ドッグブリーダー
水から上がると、あることに気付いた。
体を拭くものがないことに。
辺りを見回しても、当然拭くものなどなかった。
しょうがないか。
目に入ったのはさっきまで着ていた制服だ。
どれを犠牲にしようかな?
あるのは下着、インナーシャツ、ワイシャツ、制服上下だ。
とりあえず、下着と制服は候補から外そう。
下着は面積が小さすぎるし、制服は乾くのに時間がかかりすぎる。
インナーシャツかワイシャツかどっちがいいだろう?。
決めた!
インナーシャツにしよう。
汗を吸う素材で出来ているインナーシャツだったら、体を拭くのに適しているだろう。
汗が少し染み込んでいるが、この際気にしないことにする。
拭いた後で川で洗えば、一石二鳥だ。
体を拭きながら川を見る。
幼竜はまだ泳いでいる。
楽しそうだ。
この足じゃ、今日は移動は無理だな。
もう少し、あのままでいいだろう。
あいつを見てると、幼少時飼っていた犬を思い出した。
柴犬のリキ、とても甘えん坊だった。
寝るときはよくオレの布団に入ってきていたもを思い出す。
その影響からか、オレは動物にはつい甘くなってしまう。
竜と犬では大きく違うが、今までの行動からあまり大差がないように思えた。
インナーシャツを着ずに制服を着る。
少し気持ち悪い、直にワイシャツを着ると感触が悪いな。
インナーシャツを洗うのは幼竜を拭いてからでいいか。
先ほどから動物の気配が一切しない。
ここはあの熊の縄張りだったのだろうか。
周囲の動物が避けているのかもしれない。
「楽しかった!、泳ぐのってこんなに楽しいんだね!」
幼竜が川から上がってきた。
よっぽど楽しかったのだろう、興奮気味に話してきた。
「体を拭かないと風邪をひくぞ」
インナーシャツを投げ渡した。
ていうか、こいつは風邪をひくのだろうか?
一応、忠告しておこう。
近くで安全に眠れる場所を探さなければいけないな。
定石じゃ木の上だが足が痛むし、寝返りを打って木から落ちたら目も当てられない。
日が沈む前に見つけられればいいのだが。
「これからどうするの?」
幼竜は体を拭き終わったみたいだ。
だが、完全には拭けていない。
「まだ濡れているぞ。ちゃんと拭け」
「えっ?どこが?」
自分ではわかっていないみたいだ。
しかたないな。
幼竜の体を押さえつけ、体を拭いてやる。
「ありがとうー」
本当に犬みたいなやつだ。
インナーシャツを川につけ、軽く洗った。
近くの木の枝を折り、インナーシャツを先にかけた。
こうしておけば、干しながら移動できる。
枝を肩に担ぎ、寝床の探索を始めた。
いい場所が見つかればいいんだが。




