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死者の告発  作者: 浅見カフカ


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らでん会議3

「さて、ここからは今起きている事件の犯人と、これから起きる事件の話です」

「ソイツのせいで、えらい目にあったんだ。とっ捕まてぶん殴ってやる」

千早の言葉にいち早く反応したのは高木だった。

「逆に捕まるわよ。今度こそ音尾さんに」

島田が冷ややかに言って高木をたしなめた。

音尾は苦笑いを浮かべて「では、私から」と立ち上がった。

「笠木西高校の安田用務員から聴取した話です。被害者の今井加奈の人となりについて、こう述べていました。今井加奈はボランティア部の活動とは別に、手が空いた時には安田の仕事のひとつである花壇の整備を自主的に手伝う生徒だったとのことです」

「いい子だったんだな」

高木が静かに呟いた。

「安田用務員が今井加奈のことで話した中で、所見ですが気になったものがあります」



「夏休みなのにありがとう。本当に助かってるよ」

「安田さん、腰弱いからね。植え替えとかでしゃがんでたらまた救急車だよ」

加奈ちゃんはそう言ってカラカラと笑うと、私が運んだ一輪車ねこからマリーゴールドやバレンギクを手に取って植え替えてくれました。

「移植したら水をたっぷりあげてね」

「それ!いつも沢山水をかけるけど、腐ったりしないの?」

「移植してすぐは、根と土が馴染むようにしてあげないといけないんだ。その為にはたっぷりの水が必要なんだよ」

「ヤバっ、安田さん物知り!」

——彼女は本当に、どこにでもいる普通の女子高生でした。

「じゃぁ、質問。どうしてタネや球根って、植える深さが違うの?」

「あれは、違うようで同じだったりするんだよね」

「どういうこと?」

猫のようにクルクルと変わる瞳と表情で、彼女の好奇心は常に満たされることを求めているように見えました。

「タネはその直径の三倍。球根はその高さの三倍。大体はこんな感じだよ」

この後からです。

この日の彼女との記憶が、二十年経っても忘れられなくなったのは。

「じゃぁ、咲いてはいけないものは深く埋めればいいのかな」

「えっ」

言葉よりも、声の冷たさに驚いて加奈ちゃんを見ました。

下を向いて作業をする彼女の表情は、窺い知ることが出来ませんでした。

「ラストノート」

最後にそう言い残して手を振ると、彼女はスカートひるがえして駆けて行きました。

この一週間後です。

二十年の始まりは——



「ラストノートって香水の最後の香りよね。どういうことかしら?」

島田はそう言って顎に手を当てた。

「深く埋めるってのも意味深だよな」

高木も一点を見つめて考え込んだ。

「質問が恣意的ですね。まるで深く埋める話をしたかっただけに思えます」

千早はそう言って、音尾を見た。

音尾は千早の視線にふっと笑うと「会話の誘導ですね。それも稚拙な」と返した。

「彼女が埋めた物は香水だったのか、犯罪の残り香——つまり、決定的証拠だったのか」

千早はそう言うと冷めたカップを手に取って、香りを嗅いだ。



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