不意打ち
突如、強大な殺気を感じた。
余波ではなくオレたちに向けられている。
その発生源はオールさんだ。
なぜ、こちらに?。
オールさんと目が合った。
・・・まずい。
あの目はオレたちを狙っている。
オールさんはジュウシンソウをオレたちに放とうとしていた。
プラータさんはそれを妨害しようとしたが間に合わない。
オレたちを狙う理由を考えるのは後だ。今は逃げなくては。
そして、ジュウシンソウはオレたちへ振り下ろされた。
遠距離のため到達には時間が掛かるが、それでも速い。
間に合うか!?
オレはイリスを抱きかかえて、飛び退こうとしたが、それよりも早く、シルバーがジュウシンソウの軌道上に割って入った。
迫る斬撃に対して正面から迎え撃つらしい。
シルバーは両前足で地面を蹴り、二足立ちをした。そこから勢いをつけて両前足を斬撃に叩き付けた。
二つの衝突は爆発のような音と共に土煙が上がった。
「シルバー!大丈夫か!?。」
オレは土煙の向こうのシルバーに向かって声を掛ける。
すると気にするなと言わんばかりにシルバーが吠えた。
少ししたら土煙も晴れ、姿が見えた。
土で少々汚れているが、ダメージはなさそうだ。
オレは怒りを込めてオールさんを睨み付けたが、それ以上の怒りをプラータさんから感じる。
「あなたがエチア姉さんに勝つためにやったことを再びやるとは。」
「保険を掛けて、シルバーに二人を守るように指示していて良かったわ。」
「今回は自分の弟子を狙い、姉さんの時は子供たちを狙いました。」
「それを庇った姉さんはあなたに敗れたわ。」
狂っている・・・
勝つためにそんなことをするなんて。
父親であるオールさんにとっても子供は大事な存在なはずだ。
それを利用するなんて虫唾が走る。
「勝つためにはなんでも利用する。当たり前の事じゃよ。」
その言葉からわずかでも悪気が感じられない。
本当に当たり前だと思っているのだろうか。
だとしたら本当に人でなしだ。
「もう私が知っているオールはいないんですね。」
プラータさんの瞳が涙で滲んでいるように見えた。
彼女は数瞬目を閉じ、再び開いた時、その瞳には強い覚悟が漲っていた。
「あなたは殺します。」
今までプラータさんはオールさんの急所を攻撃せず、その戦闘能力を奪うことを目的にしていた。
殺す気がなかったのだろう。
だがここにきて強烈な殺気を放っている。
プラータさんは命を奪うつもりだ。




