。

それとも、恐怖で震えているの気付かないふりをしているのだろうか。

どっちでもいい。


「ありがとう」

 オレは幼竜は抱きしめた。

誰でもいい、少しでも温もりが欲しかった。

幼竜の体温は高くなかったが、そのウロコはスベスベしており、肌触りはとても気持ちいい。

犬の体毛もいいが、爬虫類のウロコも悪くないな。

それとも、こいつが特別なのかもしれない。


 他者の存在がこんなにもありがたいと思ったのは久しぶりだ。

さっきまであれだけ感じていた恐怖は薄れていく。

いつの間にか体の震えは収まり、涙も止まっていた。


……ありがとう。

抱きしめる腕に自然と力が籠る。


「ちょっ、痛いよ」

 幼竜から抗議の声が上がった。

強く抱きしめすぎたみたいだ、腕の力を少し緩める。

「ごめん」

 幼竜を見ると少し涙ぐんでいる。

かなり強く抱きしめていたみたいだ。

どれだけ他者を求めてしまったんだ。

無意識とはいえ、恥ずかしい。

鏡で見ると顔が真っ赤になっているのかもしれない。


 だけど、幼竜を引き離そうとは思わなかった。

さっき感じた恐怖を二度と味わいたくなかったからだ。


 再び、夜の沈黙が辺りを包み込む。

だが、先ほどと違い、大して怖くはなかった。

腕の中から伝わってくる幼竜の鼓動と体温がオレの恐怖を和らげてくれていたからだ。

徐々に意識が遠のいていく。

これなら眠ることができそうだ。

ストックがたまったらまた連投します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ