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謎は残る

 獣転掌が決まり、オールさんが地に落ちる。

しばらく、その姿を観察し、完全に気を失っているのを確認してから、構えを解いた。

だが、警戒心はそのままに先ほど聞こえた声の主を探す。

その人はオレの背後にいた。



「あなたは誰ですか?」

その姿はわずかに透けてて、反対側が見えている。

「イツキ。このお姉さんは誰?」

イリスがシルバーの背に乗ってやってきた。

『お姉さんだなんて!。なんていい子なのかしら!』

……なんか喜んでいる。伯母さんも姉さんと呼ばないと拗ねるので、女性にとってシビアな問題なのだろう。



『私はエチアよ』

「エチアってプラータさんのお姉さんの」

『そうよ』

 幽霊か何かかな、異世界なんだから幽霊ぐらいいるよな。

ジャパニーズホラーみたいにおどおどしいものじゃないから怖くはない。



 そういえば、プラータさんはどうしてるんだろう。

木の方を見るとエチアさんと同じような状態の人たちに囲まれていた。

敵意はなさそうだから、大丈夫だと思う。

『みんなリチアにいろいろと話したいことがあるみたいね』

「リチアって誰?」

イリスが問う。

『あなたたちにとってはプラータだったわね。プラータっていうのは銀の風のトップが代々受け継いでいる名前よ』



『それにしても異世界人に会うなんて久しぶりだわ』

「会ったことがあるんですか?」

『あるわよ、なんか「犬耳萌えー!!」とか言って襲ってきたわ』

「なんかすいません。」

 日本人を代表して謝ろう。

『何であなたが謝るの?』

「何も聞かずに謝罪だけを受け取ってください。」

オレの口からではとても説明しきれない。



『それにしても変な感じね』

「何がですか?」

『私はこんな形の存在を知らないの。アンデッドはいるけど、悪意を持たない霊体なんて聞いたこともないわ』

 そうなのか。だったら、今の彼らはいったい何なのだろう。



『私の推測だけど、あなたが原因かもしれないね。』

『異世界人はみな何かしらの特殊能力を持っているわ。私が出会ったの萌え男は炎の能力。あなたが何かしらの能力を持っていて、それが関係してるのかもね』

 能力か、オレよりもイリスが何かした可能性の方が高いと思う。

横目でイリスを見るが、特に変わった様子はないな。



『みんなの話が終わったみたいだから、行くね』

「ありがとうございます。あなたが力を貸してくれなければ、勝てませんでした」

『お礼を言うのはこっちよ。オールを解放してくれてありがとう。それに私が手を貸さなくてもあなたなら勝っていたと思うわ。私がしたのは最後の一押しだけ。あとはあなたたちの実力よ』

 そう言い、エチアさんはプラータさん、いやリチアさんの方へふよふよと飛んで行った。

その途中、エチアさんは何か思い出したように振り返る。

『そうだ!。もしこの先、英雄器を手に入れることがあったら破壊しなさい』

「英雄器?」

『魔道具の一種よ。頭の隅に置いておきなさい』

詳細を聞く間もなく、エチアさんは飛んで行った。

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