表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死者の告発  作者: 浅見カフカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/29

第三取り調べ室

音尾はドアノブを回すと、千早を奥に通した。

四畳半程度の部屋にスチールの机とパイプ椅子。

なんの意匠も無い無機質な壁。

高木はここでもう既に二週間近くも取り調べを受けている。

そう思うと、他人事ながら気が滅入った。

音尾が椅子に腰を下ろすと金属が軋む音が鳴った。

それを覆い隠すように大きなため息をかぶせた。

そしてゆっくり視線を千早に移して「何を知ってる?」と、机に手を乗せて身を乗り出した。

千早は音尾のそんな様子に「何を知らない?」と不遜に笑い返した。

「ふっ......降参だ。何も分かっちゃいない——どちらも、な」

音尾は怒る素振りも見せずに両手を上げた。

(ああ曲者だ、この刑事)

音尾の様子に千早はそう感じた。

「音尾さん、犯人はどうしてあの木に吊るしたのでしょうね」

敬意を込めて千早はそう尋ねた。

「自殺の偽装と死体の隠蔽だろ」

音尾の教科書通りの答えが本心なのか誤魔化しなのかは、千早には分からなかった。

ただ、答えまでの一瞬の間に、警察はその点を重視していないことが分かった。

そしてこの瞬間、音尾が"釣れた"ことを確信した。

「散策ならまだしも発見者はランニング中の人ですよね?隠蔽とは程遠くないでしょうか?」

「......」

音尾は腕を組んで目を閉じた。

「自殺の偽装なら、手前に枝振りのいいハルニレがありました。偽装に使われたのは比較的枝の位置の高いハリギリです。名前の通り針の桐。針のような棘が生えた木をどうしてわざわざ選んだのでしょう」

「アンタは......」

話をじっと聞いていた音尾が口を開いた。

「千早さんには、その理由が分かっているのかい?」

「いいえ、さっぱりです」

千早はあっさりとそう答え、続けた。

「だから、これから調べるんですよ」

ニッと口角を上げた千早に、音尾は毒気を抜かれたよう頬を緩ませた。

「話にならんな、千早さん。——だから非公式に、秘密裏に手を組みましょう」

今度は音尾が口角をニッと上げた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ