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愚かな技

 そこからは一方的な展開になった。

片腕を動かすことが出来ないオールさんに本気を出したプラータさんは捉えられない。

苦し紛れに放たれるジュウシンソウもあっさり躱されている。



「あなたもジュウシンソウなんかじゃなくて、獣転拳を使えば少しは対抗できますよ。」

 プラータさんはオールさんを挑発している。

ジュウシンソウの名を言うプラータさんの声には侮蔑が混ざっているような気がした。

「獣転拳など負け犬の技じゃよ。我がジュウシンソウは至高の技じゃ。いずれ我が爪がお主を切り裂くわ。」

そうオールさんが返すが、全て躱されているので負け惜しみにしか聞こえない。



 二人の攻防をよく見ているとジュウシンソウの問題点がわかった。

ジュウシンソウを放った瞬間オールさんの防御が弱くなるのだ。

普通に攻撃を繰り出した時も、プラータさんはカウンターを仕掛けていたが、ダメージを与えることができていなかった。

ジュウシンソウの原理はわからないが、その何かがオールさんの金剛の体を維持できなくさせているのだろう。



 使えない技だな。

オールさんの最大の武器はその異名からわかるように金剛の肉体だと思う。

それを弱めてしまう技など使う意味がない。

プラータさんが侮蔑するのもわかる。

 


 この木の前でプラータさんが代償が大きい力に頼るなと言われたのを思い出した。

彼女があの時イメージしていた代償がある力とはジュウシンソウだったのかもしれない。

たしかに自滅しかねないな。


 

 最早オールさんに勝機は残されていないのかもしれない。

いや、まだあるな、獣転拳だ。

創始者であるオールさんも瞬転駆を使えるはずだ。

それを使えばプラータさんの速度に対抗できるかもしれない。

しかし、オールさんは使う気がないみたいだ。

意地になっているのか、それとも紅が彼に刻んだ敗北はそれほど大きかったのか。

後者だろうな。



 オールさんはもうボロボロだ。

深く斬られているのは左腕だけだが、全身を浅く斬られて服に血が滲んでいる。

血だらけになりながらも、オールさんはジュウシンソウを放つのをやめない。

それを鮮やかに躱したプラータさんはナイフで脇腹を一閃した。

血が噴水のように噴き出したが、すぐに収まる。

特殊な止血法でもあるのだろうか。



 ここからの逆転はもう不可能だろうな

左腕が動かせないのなら、片手でしかジュウシンソウを撃てない。

攻撃能力が低下しているならプラータさんの動きも捉えるのは不可能だ。

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