銀の風
昨日2話投稿しているのまだ読んでいない人そちらから読んでください
明後日でちょうど一ヶ月経つ。
プラータさんは大事な話があるとオレたちを呼び出した。
村の出口で待っていたプラータさんはいつもと様子が違う。
服装が普段目にしているものと違い、その顔も緊張しているように見える。
「それじゃあ行きましょう」
「どこへですか?」
「エチアの木の前よ、オールも待っているわ」
そう言ってプラータさんは歩き出した。
今日はシルバーではなく歩いていくみたいだ。
「今日はあなたに全てを話すことにしました。私たちが何者なのか、そしてこの村が何なのか」
先導するプラータさんがそんなことを言い出した。
「全て…………ですか?」
「気になってたんでしょ?」
たしかに興味はあったが、無理に聞くことではないと思い、抑えていたのだ。
「うん」
オレではなくイリスが返事を返す。
「まずは私の事ね」
プラータさんが立ち止まり振り返った。
「旧獣帝国特務室【銀の風】、私と姉さんは昔そこに所属していたの」
「特務室?」
「敵国に潜入して情報を集めたり、国に入り込んだテロリストを極秘に始末する部署よ」
工作員みたいなものか。
納得できる、高い言語力や薬物の調合そして戦闘力。
オレには昔観たスパイ映画ぐらいの知識しかないが、その主人公みたいだ。
「姉さんはそこの室長で私は新入りだったの」
「当時の私は未熟そのもので、与えられた任務を精一杯こなしていたわ」
その日々を懐かしんでいるのだろう。プラータさんの真剣な表情が緩んだように見えた。
「暗殺とか汚いこともやったけど、それは獣帝国、いえ獣人のためになると思って頑張ったわ」
「でも、それは突然終わりを迎えたの。時の獣帝国皇帝が急死して、その息子が帝位についた。その時全てが変わった。そいつはただの馬鹿だったわ」
ひどい言い様だ。
プラータさんにそこまで言わすとは何をやったんだ。
「本来なら前獣帝は帝位を彼ではなく、甥に渡すつもりだったらしいわ」
「なにが駄目だったんですか?」
「現実を見ずに理想ばかり見ている奴だったわ。もちろん理想を夢見ることは大事よ、でも奴は理想だけを見て現実をまったく見ようとしなかった。そして奴の周りもおなじような奴ばかりだったわ。そもそも彼の母親の一族が教育にほかの一族や獣帝を関わらせなかった。それが奴の価値観を歪ませたの」
相当忌々しく思っているようで、プラータさんの表情が歪む。
「奴は長い間、敵対していた人間の国と和平を結ぼうとしたわ」
「そして和平の条件として出してきたのは一方的な軍事力の放棄だったのよ」
「もちろん、そんなの受け入れられるはずがないわ」
当たり前だろう、そんなことをすれば格好の的になるし、この世界では魔物という脅威もいるのだ、現実的ではない。
「でも奴は受け入れた。反対する奴を追放したり、殺したりしてね」
武力を捨てることを望んだ奴が武力を使って反対勢力を排除しようとするとは本末転倒だな。
「私たちは目の上のたん瘤だったんでしょうね。すぐに命を狙われたわ」
「大丈夫だったの?」
イリスは心配そうに尋ねた。
聞きにくいことをズバズバ聞いてくれるイリスはこんな時ありがたい。
時々、デリカシーに欠けている場合も多々あるけど。
「私たちはそんなボンクラに捕まるほど愚鈍じゃなかったわ。でも、逃げることが出来なかった者がいたの」
「当時獣帝国で最高戦力だった男、史上最強の獣人……オールよ」
あと少しで3章が書き終わるけど閑話何書こうか悩んでいます。
一個は決まっているけどもう一個が決まらない・・・




