初戦闘が熊とか難易度高いわ……
『戦おう』
イメージの中だが、幼竜はオレの目を真っ直ぐ見詰めてくる感じがした。
『こいつからは逃げ切れないよ』
それはオレも感じた。
こいつはオレを喰うまで地の果てまで追ってくる予感がする。
覚悟を決めなければならないか。
悩んでいる時間はもうない。
もうここまで来るのに幾ばくも猶予はないだろう。
「オレも覚悟を決めたよ、戦うぞ」
静かにそれを告げた。
『よし、それじゃあここから飛び降りて……』
「駄目だ、それじゃあ勝てない」
普通に戦ったら、身体能力で圧倒的に負けているオレが負けるだろう。
武器を考えるが、今武器として使えそうなのはボールペンぐらいだ。
リーチも短く、目を刺さなければダメージを与えられないだろう。
あとは幼竜の【破壊】の力ぐらいだ。
だが、これも同じだ。リーチと殺傷能力が足りない。
どうすれば……
ふと、ある考えが頭に浮かぶ。
もしできるのならば逆転できるかもしれない。
「なあ、お前の力を他の物に付与することはできないのか」
武器に『破壊』の力を込めることができれば、威力が上がるのではないかと考えたのだ。
幼竜は少し考え込む。
『無理だよ、その物体が【破壊】の力に耐えられない』
「なら、オレの体にはどうだ?」
間髪入れずに、問う。
何故だかわからないが、オレの肉体はその力を受け止められる気がした。
幼竜は再び考え込んで答えを出した。
『できるよ……それならできそうだよ!』
心の中でガッツポーズをした。
見えてきた、勝利の道が。
オレは幼竜に作戦を伝えた。
すぐにこいつは作戦を理解してくれた。
オレは木に掴まりながら立ち上がった。
『どっちの足にするの?』
「どちらでもいい」
『じゃあ右にするね』
右足から黒い光が溢れ出す。
感じる……こいつの力を。
自らの身に宿して、その力の一端をオレは少しだけ理解できた。
これは人間には許されない力だ。
単純に物を壊す能力じゃない。
もっと根本的ななにかだ。
だが、それを考えている時間はもうない。
下を見下ろす。
すでに熊は、すぐそばまで近づいていた。
たまらなく怖かった。
足が竦みそうになる。
だが、こいつがオレの背中を押してくれた。
『さぁ、行こう!僕らの戦いの始まりだ!』
恐怖は消えない、だがそれを上回る勇気をオレは感じる。
いけるさ……オレたちなら
オレたちは飛び降りた。
地面ではなく、熊の頭、目掛けて。
右足が熊の頭に直撃する。
オレの体重、約60キロ、そして脚力、重力。
これらは熊を木から叩き落とすには十分だった。
熊の頭蓋の硬さが足から感じ取れる。
その頭蓋も【破壊】が徐々に壊していくのを感じる。
「『砕けろぉぉぉぉ!!!』」
オレと幼竜の咆哮が重なった。
そして、熊の頭蓋が地面に叩き付けられた。
その衝撃と先ほどの四つの力。これらが熊の頭蓋に襲い掛かる。
グシャリ
鈍い音が足から伝わった。




