分け与えられたもの
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涙が目から零れ落ち、頬を伝うのを感じる。
駄目だとわかっている、泣いてしまったら今日一日張っていた虚勢がなくなってしまうと。
それがなくなってしまうと、正気が保てなくなる。
だが、抑えきれなかった。
袖で何度も涙をぬぐうが、涙を止めることができない。
さらに、嗚咽が出そうになる。
歯を食いしばり、嗚咽が出るのを押さえつけた。
しかし、今度は食いしばった歯がガチガチと音を立て始める。
止めれない。
まったく体が言うことを聞いてくれなかった。
まるで、自分の体ではないみたいだ。
ついには嗚咽が漏れそうになった。
そのとき、自分の腕の中に何かが飛び込んできた。
思わず、目を開け、腕の中を見る。
そこには幼竜がいた。
オレの胸に飛び込み、体を摺り寄せてきていた。
「どうした?」
オレは自分の声が震えていないか心配になった。
出会ったばかりの人?に弱みを見せたくなかったからだ。
「寒そうだったから……」
幼竜は腕の中でオレを見上げてきた。
その目は心配そうにオレを見つめている。
震えているのは寒いからだと勘違いしているだろうか。
それとも、恐怖で震えているの気付かないふりをしているのだろうか。
どっちでもいい。
「ありがとう」
オレは幼竜は抱きしめた。
誰でもいい、少しでも温もりが欲しかった。
幼竜の体温は高くなかったが、そのウロコはスベスベしており、肌触りはとても気持ちいい。
犬の体毛もいいが、爬虫類のウロコも悪くないな。
それとも、こいつが特別なのかもしれない。
他者の存在がこんなにもありがたいと思ったのは久しぶりだ。
さっきまであれだけ感じていた恐怖は薄れていく。
いつの間にか体の震えは収まり、涙も止まっていた。
……ありがとう。
抱きしめる腕に自然と力が籠る。
「ちょっ、痛いよ」
幼竜から抗議の声が上がった。
強く抱きしめすぎたみたいだ、腕の力を少し緩める。
「ごめん」
幼竜を見ると少し涙ぐんでいる。
かなり強く抱きしめていたみたいだ。
どれだけ他者を求めてしまったんだ。
無意識とはいえ、恥ずかしい。
鏡で見ると顔が真っ赤になっているのかもしれない。
だけど、幼竜を引き離そうとは思わなかった。
さっき感じた恐怖を二度と味わいたくなかったからだ。
再び、夜の沈黙が辺りを包み込む。
だが、先ほどと違い、大して怖くはなかった。
腕の中から伝わってくる幼竜の鼓動と体温がオレの恐怖を和らげてくれていたからだ。
徐々に意識が遠のいていく。
これなら眠ることができそうだ。
ストックがたまったらまた連投します




