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VSオール2

 今のところ、オールさんが一番脅威に思っているのは、おそらくシルバーだろう。

レベルがないオレたちの優先度が低いのは当たり前だ。

イリスには【破壊】があるが、その脅威を真の意味で理解しているのはこの世界でイリス本人以外でオレだけだろう。

プラータさんもある程度は理解していたが、完全ではなかったし。


 

 このままだと攻撃がシルバーに集中して、攻撃を捌ききれなくなる。

それを避けるにはオレが脅威だということを示さなくてはならない。

現在オールさんの警戒心は割合は7:2:1といったところだ。

7はシルバーで2はオレ、1はイリスになる。

これをどうにか4:5:1にしなければならない。

イリスの割合を変えないのは回避能力がオレたちよりも劣るからだ。

その鱗は虎の一撃に耐えるぐらい頑丈だったが、無理はさせられない。



 狙うのはジュウシンソウを放った直後、オールさんの防御が弱くなる瞬間だ。

プラータさんは放った後からでも攻撃が間に合っていたが、オレの攻撃速度では当たる前に防御力が戻ってしまう。

なので、放つタイミングを予測して攻撃を仕掛ける。

幸い、先ほどの二人の闘いをよく観察していたおかげで、何となくではあるが予測できるだろう。



 あと必要なのは勇気だけだが、そんなもの今更だ。

この世界に来て熊に始まり、白との死闘を経て、地獄の修業をこなしてきた。

どれも命がけだったが、オレは今も生き残っている。

 それは自信となり、オレに勇気をくれた。

湧き上がりすぎているぐらいだ。

無謀にならないように自分を戒める。

じゃあ始めるか。



 シルバーは反復横跳びのように小刻みにサイドステップを踏んで、狙いをつけられないようにしている。

その動きに惑わされて、オールさんのオレたちへの警戒が薄れていた。

 狙うなら今しかない。

オレはイリスと軽くアイコンタクトを交わした。

オレとイリスならこれだけでも十分伝わる。

出会ってまだ一ヶ月だが、オレたちの絆はそれができるまでに強くなっているのだ。



 こんなことを考えてる場合じゃないな。

思考は高速化されているが、時間は動いているのだから。

なんとか照準を付けることができたオールさんはシルバーに向かい、ジュウシンソウが振り下ろそうとしている。

 それを見て、オレは急いで駆け出した。

イリスがオールさんの行動を弦で封じようとするが、わずかに体を動かすだけで弦が引きちぎられ、すぐに自由となった。

振り下ろされた斬撃は地面を抉りながら、シルバーに迫る。


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