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プラータVSオール

 プラータさんの姿が消えた。

瞬転駆だ。

その速度は修業を受けたオレの目でも未だ捉え切れない。

オールさんは見えているのか?

まったく動かずその場に立ち尽くすだけだ。



 このままじゃ二人の闘いを見届けることが出来ない。

オレは深呼吸をして、拳を構える。

精神を戦闘モードに切り替えるためだ。

常にある程度、意識を戦闘に残すように言われているが、この闘いはそれではなにもわからない。

構えを取ることによって意識が完全に戦闘モードに切り替わる。



 瞬転駆の動きを簡単に言えば、ストップ&ゴーだ。

一瞬で最高速度まで加速するため、消えたように見える。

始点と終点を同時に見ることが出来なければ見切ることはできない。

 そのためには一点を集中して見るのでは駄目だ。

集中ではなく発散、全体をぼやけた状態で捉える。

これと併せて高速思考の予測を使えばなんとか見えてくるかもしれない。



 しばらくその状態で観察していくと、なんとなくその動きが見えてきた。

オールさんの周囲を四角を描くようにサイドステップを踏んでいる。

隙を伺っているのか?

 一方、オールさんは余裕なのかただ立っているだけだ。

いつファーストコンタクトが始まるのだろうか。

観客のオレの方が緊張しているのかもしれない。

イリスも無言で見守っている。


  

 プラータさんはオールさんの背に回り込んだ。

オールさんはそれに反応できていない。

そしてすれ違うようにナイフでオールさんの脇腹を一閃した。


ガキンッ!


 周囲に硬いものがぶつかり合ったような音が響いた。

何だこの音は?

どう考えても人間を斬った音には思えない。



「さすがは銀の名を受け継いだだけのことはある。何回か完全に見失ったぞ」

「じゃが、エチアよりも遅い。それじゃあ儂には勝てんぞ」

 これよりもエチアさんは速かったのか。

それをも打ち破ったオールさんにプラータさんは勝てるのか?



 再びプラータさんの姿が消え、オールさんの背後に現れる。

「二度目は通用せんわ!」

それを見切っていたオールさんが振り向きながら、爪を振るった。

だがプラータさんのそれはフェイントだった。

攻撃するのではなく、再び瞬転駆を行い、側面に回り込む。

肩に向かい、ナイフが振り下ろされる。



 しかし、ナイフは刺さらず弾かれ、さっきと同じ音が響く。

そんな馬鹿な。オールさんが着ている服は修業の時と同じだ。

洗濯を手伝ったとき触ったが、普通の服だったはずだ。

よく見ると攻撃を受けた服の脇腹と肩の部分に穴が空いている。

どういうことなんだ?


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