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勝利

 右足から硬いものが砕けた感触が伝わる。

 

 オレ達の一撃は確かに熊の頭蓋を破壊したのだ。

熊の血がオレの右足を赤く染め上げていた。


 オレは右足を熊の体から引き抜いた。

熊の体がクッションになったか、それとも森の腐葉土がクッションになったのかはわからないが、オレの体は特に痛みを感じなかった。

怪我を覚悟していたが、今のところ異常はない。


勝った……


 生き物を殺した罪悪感より、生き残れた喜びが大きく上回った。

この時、オレは熊の死体から背を向けてしまった。

その時、オレは体を覆う黒い影に気付いた。

その正体に気付くよりも先に……


『伏せて!!』

 幼竜の悲鳴のような声が響いた。

反射的に身を屈める。

頭の上、数センチを野太い風切り音が通過するのを感じる。

慌てて、距離を取り、振り返った。



 そこには血塗れの熊がいた。

頭はぐちゃぐちゃに砕け、片目を失っている。

その灰色の毛も血によって赤と灰のまだら模様に染められていた。

人間では間違いなく死んでいる状態だった。

だが、熊は立ち上がり、オレを睨みつけていた。

その瞳には怒りが浮かんでいるように見えた。


あれで死なないのかよ……


 絶望がよぎる。

打開策を考えるが、何も出てこない。

とりあえず、威圧するように熊を睨みつけた。

時間稼ぎになればいいのだが。


しばらく、オレと熊は睨み合っていた。


 幾ばくか後、熊の目に光が消えた。

そして、体の力が抜けるようにふらつき、真後ろに倒れる。

その巨体は地面を小さく揺らした。

 恐る恐る近づいてみる。

死んでいるのか?

軽く、足で小突いてみる。

……反応がない。

今度は強く踏みつけた。

……動かない。

完全に息の根が止まっているようだ。



 体の力が抜け、地面にへたり込んでしまった。

あれは最後の悪あがきだったようだ。

危なかった。

あれが当たっていたら、間違いなく死んでいただろう。

 オレの体の中から、幼竜が抜け出してきた。

幼竜もオレと同じように地面にへたり込んだ。

「なんとか勝てたね」

「お前のおかげだよ。最初から最後まで」

 さっきの最後の一撃が避けることができたのはこいつの指示があったからだ。

こいつの【破壊】がなければ倒すことが出来なかった。

そもそも、戦う勇気すら湧いてこなかっただろう。

一人ではなにもできなかった。


「そんなことないよ、君のおかげだよ」

「僕じゃ、あんな作戦思い浮かばなかったよ」

「違う、全部お前のおかげだ」

「違うよ、君のおかげだよ」

 互いに謙遜し合う。

何度か同じやり取りを繰り返した。

キリがないな。

「もう二人のおかげにするか」

「そうだね、君もすごいけど、僕もすごかった」

顔を見合わせて、オレと幼竜は笑い合った。

ストックがぁぁ

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